活用事例

成績下位層の引き上げが課題。教材・授業・テストの連動で、自学自習をバックアップ

拝島高等学校(東京都)
2020.10.21
進路指導部/寺崎先生(写真左)、進路指導部・主任/高橋先生(写真右)
課題
  • 東京都の「学力向上研究校」に指定され、成績下位層に属する生徒たちの底上げに試行錯誤していたが、小・中学時代の学習に抜け漏れのある生徒が多く、一から積み上げていく難しさを感じていた。
  • 担任は学力指導・生活指導・進路指導を担っており、授業をやりながら学び直しの支援を行うのは不可能に近い。どのように下位層の生徒たちを引き上げるかが大きな課題だった。
 活用ポイント
  •  各教科の宿題配信とともに、「よのなか科」の講義も活用。基礎学習だけでなく、トップレベルやハイレベルなど、一人ひとりに合った学習を進めている。
  •  大学・専門学校・就職など進路希望別にグループを作成し、教員からそれぞれのグループに合った情報を適宜配信。グループ内で講義動画の視聴時間を競争させるなど、良い意味で競争原理を働かせて活用を活性化させた。
 活用効果
  •  宿題配信した範囲を授業で取り扱った時に、「スタディサプリの説明の意味がわかった」という声が上がり、スタディサプリとリアルな授業との双方向で学習のバックアップを行うことができている。
  •  配信内容と定期テストの内容を連動させることで、「スタディサプリをやれば点数が取れる」という認識が生徒間で広まり、活用率が100%に近い数字となっている。

下位層の生徒たちに、学び直しをさせる難しさを痛感。
全学年・全教科対応のスタディサプリに活路を見出す

本校は教育活動の柱として「進路指導重点主義」に基づく「温かく厳しい指導」を掲げています。将来の社会人としての生活を視野に入れながら、学習指導、生活指導、学校行事、部活動などのすべての教育活動で、進路選択・進路決定につなげて指導を行い、毎年100%に近い生徒が現役で進路を決定しています。

一方で課題も挙がっていました。学力面で義務教育の範囲が習得できていない生徒たちをどのように指導したらよいかということです。平成28年に東京都の「学力向上研究校」に指定され、成績下位層の生徒たちの底上げについてさまざまな試行錯誤を行っていましたが、生徒の中には、当然知っているべき言葉や漢字が出てこない、算数の繰り上がりや九九から教える必要があるなど、小学校の範囲の学び直しを要する生徒が見受けられました。担任は学力指導と生活指導、さらには進路指導も担当しているため、そのような生徒に対し、一から学習指導を行うのが大きな負担になっていると感じていました。

そんな折、同じく進路が多様だった前任校で、急に学力を伸ばした生徒が使っていたというスタディサプリのことを思い出しました。その生徒は有名医大の看護科に合格したのですが、スタディサプリだけで大学受験を乗り切ったと話していたのです。義務教育の学び直しをしてもらうために、小学4年生~高校までに対応しているスタディサプリは最適ではないかと考えて検討を始めましたが、下位層だけではなく、上位層のフォローにも使えて全校的に学力の底上げが期待できるという確信が生まれ、導入に至りました。

志望進路別、部活別のグループ作成により利活用が活性化。
教員と生徒のコミュニケーションも増加

スタディサプリの活用方法としては、各教科で宿題配信を行うほか、総合的な学習の時間に「よのなか科」の講義動画を活用しています。講義動画を使って生徒それぞれで学習を進めるとともに、年2回「到達度テスト」を実施し、学力の定着を図っています。

また、クラス単位だけではなく、進路志望ごとに「大学進学」「専門学校進学」「就職」の3つのグループを作成し、教員側はスタディサプリのメッセージ機能を使って、それぞれのグループにあった情報も配信しています。部活動などでも同様にグループを作り、講義動画の視聴時間をランキング化するなどの活用を始めていますが、「今回は〇〇に負けたから次はもっと勉強しよう」というような競争原理が生まれて取り組みが活性化し、「毎日見るのが当たり前」という雰囲気も生まれてきました。

スタディサプリの導入に当たってハードルもありました。新しい試みなので、特にデジタルネイティブではない世代の教員にとっては“押し付けられる”感覚があり、はじめは心理的な障壁もあったようです。ところが、外部の研究会に参加した際に、その世代の教員は部活動などのコミュニティに積極的に参加し熱心に指導しているということに気付きました。そこで、スタディサプリのグループ機能を活用して、小さなグループで生徒たちとコミュニケーションを図れるという利点を教員に伝えていくように心がけました。今では、顧問をする部活の部員に視聴時間を競わせ、一番よく学習した生徒にご褒美をあげるなど、上手に活用する教員も増えています。

また、導入当時は校内へのスマホの持ち込みが禁止されていたので、パソコン室を利用していましたが、ログイン時のフォローアップをすることが大変でした。現在も学年が上がる際の更新作業には苦労しています。新入生に対しては、3月20日前後の入学説明会の際に、ログインコードを配付するために、2月中から準備を始めて、春休みの宿題を配信できるよう万全の環境を整えています。今年は新型コロナウイルスの拡大により休校を余儀なくされましたが、スタディサプリの登録作業を春までに終えていたため、休校期間中に活用できて役に立ちました。

緊急事態宣言の中でも生徒の学習を個別にフォロー。
スタディサプリと授業の連動でより理解を深める

今年、緊急事態宣言により入学式が中止となりましたが、生徒への連絡や生徒からの細かなニーズに沿ったコミュニケーションの際にもスタディサプリが大変役に立ちました。例えば、アンケート機能を用いて、「教員からプッシュ型の学習のフォローやサポートが必要かどうか」生徒にアンケートを取り、「必要」と答えた生徒には教員側からコミュニケーションを図りました。スタディサプリがあったからこそ、休業期間も途切れることなく生徒をフォローすることができて、結果として生徒の学習継続につながったのだと思います。それまで活用に後ろ向きだった教員にも一気に活用が広まり、導入の成果を感じています。

通常授業に戻った現在も、宿題配信した範囲を授業で取り上げた際に、「今日の授業を聞いて、スタディサプリの説明の意味が良くわかった」という声が上がり、とても嬉しく思いました。スタディサプリだけでもなく、授業だけでもなく、両方を活用して生徒の理解を深めるという理想的な形が作られつつあります。それを受けて、スタディサプリの内容を定期テストに反映してもらうよう各教科の教員に依頼をかけ、生徒たちの中には「スタディサプリを頑張れば、テストで点が取れる」という認識が生まれてきました。

また、新規採用した教員がスタディサプリで予習をしている姿も印象的でした。「予備校の先生はどんな教え方をしているだろう」と研究して自分のものにしていく若い世代の柔軟な姿勢に、今後の教育現場の新しい風を感じています。

これからの学校は、生徒たち一人ひとりが、それぞれ主体的にいろいろな夢を持って、教員がそれを支援するという「寺子屋」のようなスタイルに変わっていくのかもしれません。教室内で多様な理解度の生徒を指導するためにスタディサプリのようなオンデマンド型の教材は不可欠だと思います。

また、教員は毎年たくさんの生徒を社会に送り出しており、それぞれの生徒の3年間を振り返るのは難しいことですが、可能であれば大人になって再会したときに「あの時こうだったよね」と一緒に振り返りたいと考えています。高校3年間の歩みがデータとして蓄積されて、教員が卒業生のデータを活用しながら、在校生の引き出しのような存在になれたら理想的です。

これからも生徒自身が自らの夢に向かって基礎学力を身につけ、さらに力を伸ばして学んでいくことを促し、生徒の夢を支援して見守っていきたいと考えています。
拝島高等学校(東京都)
学 科:普通科
生徒数:1学年237名 2学年253名 3学年249名  
ページ内容は2020年10月時点の情報です。
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