インタビュー詳細
広島文教女子大学附属高等学校校長/河田先生

広島文教女子大学附属高等学校(広島) 校長/河田先生

※ 掲載内容は2018年11月現在のものです。

ICT・英語・礼法教育の三本柱で 自立した女性を育てる


先行き不透明な社会を生き抜く 「自立した女性」の育成に注力

本校は広島県広島市にある私立の女子校で、創立70周年を迎えた伝統校です。創設以来、「日本女性の持つ伝統的な礼節・慈愛・勤勉という特性を高揚し、軽薄な社会風潮に流されることなく、正しく強く明るく生き抜く女性を育成する」という建学の精神のもと、自立した女性を育てるための指導を貫いています。これまで、国立大学進学を目指すA(Advanced)コース、多様な進路実現に対応したB(Basic)コースを編成しておりましたが、今年度からは教育者を目指す「教育者育成コース」を加えた3コース制とし、さらに、Aコース内に「スーパー選抜クラス」を加え、Bコース内に「スポーツ・カルチャークラス」を新設しました。学内には、最難関の国立大学・医学部・海外大学・教育専門大学への進学を目指す生徒もいれば、世界的なアスリートや芸術家を目指す生徒もいます。生徒一人ひとりの「なりたい自分」に合わせて、教職員一同でサポートしています。

建学の精神を具体化したものが「真理を愛し正義に生き勤労を愛する人になりましょう」「責任感の強い逞しい実践力のある人になりましょう」「謙虚で優雅な人になりましょう」の三箇条からなる「学園訓」。これらを通じて、「きよらかに、凛とした知性溢れる生徒」「自立した女性」の育成をめざしています。高校は社会に出るための準備期間です。社会で活躍する「自立した女性」を育てるため、生徒が自分自身の成長・向上を実感できる教育を提供したいと考えています。

2019年度から「新学習指導要領」への移行措置が始まり、本年度入学した1年生からは「大学入学共通テスト」が始まろうとしています。このような改革が行われるのは、これからの時代、先行き不透明な世の中を生き抜いていく力が必要とされるからです。こうした状況を踏まえて、これからの高校教育はどうあるべきでしょうか。

本校が目指す教育のあり方は、「変化の激しい先行き不透明な社会を、主体性をもって前向きに生き、国籍や年齢や性別などの異なる多様な他者と協力・協働しながら新しい価値を生み出していくことができる、自立した女性を育てる」教育。それは、現在国が進めている教育改革の方向性と軌を一にするものだと考えています。

スポーツ・カルチャークラス

グローバルに活躍するために必要な ICT・英語・礼法教育の三本柱

社会の高度情報化、グローバル化の進展に対応するために、本校では「ICTの文教」「英語の文教」をスローガンに掲げ、ICTを活用した情報教育、ネイティブ教員による授業を中心とした英語教育・異文化理解教育の推進を図っています。ICT教育においては、全生徒・教職員がタブレット端末を持ち、校内の無線LAN環境も整備。生徒は授業中に情報検索をしたり、家庭学習としてスタディサプリに取り組んだりと、積極的にICTを取り入れた学びを行っています。

また、英語教育においては、テレビ電話システムを活用しネイティブ講師とALLイングリッシュで会話をしたり、朝の時間を活用してリスニング学習を行ったりと、普段から英語に触れられる環境を築いています。さらに、実用英語技能検定(英検)やGTECなどの4技能検定の全員受検も行っています。こうした英語教育の成果は、3・6ヶ月間以上の中期留学、1年間の長期留学に参加する生徒数の増加にも表れています。

本校の教育を語る上で、もう一つ忘れてはならないことがあります。それは、「礼法」 の授業を柱とした日本の伝統文化についての学習活動です。本校では食事のマナー、茶道・華道・和服の着付け・琴などを学び、日本人としての心を育んでいます。近年「もったいない」「おもてなし」といった言葉が取り上げられ、日本の古き良き文化が注目されています。今後グローバル化がますます進展し、社会のあらゆる側面で国際的な流動性が高まるにつれ、日本人の伝統的なものの見方・考え方や行動様式がより一層注目されるようになるでしょう。自国・自民族の文化をしっかりと理解し身に付け、それを堂々と語り表現することができなければ、世界の人々からの信頼を得、国際社会で活躍することはできません。生徒たちに日本の伝統文化を身に付けさせる学習活動も、変化の激しい時代を生き抜く力を育むために必要な取り組みのひとつだと言えるのではないかと思います。

広島文教女子大学附属高等学校校長/河田先生

河田校長と生徒

教員自らが主体的、対話的に深く学ぶ 時代の変化に対応した学びの実践者

「教育は人」。これは私が大切にしている教育哲学です。学びの場には、施設・設備といった物理的な環境もありますが、生徒にとって最も重要な環境は、人的環境であるという意味です。教職員一人ひとりが常に自己研鑽して高い専門性を身に付け、これを発揮するとともに、教職員全員が、これからの社会を見据えた共通認識を持ち、一丸となって教育活動を行っていく必要があります。たとえベテラン教師であっても、これまでの「成功モデル」に執着することなく、時代の変化に対応した「学び」を自ら実践し、学び続ける姿勢を持つことが大切でしょう。新しいことに挑戦するには大変大きなエネルギーを必要としますし、失敗もつきものです。ですが、失敗を含め多くの体験を積み重ねていく中で壁を乗り越えてこそ、教師としての力(教師力)は高まるものだと考えています。教職員が常に「学び続ける」個人でありまた集団でいられるよう、学校の業務改善や教職員の働き方改革などのマネジメントに力を入れることも、校長に求められる役割だと考えます。

校長先生方には、自校の教育改革を推進し教育活動を充実させようと、日々尽力しておいでのことと思います。お取り組みに当たっては、「見えるカリキュラム」に着目するだけではなく、ぜひ「見えない(隠れた)カリキュラム」にも目を向けていただきたいと思います。例えば、教室の明るさ、温度・湿度、掲示物など、学習を取り巻く環境に細かく注意を払っていただきたいのです。「割れ窓理論」というものがありますが、荒れた環境の中で学んでいては、生徒の心はすさんでしまいます。以前校長として赴任した学校で、荒れた学校の雰囲気・文化を変えようと、生徒や先生方と一緒に、校舎や通学路周辺のゴミ・吸い殻を拾って歩きました。すると、少しずつ学校に対する地域の見方が変わり、保護者の方々の協力も増えました。何よりも生徒の表情が変わり、学校の雰囲気が着実に変化していく様子を肌で感じることができました。改革を持続的に発展させることは、決して簡単ではありません。しかし、教育とは、「人を育てることを通して未来を創造する仕事」。日本の明るい未来のために、これからも教職員とともに生徒たちとともに学び続け、学校改革を推進していきたいと考えています。



広島文教女子大学附属高等学校(広島)
広島県 広島文教女子大学附属高等学校
学 科:
Aコース(スーパー選抜クラス、進学選抜クラス)、教育者育成コース、Bコース(スポーツ・カルチャークラス、総合進学クラス)
生徒数:
1学年132名 2学年172名 3学年161名

広島文教女子大学附属高等学校(広島)



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