インタビュー詳細
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常葉大学附属橘中学校・高等学校(静岡) 校長 関本 和彦 先生

※ 掲載内容は2023年5月現在のものです

「興味」を探究するSTEAM教育で
地域の未来を支える生徒を育む


地域貢献・探究活動・ICTを柱に学校改革を推進

当校は、静岡県静岡市にある私立の中高一貫校です。1965年(昭和40年)の創立以来、多くの卒業生を輩出してきました。現在は常葉大学の附属校として、常葉大学・短期大学部への進学者数8年連続No.1の実績を出しています。建学の精神である「より高きを目指して」〜Learning for Life〜を掲げ、「知的体情操に優れ品格ある人材の育成」そして、学力を伸ばし、人間性を高める教育を行っています。

2017年(平成29年)にはICT教育にも対応した新校舎が完成。全教室にWi-Fi環境を整え、コロナ禍の中でもオンライン同時双方向授業を展開しました。また、中学生全員にタブレットを無償貸出し、授業や学校行事、自宅での学習など様々な場面で活用しています。

同年には現在の常葉大学附属橘中学校・高等学校に校名を変更し、常葉大学の付属高校になったことで大学との連携をより深めています。新校舎の完成を改革の第一ステージと位置付けるならば、第二ステージは教育の中身。「地域貢献」「探究活動」「ICT」を3つの柱として改革を推進しています。地域貢献については自治体、高等教育機関、産業界とふれあう機会を生徒に提供。地域に関心をもち、地元静岡の将来や自分の将来を見つめる取り組みを実施することで、地域に還元できる生徒を育てることを目的としています。2019年度からは文部科学省認定の地域協働推進「アソシエイト」校として認定されました。

また、探究活動においては、企業や地域の金融機関などと連携して校外での学びの機会を提供。英数科の生徒を対象に、静岡銀行による特別授業を開催するとともに、「脱炭素社会」をテーマにしたプレゼンテーションを行いました。特色ある教育を通じて、学ぶ姿勢や課題解決力、コミュニケーション能力を育て、社会に目を向ける学習を実践しています。


着任後に校内の組織改革を行い

自由な発想生まれやすい風土づくりに注力

改革を推進する上で意識したのは、変化を恐れないこと。着任後に校内の組織改革を行い、新たに入試広報課、学校改革推進部、教育開発部を設置しました。これまでは進路課、生徒課、総務課、教務課の4課で運営していましたが、4課の課長が幅広い業務を兼任していたことで本来の業務が滞っていました。教員が自分の役割に専念できる体制を整え、新しい時代の教育を目指す部署を新設しました。

▼左:関本校長先生 右:英語科 松浦先生


また、学校のトップとして、若手教員からの意見も積極的に取り入れることを意識し、自由な発想が生まれやすい組織風土づくりにも注力しています。校長として大枠の方向性は示すものの、基本的にはトップダウンからボトムアップ型の組織にすることで、教員が主体性を発揮しやすい環境を整えています。

組織を変革したことで、当校オリジナルの地域連携、産学交流事業の「TRPプロジェクト(Tachibana Pioneer for the Region Project)」が発足。急速な少子化や過疎化の進展に伴い、地域の学校経営を取り巻く環境が厳しさを増している中で、地域の魅力を知らないまま若者が流出しているという現状に向き合うために、中学生、高校生のうちから地域の魅力を体験し、地域に愛着を持つことで、地域の課題解決に向けて自分は何ができるのかを自分の体験として気づけることを大切にしています。先述した金融教育と併せて、座学と体験をかけ合わせて世の中の仕組みを学ぶことができる取り組みを、当校の特色としてアピールしてきたいと考えています。


生徒の「興味」こそ学びの原点。

STEAM教育の実践として今川義元の英文絵本を作成

これからの時代を生きていく生徒たちに必要な力を育むために、「STEAM教育」の取り組みも始めています。STEAM教育では様々なコンテンツが教材になりますが、当校では英語科の教員が発起人となり、探究学習の一環で英語と日本史、ICTをかけ合わせた英語絵本を作成。当初は学習指導要領が変わり、どのように教育をマッチさせていくか、どのように生徒を評価するか、どのような教材を使うべきか思い悩んでいました。そこで、人は興味を持つと集中して取り組める、という学びの原点に立ち返り、静岡ゆかりの戦国大名である今川義元の史実を英文で紹介する絵本にたどり着きました。

「今川義元」と聞くと、はじめは「桶狭間の戦い」といったイメージしかなかった生徒も、詳しく調べていくうちに知られざる一面が多くあることに気づき、徐々にのめり込んでいきました。歴史について深く学ぶことができたのと同時に、昔の言葉を英語に翻訳する難しさに頭を悩ませながらも、少しずつ英語力も習得。学んだ英語をただ使うのではなく、どのように使えばいいのか。歴史の教科書にはない今川義元の生涯をどのように表現するか。これはまさに学習指導要領における思考力・判断力・表現力が問われる作業です。

また、生徒それぞれに役割を振り分けことで責任感が芽生え、積極的に取り組もうとする主体性、仲間とともに作り上げていこうとする協働する姿勢も身につきました。この取り組みはメディアにも取り上げられ、最終的に絵本を市の歴史博物館に寄贈しました。今後も、STEAM教育の一環としてこのプロジェクトを続けていき、「興味から生まれる学習」を突き詰めながら、校内に広く浸透させていくのが目標です。



常葉大学附属橘中学校・高等学校(静岡)
学 科:
中学校
ー英語・数学のみアドバンスコース、スタンダードコース、αクラス、βクラスの学習団がある

高校
ー英数科、普通科 総合進学コース、普通科 総合芸術コース【吹奏楽専攻】、普通科総合芸術コース【美術専攻】
生徒数:

中学校:1学年:75名、2学年:52名、3学年:59名

高校 :1学年:456名 2学年:440名 3学年:393名



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