活用事例

区の主導による『スタディサプリ』の一斉導入。
固定概念にとらわれない活用方法で、学校改革を実現

北区立神谷中学校(東京都)
2021.03.10
校長/島津 睦雄先生
課題
  • 生徒の学力向上を図りたい。そのための一助となりうる『スタディサプリ』の効果を実証し、来年度への活用継続へとつなげたい。
 活用ポイント
  •  夏休みまでは休校期間の遅れを取り戻すために活用させる。2学期以降は、1・2学年は授業と並行して、3学年は受験対策も兼ねて、個別に最適化して活用させる。
  •  『スタディサプリ』の活用率を効果的に高めるために、学校で活用する時間を設定することにした。朝学習で15分と、放課後学習で15分~20分、毎日30分程は「スタサプ時間」とした。
 活用効果
  •  導入前から綿密に準備をしていたため、初年度であるにもかかわらず、活用率が高い。

『スタディサプリ』活用による学力向上に期待
他校のモデルケースになるという挑戦

本校は「確かな学習の保障」を学校経営の軸としています。学力向上のために有用な手段があれば、固定概念にとらわれずに、まずはいろいろと試してみる、というスタンスで臨んでいます。そのような中、今年度は幸いにも、『スタディサプリ』を区立の全小中学校47校に導入することになりました。ICT教材の本格的な活用にあたって、体制を整える必要はありましたが、本校の教員は基本的に「新しいもの」に対する免疫力があるので、その点は安心して準備を進められました。実際、否定的な意見はまったくなく、むしろこの挑戦をきっかけに、本校のさらなるレベルアップを目指せると、好意的に受け止めてくれました。

活用開始は6月1日からでしたが、開始日からスムーズに活用できるよう、5月上旬から導入に向けた取り組み・準備をスタート。休校中ながら、にわかに教員たちが活性化しました。まず教務主幹教諭と学力向上担当の教員に『スタディサプリ』の概要を説明。次に、北区教育委員会から提供されたテストアカウントで機能や使い方を確認。さらに『スタディサプリ』から提供された年間学習計画にアレンジを加え、本校独自の5教科年間スケジュールと、各月の学習目標項目の一覧を作成しました。

最後に、タブレット端末の補充です。もとから保有する端末だけでは、1・3学年分しか行き渡らない状況でした。そこで、不足の2学年分は、北区教育委員会から東京都の貸し出し用タブレット50台を手配してもらいました。こうして、若干のタイムラグはありましたが、最終的には全校生徒に端末が行き渡り、すべての学年が同じ条件のもと『スタディサプリ』の活用ができるようになったのです。この一体感に、生徒だけでなく、教員のモチベーションも上がったのではないでしょうか。

他校がまだ手探り状態の6月に、区内の中学校の教員を本校に集めて『スタディサプリ』の説明会を開催しました。そこでアカウント設定の話や、本校での活用計画と実行内容などを共有しました。結果、本校の流れを踏襲し、学校主導の活用を始めた学校もあれば、あくまでも家庭学習用のツールとして、活用を生徒の自主性に任せた学校もありました。その後の定着率には開きが出ました。小学生と違い、中学生は成績・学力の差が出始める時期で、部活動や塾などの要素も加わります。その中で、ただ生徒の自主性に委ねるだけでは、定着させることは難しいです。学校側が生徒の生活パターンのさまざまな要素を鑑みて、「活用させる」仕組みを構築する必要があります。導入から活用に至るまでのスタートアップの時期には、いろいろと考えさせられました。

このような説明会の開催や、その後の他校からの相談受付など、なぜ本校がここまでするのかというと、ひとえに『スタディサプリ』の有用性を信じているからです。初年度である今年度は、まだまだ試行錯誤を繰り返しています。しかし、この経験から問題点を洗い出して改良し、良かった点をさらに高められれば、来年度、再来年度と、時間を重ねるほどに活用方法は洗練されて、学力の数値的な側面も目に見えて上がるはずです。頑張らない手はありません。ただ、当初の6月の導入時点では、区が来年度も活用を続けるのか、確証はありませんでした。

実際、継続を疑問視する方からは「きちんとシステムを整えても、来年度の活用はないかもしれませんよ」と言われたこともありました。とはいえ、区の方では前向きに考えているという話も耳にしていましたし、とにかく継続の可能性を信じたいと思いました。「来年度も継続させたい」そのためには、区内のいずれかの学校が『スタディサプリ』活用をうまく定着させ、効果を少しでもアピールする必要があります。ならば本校が進んでその役割を担おうと思いました。新しい挑戦には慣れていますし、やりがいも感じます。何よりも私自身が本校で来年度も活用を続けたい。多少の手間はかかりますが、「やらされている」ということは一切ありません。むしろ積極的に何でもトライして、その中からメリットやデメリットを見つけたい。そしてその経験を共有して、区のすべての学校の学力が向上する後押しをしたいと思いました。

定着率を効果的に高めるために、
学活の時間帯などを大胆に変更

本校での『スタディサプリ』活用は、開始日の6月1日から夏休みまでは、休校措置で遅れた授業のキャッチアップがメインでした。2学期以降は、1・2学年は授業と並行して、3学年は受験対策も兼ねて、個別の課題を意識した活用を行っています。

また、朝学習での活用も盛んです。朝学習とは、本校で以前から行っている朝の学活前の15分間学習です。毎日5教科のうちの1教科をローテーションで順番に勉強し、5教科全体の基礎学力の向上を目指しています。これまではプリントを使用していましたが、今年は『スタディサプリ』を当てはめてみたところ、一定の手応えを感じています。この流れ、『スタディサプリ』の学校での活用を加速するために、もっと何かできないかと模索し、一日の生活時程表を変更することにしました。

中学校としては珍しい動きだと思いますが、具体的には、今まで5・6時間目の授業後に行なっていた終学活・清掃の時間を、給食の直後に前倒しし、その分フリーになった授業後の15~20分程度を『スタディサプリ』に取り組む時間に変えたのです。この時間が終わったら生徒は自由で、下校しても部活に行ってもOK、というルールにしました。朝学習は据え置きですので、少なくとも、朝と放課後に『スタディサプリ』を使って、集中的に学習していることになります。

また、1・2学年については、月ごとに個人の視聴時間や回答率などのデータをまとめ、取り組みが充分でない生徒は放課後に残らせて、30~50分のフォローアップ学習を行っています。教室に各学年10~15名程度を集めて、家庭学習支援員の下、補充的に『スタディサプリ』に取り組ませます。「家庭学習支援」とは、北区の施策で、家庭学習を学校でできるという放課後学習のシステムです。フォローアップ学習は、この仕組みとのタイアップとも言え、『スタディサプリ』の高い定着率の実現にも一役買っています。ただ、3学年に関しては受験の関係で居残りがしづらいため、来年度は何か別の形でフォローアップできる仕組みを考えなければなりません。

なお、1・2学年については、12月の三者面談で『スタディサプリ』の取り組み状況の個票を、生徒と保護者に渡しています。自分のやってきたことが可視化されることにより、生徒の意識を高めるのに役立つと思いました。これは今後も続けていきたいですね。

近い将来の小中一貫校への変更を見据え、
小中連携を強めて活用をよりスムーズに

今後は宿題の3割を『スタディサプリ』から出せるよう調整していきたいと思っています。さらに次の春休みには5割以上、その後の夏休みは8~9割まで、というように段階的に割合を上げていきたいですね。宿題もペーパーレス時代の流れを意識したいですし、デジタル学習も増やして慣れさせたい。このように、生徒だけでなく教員の中の「教育の感覚を変える」点は、今後ますます重要になってくると思っています。

私自身は、小学校校長の経験を経て中学校の校長になりました。これまでにもさまざまな学校改革を行ってきました。その改革の際には、中学校だけを考えるのではなく、一段階前の小学校の状況も意識してきました。本校は令和6年に、1学年から9学年までの小中一貫校へと変わります。それを見越して、現在は小学校の教員への働きかけも行っています。小学校での『スタディサプリ』の活用内容や定着度次第で、中学校での活用効果は変わってくるからです。中学校と同時に小学校の研究を深めながら、研修を重ねたいと思っています。ちなみに、現在小学校には学習用の「放課後プラン」などがあるのですが、児童は授業が終わったら、三々五々に下校してしまうようです。このプランを『スタディサプリ』活用の時間として使えたら素晴らしいですね。そのためにはルール改正などが必要にはなりますが、働きかけていく価値はあると思います。

今年度は休校措置の関係で、学期半ばからの活用となってしまいましたが、来年度は4月から使える状態にありますので、1年間フル活用する場合のメソッドも確立したいと思っています。その流れの中で、学年ごとの特性を考慮した活用方法の構築をする必要も出てくると思います。例えば1学年。本校の生徒は2校の小学校から入学してくるため、今年度の各小学校の『スタディサプリ』活用程度によって、本校のやり方にスムーズに適応できるかどうか、差が出ると予想しています。その差をどう埋めるか、考えていかなければなりません。

この春から、導入2年目となりますが、まだまだやるべきことはたくさんあります。今後も引き続き、地ならしを行い、環境を整えながら、生徒が達成感を感じられる取り組ませ方を積極的に模索していきたいと思っています。
北区立神谷中学校(東京都)
生徒数:1学年34名 2学年49名 3学年45名  
ページ内容は2021年3月時点の情報です。
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