活用事例

教員負担感のない探究学習の教材を模索。「探究講座」の活用で授業イメージがつかめた

米子北斗中学校・高等学校(鳥取県)
2021.10.26
SDGs・探究学習推進委員会・保健体育科/妹澤 光将先生
課題
  • 5年ほど前から探究学習に取り組んできたが、中・高の6年間でもっと系統立てた学習ができないか模索していた。
  • 教員によっては、探究学習が難しいと感じる場合があり、教科や経験に関わらず、教員の誰もが負担感なく実施できる教材を探していた。
活用ポイント
  • 積み重ねてきた探究学習をアレンジしながら『スタディサプリ探究講座』で論理的に整理。今年度は内閣府主催の「地方創生☆政策アイデアコンテスト2021」に応募する。
  • 「ファシリテーションBOOK」や動画の活用によって授業イメージをつけ、教員が探究学習に取り組みやすくする。
活用効果
  • これまでの探究学習が深まり、より積極的、主体的な学びができるようになった。『スタディサプリ探究講座』の座学においても、自分事として責任感を持って取り組むようになった。
  • 『スタディサプリ探究講座』の活用法をめぐり、教員同士でディスカッションする機会が増えた。コミュニケーションツールとしても一役買っている。

模索しながら取り組んできた探究学習。
重要な2つの柱は「興味研究型」と「課題発見型」

本校は、校訓に「自学自律」を掲げ、自ら学習し、考え、判断し、責任を持って行動する力を身につけることを柱に、知・徳・体の調和のとれた人間の育成を目指す中高一貫校です。変化の速い、かつ多様な現代社会のなかで、困難な課題を解決する「生きる力」を身につけ、社会の各分野において指導的役割を果たす人材に育てるため、日々の教育活動を行っています。

本校が力を注いでいる学びの一つに、探究学習があります。5年くらい前に始めて、模索しながら取り組んできましたが、中学校から高校までの6年間で、もっと系統立てて学習させることができないだろうか、と課題を感じていました。また、探究学習は教員によっては難しく感じる場合があり、教科や経験に関わらず、教員のだれもが負担感なく実施できるようにならないものだろうか、と考えていました。

探究学習における土台構築をしたい、論理的に整理して生徒を指導したい、といった思いがあり、『スタディサプリ探究講座』の受講を検討し、今年度の高校1学年で導入することを決めました。決め手となったのは、探究学習のプロセスで重要だと考えている2つの柱、「興味研究型」と「課題発見型」が、『スタディサプリ探究講座』に組み込まれていたことです。両方わかりやすく揃っている教材は他にありませんでした。また、授業準備から評価まですべてがパッケージ化されていて、探究学習の指導経験の少ない教員でも負担が少なく取り組めるところも、きっかけの一つとなりました。

『スタディサプリ探究講座』を活用して、探究学習を整理。
「地方創生☆政策アイデアコンテスト2021」応募へ

導入した学年(高1)は、中1から探究学習に力を入れてきました。中学校1学年では「地域開発プロジェクト~ふるさとの活性化プロジェクト」をテーマとした探究学習を行い、最終的には地元の議員や米子市の関係者、保護者の皆様にも来ていただいて大掛かりな発表会を開催しました。これが、生徒たちが「こういう学習も楽しい」と思うきっかけにつながりました。中学校2学年で行った職場体験では、訪問した企業の経営者や従業員がどういう思いで仕事をしているのか、共感の部分も大切にしながら、職場の課題を発見して解決していくという体験を目指しました。訪問先からも評価していただき、大きな成果が出ました。こうした学習は「課題発見型」にあたると思います。

中学校3学年は、例年海外研修旅行に行っていましたが、昨年はかないませんでした。台湾に行く予定で、「現地の大学生に地元の山陰を紹介する」というプレゼンテーション企画や、帰国してから「日本人向け台湾おすすめツアー」などを考える計画でした。結果として実施できませんでした。代わりの学習として、一人一人がテーマを決め、課題研究論文を作成しました。これは「興味研究型」だと思います。

高校1学年になった今年度は、導入した『スタディサプリ探究講座』の「課題発見型」を活用して、内閣府主催の「地方創生☆政策アイデアコンテスト2021」に応募しようと思っています。応募にあたって、課題の見つけ方や解決の仕方、視点をもう一度整理する必要がありますが、他の学習と並行させたり、これまで積み重ねてきた探究学習をアレンジできる『スタディサプリ探究講座』の活用によって、机上の空論で終わらず、リアリティを持った取り組みになると思います。

探究学習は、生徒を成長させてくれます。勉強が得意でない生徒でも、探究学習において驚くようなアイデア出すこともあります。中学生のときは「こんなのやりたくない。面倒」などと言っていた生徒が、高校生になると「自分が中心になってやるんだ」という姿勢に変わり、変化を実感します。重要視しているのはプレゼンテーションです。最初は恥ずかしがっていた生徒が、中学1学年から何度もみんなの前でプレゼンをくり返すことで自信を身につけていきます。まわりからいろいろなアイデアをもらったり、評価をもらったりしていくなかで、自己肯定感も高まっていくようです。自己中心的な生徒や依存性の高い生徒が、人間的にも成長していく。そういったところが探究学習のよいところですね。『スタディサプリ探究講座』を活用した座学でも、中学校で行った探究学習と似ているところもあるようで、生徒たちはより積極的に、自分事としてとらえて取り組んでいます。

教員も『スタディサプリ探究講座』の導入で、負担を感じることなく、探究学習に取り組めるようになりました。「ファシリテーションBOOK」が充実していますし、動画で授業イメージをつけられることが大きいです。担任1年目の教員も、楽しそうに実施しています。『スタディサプリ探究講座』という1つの教材があることで、「こういうことをやりましょう」などと教員同士で話をする機会も増えました。教材の解釈の仕方が教員間で異なったりしますが、それこそが探究学習です。教員同士が同じ目線でディスカッションできる。『スタディサプリ探究講座』あってのコミュニケーションだと思います。

生徒が十分な力を蓄えて世界に羽ばたいていけるよう、
充実した学びで「ゲートウェイ」となる学校を目指す

来年度は、高校2学年の後半に『スタディサプリ探究講座』の「興味研究型」をテキストとして、中学3年で作成した課題研究論文の完成版を作成する予定です。これを、大学入試や進路、生徒の将来につなげていきたいと考えています。もともと本校では探究学習や英語学習に力を入れています。今後はそれプラス、プログラミング学習を充実させ、生徒が十分な力を蓄えて社会や世界に羽ばたいていけるような、いわゆる「ゲートウェイ」になる学校を目指していきたいです。


「教員=教える+生徒の自律をサポートする」


そもそも「教える」という言葉があまり好きではありませんが……。与えすぎず、手を出しすぎず、教えすぎず、教員がある程度の距離感をもって生徒に接することで、自律した学習者になっていくのだと思います。生徒が自分で考えて、判断して行動できるように、つかず離れずサポートする、ということが教員の役割なのかもしれません。
普段の授業でも、ほどよい距離を保っています。担任するクラスでは、たとえば席替えや掃除場所の担当なども、生徒に任せています。掃除の目的はきれいにすること。それができなかったらやり直す。教員が何も言わなくても、自分たちで考えながら取り組んでいます。
米子北斗中学校・高等学校(鳥取県)
学科:普通科
生徒数:中学:1学年31名 2学年21名 3学年39名
    高校:1学年49名 2学年39名 3学年33名
ページ内容は2021年10月時点の情報です。
この事例で取り上げられたサービス
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