インタビュー詳細
catch-img

西武学園文理中学・高等学校(埼玉県) 校長 マルケス・ペドロ先生

※ 掲載内容は2023年7月現在のものです

変化し続ける世界の最前線で

活躍する人材を育成するための教育モデル


「知識伝達型教育」から「生徒中心型教育」へ。

未来社会に必要な資質・能力を育てるために教育モデルを改革。

当校は、埼玉県狭山市にある私立の中高一貫校です。私は幼い頃から祖国ブラジルで日系人の友人を通じて日本語や日本文化に触れ、日本という国に魅了されました。その後大学、大学院も日本語教育を専攻し、社会人になってからも教育の現場で日本語や日本文化を教えてきました。
 
2023年(令和5年)に校長に就任して以来、注力しているのは教育モデルの改革です。長年教育の現場に携わってきましたが、近年の生成型AIやメタバースをはじめとするテクノロジーの進化は著しく、社会は加速度を増して変化しています。本校でも時代の変化に対応するべく、高い学習能力、多様な仲間と協働する力、国際感覚を育成してきました。しかしながら、これらの力だけでは社会の中で起きている大きな変化に対応できませんし、豊かな人生を歩むことはできません。
 
当校では、未来社会に不可欠となる資質や能力を次のように定義しています。
 
①   デジタルシティズンシップ育成……今後、社会生活や家庭生活に大きな影響を与えるAIやITを活用して新しい世界を創り出す力
②   コミュニケーション能力育成……自ら課題を発見し、その解決策を確かなデータとロジックをもって提案する力・仲間の意見に真摯に耳を傾け、クリティカルに考える力
③   国際能力育成……多様な文化的背景を持つ人々と交流し、学びあう・アクセントを気にせず他言語でも意見を主張できる力・日本の魅力を世界にアピールする力
④   全人的ライフスキル育成……困難や問題を、改善の好機としてポジティブに捉える力・身体的、精神的、社会的に健康な状態を持続できる力


これらの能力を身につけるため、また社会で活躍するリーダーになってもらうために、これまでの「知識伝達型教育」から「生徒中心型教育」への移行を実現し、日本の良さや魅力を世界に発信できる生徒を育てていきます。


学校教育は社会に出るための基礎を教える場所。

高校生のうちから社会人として準備をおこなう

教育モデルの変更に伴い、今後はさまざまな実践プロジェクトや探究学習をおこなっていきます。例えば「制服のデザインを考え直す」プロジェクト。生徒はデザインのアイデアを出すだけでなく、学校の教員やデザイナー、各種業者とともに、制服のデザインから仕上げまでの全工程に携わります。業者との打ち合わせやメールでのやり取りの中で、時には失敗もするでしょう。しかしながら、緊張を強いられる環境の中で自分の意見を発信したり、大人ともに同じ問題を解決したりと、その過程を通してしか得られない「学び」もあります。構想段階ではありますが、生徒には必ずプロジェクトに参加してもらい、高校生のうちから実際の社会にアクティブに参加する機会を提供したいと考えています。 


校長に着任した直後には、「学校を考え直す」というプロジェクトを生徒に与えました。これには、生徒が通う学校を変えるのは生徒自身である、というメッセージを込めました。例えば「校則」もそうです。なぜ学校の敷地内で携帯電話を使用してはならないのか、どういう場面だったら携帯電話を使ってもいいのか、ルールを守れなかった場合はどんな罰則を与えるかなど、教員と生徒が議論を行います。教員が一方的に決めるのではなく、今まで当たり前だったものを教員と生徒で更新していくことがこれまでにない取り組みです。ICT委員会がプロジェクト参加メンバーを募集したところ、約30人の生徒が集まるなど、関心の高さがうかがえます。
 
現代の子どもたちは、私たち大人が想像できないほどの情報量に触れています。今後もAIは進化し、これまで以上に情報のスピードも速くなるに違いありません。最近は生成型AIの話題が世間を賑わせていますが、これにしても一方的にツールの使用を否定するのではなく、ツールの良い使い方を考えるべきです。学校教育の役割は、社会に出るための基礎を教える場所。高校生のうちから社会人としての準備をおこなうという姿勢で、これからの学校教育を考えていく必要があると思います。

自分自身の幸せを見つけ出し生涯作り上げられる力を

当校が目指す学校教育のあり方、それは生徒の生涯にわたって役に立つ教育を提供すること。確かに進学実績は大切ですが、何より大切なのは生徒自身が自分の幸せが何かを見つけ出して、その先社会に出てからも幸せな人生を歩むこと。これを実現するために、これまでの「進路指導」も大きく変えていきます。

また、さまざまな国から留学生を受け入れ、学校自体を「ミニ国際化社会」にしていく構想もあります。変化をもたらすのは学校や教員ではなく、生徒自身。実社会と触れ、正解のない問いに果敢にチャレンジしていく場をこれからも提供しながら、変化し続ける世界の最前線で活躍する人材を育成していきます。



西武学園文理中学校・高等学校(埼玉)

学 科:

中学校(グローバル選抜クラス、グローバルクラス) 

高校(グローバル選抜クラス、グローバルクラス、先端サイエンスクラス)​​​​​​​

生徒数:

中学校 1学年 100~120名

高等学校 1学年300~330名​​​​​​​




トップインタビューへ戻る

|CONTACT|

お問い合わせ

スタディサプリ学校向けサービスの導入に関する
ご質問・ご確認は、お気軽にお問い合わせください。
ページトップ