インタビュー詳細
岡山商科大学附属高等学校(岡山) 教頭 三田康成 先生

岡山商科大学附属高等学校(岡山) 教頭 三田康成 先生

※ 掲載内容は2018年11月現在のものです。

変わりゆく社会で生き抜くための豊かな人間性と多角的な思考力を育む


自己を律して、周囲に思いやりの心を。 社会人として通用する生徒の育成を目指して

本校は1911年に男子校の吉備商業学校として創立され、1994年に改称し、男女共学となった、100年以上の歴史と実績を持つ大学附属高等学校です。2004年には県内の私立高校で初となる総合学科を設置し、進学系列、情報・ビジネス系列、工業系列の3カテゴリーで計8コースを開設しました。建学の精神は「学力の伸長」「人格の形成」「身体の強健」で、校訓は「忍耐し、努力せよ、個性を磨き、わが道を行く」。近年は「きちんと時間を守り、社会の一員として自主的に活動する」という心の育成と鍛錬も目標に掲げています。本校の生徒の半数は卒業後に就職しますし、進学する生徒も最終的には社会人になります。在学中に、キャリア学習とともに、ビジネスの場でも通用するような、社会人としてのマナーや考え方を身につけてもらうことは、大きな意味があると思っています。

また、精神的なところでは「他者を思いやる心、共感力」も重視しております。これらは、すべての社会活動における基本だからです。ただし、本校のほとんどの生徒は身につけている力だと思っています。実際、心理分析のデータでも、本校の生徒の共感力は、全国平均よりもかなり高い数値を出しています。専任の心理の先生によると、本校は担任によるケアが細やかで親身なため、生徒もそれに反応し、周囲に対して自然と思いやりを持つという、優しさの循環があるのだそう。過保護になり過ぎないよう注意は必要ですが、生徒と担任の信頼関係は、さまざまな場面において、共に同じ方向を向いて頑張れる力となる、貴重なものだと思っています。

また、同心理分析データにて生徒の「家庭学習の不足」も顕在化しました。これは早期に解決したい問題のひとつでもあります。家庭学習は単に宿題をするということだけではありません。自分の持ち時間を考え、計画を立てて勉強する自己マネジメント力を養う意味もあるのです。自発的に学習ができない生徒は、今後、ますます重要になってくる探求型の授業でも、集中力を欠く可能性があります。大学を受験する生徒はきちんと取り組む傾向がありますが、それ以外の生徒をどう動機付けしていくかは、今後の課題でもあります。

変化の激しい社会において、 多角的に考え、生き抜く力を身につける探求型授業

今、高等学校の教育は大きく変わりつつあります。少子高齢化や人口減少の加速をはじめとする、数々の社会的変化を見据え、文部科学省による学習指導要領の改訂や高大接続改革が進行中です。また、AIが人間の能力を超えると言われる約30年後は、まさに在学中の生徒が働き盛りの頃にあたります。その時、彼らは前例のない課題や、何が問題なのかもわからない課題に多々直面するはずです。働き手として今までにないパフォーマンスと個性を求められることでしょう。

つまり、生徒は卒業直後の近い未来だけでなく、その後にやってくる前例のない社会に対しても、照準を当てて人生設計をしなければいけません。自分に何が足りて何が足りないのか、客観的に分析し一歩ずつ歩まなければいけません。本校では、そのサポートの一環として、総合学科の設置以来、3年次に探求型授業の「ドリカムゼミ」を実施。このゼミでは、生徒自身が選んだテーマに対して多角的な視点で研究してもらい、一連の経験を通じて、より高い学習スキルやプレゼン能力、情報の選別能力を身につけることを目的としています。内容としては、生徒による課題の選択の後、調査、研究、考察、まとめ、発表までを1年かけて行う流れとなっています。

「ドリカムゼミ」の課題は、生徒が自ら設定します。最近印象に残ったのは、「筋トレ」をテーマに設定した生徒のレポートです。体づくりのために、何を食べて、どのような運動をどの程度こなしたら、筋肉がどのように変化したかという緻密なレポートなのですが、身近なテーマでありながら学術的な要素も存分に含まれ、人の役にも立つ内容で見応えがありました。「ドリカムゼミ」を始めた頃は、自分の好きなものをまとめただけ、といった発表も少なくなかったのですが、14年かけて改善し続けた結果、レベルは徐々に向上。現在はほとんどの発表が深い内容となっております。生徒は大変だとは思いますが、これを一度でもやり遂げたら、今までの世界が違って見えるはずです。多角的に考えること、人に興味を持ってもらえるように表現することが、自分をここまで深めてくれるのかと感じてくれると思います。

探求型授業「ドリカムゼミ」

探求型授業の「ドリカムゼミ」レポート発表


岡山商科大学附属高等学校(岡山) 教頭 三田康成 先生

他にはない個性を打ち出して進化を続ける、 地域のニーズに応える学校づくり

学校を運営する上で常に意識をしているのは、地域からの信頼です。エリア的な特性を鑑みても、私学である本校が地域のニーズに敏感でなければ、人気の高い公立に太刀打ちできません。私学の中においても、他校と違う個性や特色は必須。本校の強みであるキャリア教育を活かしつつ、今後は探求型・体験型授業もいっそう充実させていく予定です。また「ドリカムゼミ」の質をさらに上げるためには、指導する教員の意識の変革も必要。従来の座学的な授業から、アクティブラーニングでのファシリテーター的授業にシフトし、効果を図っていきたいです。また、現在のところ進学系列のコース以外、大学進学に対する強い要望はありませんが、今後ニーズが出てきたときのために、体制は整えておきたいと思っています。

私が本校に赴任したのは約30年前。当時は、今と違って授業中の私語が目立ち、席を立つ生徒もいるなど、やや集中力を欠いた状況が続いていました。注意するばかりの日々で、苦労もありましたが、卒業式での3年生の晴れやかな笑顔を見ると、それまでの大変さは忘れ、また頑張ろうと心の底から思えました。現在は、2004年の100周年を機に始まった新しい校風づくりにより、学校内外できちんと挨拶ができ、人の手助けができる生徒がいる、落ち着いた環境となりました。校舎も新しくなり、4階建ての工業実習棟も現在建築中です。取り組むべき課題はまだまだたくさんありますが、その分伸びしろがある学校だと思っています。勉強も人間性も、生徒の実力が最大限に発揮されるよう、本校はこれからもサポートを惜しみません。



岡山商科大学附属高等学校(岡山)
岡山県 学校法人吉備学園 岡山商科大学附属高等学校
学 科:
総合学科(特別進学コース/総合進学コース/ITデザインコース/健康スポーツコース/商大コース/スーパーライセンスコース/自動車整備コース/工業技術コース)、自動車科
生徒数:
1学年293名 2学年265名 3学年246名

岡山商科大学附属高等学校(岡山)



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