活用事例

授業でのインプット活用、家庭でのアウトプット活用、小テスト活用を繰り返し定着率が向上

敦賀気比高等学校(福井県)
2021.06.16
英語科/田中先生・井筒先生
課題
  •  今後の大学入試を見据えて、英語のアウトプットスキルを強化する必要がある。
  • 1年次のクラス編成は習熟度別でないため、生徒の学力レベルに開きがある。
活用ポイント

 

  • 授業冒頭10分の帯活動では、主にリスニングやディクテーションなどのインプットを活用。スピーキングなどのアウトプットは自宅で行なってもらう。 テスト範囲に沿った課題、家庭学習時の課題を配信、課題に沿った小テストを実施した。
  • 『スタディサプリENGLISH』を定期テストと連動させることで、生徒に真剣に取り組んでもらう。出題範囲の告知の仕方を工夫し、点数アップと定着率を促進。
 活用効果
  • 授業の冒頭10分を『スタディサプリENGLISH』の時間と決めてからは、授業開始時に教員が不在の場合、指示なしでも生徒自ら取り組むようになった。
  •  継続的に取り組んでいる生徒は、中学3年次に受けた外部試験のスコアと比較して伸びている傾向がある。

 

授業で充分な時間が割けないスピーキング。
アウトプット活動の機会を増やすために導入を決意

英語教育で大事なのは、毎日こつこつと学ぶこと。英語は語学ですので、1日で成るものではありません。日々の積み重ねが何よりも大事です。本校には英語を苦手とする生徒も多く、基礎固めの徹底を心がけています。加えて、音声を活用した指導を充実させたいという想いもあって、長年NHKのラジオ講座を活用していました。

今年の1月から、センター試験が大学入学共通テストに変わり、自ら発信するアウトプット系の英語力に一層の重点が置かれるようになりました。本校でも意識はしてきたものの、取り組み体制は充分とはいえず、今後は従来のインプット系とのバランスを取りながら、アウトプット系の英語力をさらに強化していく必要があります。授業内でいかに生徒にアウトプットの機会を持たせるか、より良い方法を模索しつつも、時代の変わり目となる今、早急な対応の必要性を感じていました。

そんな折に『スタディサプリENGLISH』の日常英会話コースを導入するという話が浮上しました。これまでのラジオ講座からICT学習に変わるという大きな変化だったのですが、英語科主任の主導で話し合いは進み、最終的には「今後、本校ではICT学習に力を入れていく」というコンセンサスのもと、2020年に導入が確定しました。価格がお手頃だったのも後押しになりました。

生徒が使うものですし、自分でも使用感を知っておきたかったので、お試し期間中に自ら1レッスン試してみたところ、興味をかき立てられる教材でした。エピソードは連続性があって、まるでシリーズ物のドラマのようでした。これなら、たとえ聞き逃したとしても、前回分が気になって、1話戻って聞いてみようという生徒も多いと思いました。自分のテンポで飽きずに学べるし、セクションごとの問題を解くと評価されるのも、生徒にとっての動機付けになる。楽しみながら学んでもらえそうな学習ツールだと感じました。

ICT教材を導入するにあたり、意識したのは、生徒に導入のメリットをしっかり理解してもらうこと。活用が始まる前に、時間をかけて『スタディサプリENGLISH』の魅力を生徒に伝えました。今後は、アウトプット系の強化とインプット系のバランスが大変になるが、授業内でアウトプットの時間を捻出することは難しい。でも、これから使う『スタディサプリENGLISH』は、リスニング、ディクテーション、シャドーイングに加えて、スピーキングまで対応しているので、アウトプット活動の機会が格段に増えることを伝えました。また、クラスによっては、タブレットの画面を教室のスクリーンに投影し、使い方を詳細にわたって説明する機会を設けました。そこでは、実際にレッスンを体験し、楽しさを実感してもらうために、スクリーンの画面で1レッスン分ほどのデモプレイを行い、生徒自身にも、手元のタブレットで試してもらいました。このようなアピールが幸いして、生徒の方でも『スタディサプリENGLISH』に対して、ポジティブなイメージを持ってくれたようです。

生徒任せの「やりっ放し」にしない。
教員のひと手間で定着率とテストの点数がアップ

現在『スタディサプリENGLISH』は、授業の最初の10分の帯活動と長期休暇中の課題として活用しています。普段の配信頻度はクラスごとに異なります。積み重ね学習を重視して月曜から金曜まで配信するパターン、他の教科との兼ね合いから、授業日のみ1レッスンを配信するパターンなど、それぞれです。レッスンのレベルは共通して、準2級相当のレベル5ですが、最初はどのレベルにするか迷いました。

特に、1学年は習熟度別クラスではないため、学力にかなりの開きがあったからです。ですので、いったん生徒の英検の級数をヒアリングして全体のレベルを俯瞰し、準2級は頑張って取ってもらいたいという願いを込めて、レベル5としました。また、帯活動に関しては、当初はコロナの予防のために、10分間全てをインプット系のリスニングやディクテーションに当て、アウトプット系のスピーキングは、より安全な自宅で行なってもらうようにしました。

月曜から金曜まで配信するパターンのクラスでは、当初から『スタディサプリENGLISH』の内容をテストに出すと宣言していました。最初は口頭で出題範囲を伝えていましたが、下位の生徒の点数が、思うように伸びませんでした。そこで、帯活動の後にスクリプトをスクリーンに映し出し、重要フレーズや使える表現にアンダーラインを引き強調したうえで、出題範囲だと示したところ、点数は改善されて、定着率もアップしたのです。

スクリプトには翻訳文がついていますが、熟語などの細部まで説明があるわけではありません。『スタディサプリENGLISH』は良い教材ですが、生徒任せのやりっ放しにしてはなりません。生徒の理解度をちゃんと確認して、教員側でカバーしていく必要があります。テストに絡ませたのも、定着率アップを狙ってのことです。生徒の真剣度も変わりますし、実際にテスト期間中に生徒からのリクエストで、出題範囲を再配信したこともあります。ちなみに『スタディサプリENGLISH』で重宝しているのは配信機能です。配信と同時に締切が掲示される上、誰が終わっているか、何分取り組んでいるのか、把握できるのがありがたいですね。

きちんと『スタディサプリENGLISH』に取り組んでいる生徒は成果を上げ始めています。本校の付属中学校からの内部進学の生徒は、中学3年次に受けた外部試験のデータがあるので、スコアを比較してみたところ、取り組み時間に比例して伸びを見せています。英語自体が苦手な生徒に関しては、どんな教材を用いてもなかなか効果が見られず、英語に注力したらその分だけ、他の教科に影響が出てしまうという悪循環があります。同じ特進クラス内に、英検準1級に近いレベルから3級に満たないレベルまでの生徒が混在し、授業の舵取りが難しく、今後の課題でもあります。

授業日に1レッスン配信しているクラスでは、活用直後の1~2週間は、毎日学習記録をチェックして、手をつけない生徒に声かけを行なったところ、生徒の意識が変わり、最終的には2/3ぐらいの生徒が、声をかけなくても取り組んでくれるようになりました。また、当初は、提出したのに未提出扱いになっていたり、実際に提出した時間とずれていたりと、提出関連の不具合が散見されたため、設定範囲の1日を3日にして余裕を持たせたところ、うまく機能してくれました。1レッスンの提出期限を3日にして、それを1年間のレッスン分、都度対応したので、なかなか大変でした。

このクラスでは、『スタディサプリENGLISH』を使い始めてから、生徒の授業に対する姿勢が変わりました。安定したと言えばいいのでしょうか。教員は不測の事態の対応などで、授業の開始時刻が遅れることもあります。昨年度は、授業の最初の10分を『スタディサプリENGLISH』時間と決めてから、教員が不在であろうと、指示がなかろうと、生徒は授業の開始とともに『スタディサプリENGLISH』を始めてくれるようになりました。これは授業マネジメント的にも大きな意味があります。イヤホンを使った学習なので、おしゃべりすることもなく、集中して勉強できるのもいいです。いろいろな意味で『スタディサプリENGLISH』にはメリットがあると改めて認識しています。

英語は、コミュニケーションを取るためのツール。
完璧さを求めず、まずは気軽に話してみることから

『スタディサプリENGLISH』を使って、やってみたいことは他にもあります。例えば、本校では外部試験を導入しているので、スピーキングなどは昨年度分のデータがあります。内部進学の生徒でしたら中学分からありますし、このようなものを有効的に比較・分析したいですね。あとは、生徒に年間を通しての使用感をヒアリングするなどして、今後の活用に活かしたいです。また、希望としては、生徒が実際スピーキングに取り組む姿を画面で見られたらと思います。アウトプットであるスピーキングは重要ですが、授業では充分な時間を割けません。その分きちんとやっているか、教員側から確認できるようになったらありがたいですね。

英語を何のために学ぶのかといえば、人とコミュニケーションをとるためだと思います。本校には、大学や短大に進学する生徒もいれば、就職を希望する生徒もいます。卒業後の進路はさまざまですが、生徒には、どんな人ともコミュニケーションを取れる人間であってほしいと思っています。自分の価値観から、上に見たり、下に見たりするのではなく、人の特性をあるがままに受け入れる。外国の人に対しても、「特別な人だ」と構えずに接して、自然なコミュニケーションが取れる人間であれば、社会で重宝されますし、自ずと活躍の場も増えることでしょう。

学校では、どうしても受験やテストに意識が向きがちですが、英語はそもそもコミュニケーションの手段、いろいろな人と交流するためのツールです。今の生徒が、大学を卒業して社会に出る頃には、会社はもちろん、身近に外国人がいるのが、当たり前の風景になっていることでしょう。時代はどんどん変わります。近い未来に、英語を話すことは、もはや「特別なこと」ではなく「当たり前のこと」になります。今の日本は、まだ英語に対するアレルギーが残っています。英語を話すなら流暢でなくちゃいけない、という考えも根強く残っています。でも、他の国では、なまりが強い英語でも堂々と自分の意見を述べる人も少なくありません。英語は実際に使ってこそ生きるものです。肩肘張らずに気軽にコミュニケーションしてくれたらうれしいですね。
嶺南学園敦賀気比高等学校(福井県)
学科:普通科(特別進学コース/進学コース/教養コース)
生徒数:1学年239名 2学年241名 3学年204名

ページ内容は2021年6月時点の情報です。
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