現在『スタディサプリ』は自宅学習としての活用が中心で、目的は主に2点。まずは、小中学校の学び漏れをなくし、基礎学力を向上させること。そして、大学受験のための対策です。
『スタディサプリ』で配信しているのは、全学年で週2回・3教科の宿題配信と学習習慣の定着のための配信、進路に応じた受験対策配信など。メッセージ機能やアンケート機能を用いて、学校から家庭への連絡や進路志望調査にも活用しています。生徒の間でも、学校のお知らせは『スタディサプリ』に届くという意識が根付いていて、常にチェックする習慣がついています。これらの配信は、進路指導部のICTが得意な教員が担当しています。
課題の量はやや多めかもしれませんが、生徒は積極的に取り組んでいます。未了者に対しては、担任がホームルームで声かけを行うなど、フォローしてくれます。担任も配信のタイミングを知っているので、各自「スタディサプリ for TEACHERS」をチェックしてくれるのですが、これは『スタディサプリ』が学校全体の取り組みだからこそ協力してもらえること。管理職や教務とも引き続き連携し、スムーズな活用を心がけています。進路指導部の活動は、生徒の取組をチェックしたり、ほめて励ましたり、時には放課後に残して指導したりとさまざまです。
受験対策に関して言えば、2年生の特進クラスは「宿題3倍ルール」を設定して配信していますが、これは教員の強制ではなく、生徒と一緒に作り上げた仕組み。特進クラスは全員進学を希望しているので、このクラスの成績上位層をさらに伸ばそうと思ったのがきっかけです。昨年のコロナ休校の際に『スタディサプリ』の追加配信を生徒に提案したところ、すぐに5~6人から「やってみたい」という返信が。これだけでも驚きだったのですが、希望者の数は、その後どんどん増えていったのです。目からウロコの出来事でした。生徒は教員が想像するよりも意欲的で、チャンスさえあれば、チャレンジしたいと思っていたのです。後日の面談でも、苦手な科目を強化したいという声があがるなど、この頃から生徒の学びに対する主体性が見られ始め、きっかけひとつで、生徒達をここまで輝かせられるのかと、心から感動しました。やがて、この雰囲気は学年全体に広がり、最終的には現在の週2回の配信にもつながったのです。
『スタディサプリ』がここまで受け入れられたのは、スマートフォンを使った学習であることが大きいと思っています。生徒は日常の延長気分でスマートフォンに触れ、楽しく学ぶのです。紙の課題で同じ効果が出せるとは到底思えません。もともとポテンシャルを持つ生徒がたくさんいて、『スタディサプリ』の登場で学習意欲が刺激されたのです。長年眠っていた生徒の可能性を明るみに出せた。ただただ感謝しかありません。
『スタディサプリ』を活用し始めてから、明らかに勉強を頑張る生徒が増え、教員の中でも、生徒は楽しければ、ちゃんと取り組んでくれるんだという認識が広がりました。取組状況に反応して、生徒間はもちろん、教員間でも意識が高まり、さらに一所懸命取り組むという、いい流れをつくり出しています。本校が、埼玉県内でトップの取組率であるという知らせにも励まされました。教員にとっては『スタディサプリ』が、進路実績などの成果につながるかもしれないという期待も、モチベーションにつながっているようです。
現在、生徒の中には、5,700問の問題を解き、360時間を超える講義動画を視聴した強者さえいます。自主的に小学校の範囲から学び直し、しかも本人は楽しんでいる様子で『よのなか科』までチェックしています。ここまで熱心な生徒が出てきたのは、スマートフォンで学ぶ『スタディサプリ』のおかげ。進学校でさえ、学ぶ楽しさを感じられない生徒がいる中、勉強を苦手としてきた生徒が、喜んで学ぶ姿を見るのは、何にもましてうれしいものです。
ちなみに『スタディサプリ』の中で、重宝しているのはメッセージ機能。普段のちょっとしたやりとりにも便利ですし、面と向かって言えば厳しく響く内容でも、文章ならポイントで端的に伝えられるので、円滑なコミュニケーションにも役立ちます。昨年のコロナ休校では、期間中に生徒とメッセージでやりとりをしていたので、休校明けに久々に会ったときも、長く離れていた気はしませんでした。SNSでの発言が問題になる昨今ですが、『スタディサプリ』のメッセージ機能は、気持ちの良い距離を保ってくれます。