活用事例

講義動画を活用した反転授業を採用。英語・数学の学力差を埋める予習ツールに

山手学院中学・高等学校(神奈川県)
2020.01.29
進路指導部部長・数学/片山先生(写真右)、数学/小島先生(写真左)
進路指導部部長・数学/片山先生(写真右)、数学/小島先生(写真左)
課題
  • 中学入学時における生徒の学力は大体同レベルだが、学年を重ねるごとに学力差が開き始める傾向にある。特に積み上げ教科である英語と数学の学力差は顕著。
  • 生徒個々のレベルに合わせた指導を行いたいが、教員のマンパワー的に難しい。
 活用ポイント
  • スタディサプリの講義動画を「復習」ではなく「予習ツール」として活用。配信する時期を中長期の休み前に絞り、休み後に扱う授業の範囲と照らし合わせて講義動画を選定。確認テストとともに配信を行う。
  • 講義動画を活用した反転授業を採用。生徒には事前学習を済ませてもらったうえで授業に臨んでもらう。
 活用効果
  • スタディサプリ導入後、外部の学力テストでの偏差値が大幅に上がった。例年の平均偏差値に比べて6〜8ほど高く、成績下位者も激減した。
  • 応用問題や発表など、より発展的な授業が可能になり、生徒の学習意欲も向上した。

スモールスタートから始めたスタディサプリ 3年間の効果と実績をもって拡大導入へ

本校がもっとも大事にしている言葉は「自由」。教育方針が示す「自らに誇りを持つとともに、他者の誇りと他者の自由を尊重する姿勢のうえに成り立つ自由」というものを、学校として何よりも大切にしています。 それは学業の面でも同様で、生徒の自主性を尊重しています。生徒は学校から勉強を「やらされる」のではなく、自ら進んで学ぶ学習者となってほしい。そのような生徒の姿勢をサポートすることこそ、本校が「自由の学院」と言われるゆえんであり、学校としての誇りでもあります。

本校が抱える課題は、生徒間の学力差です。中学入学時には大体同じだった成績が、学年が上がるにつれて差が出始め、その差が年々開き続ける傾向にありました。特に積み上げ教科である英語や数学は、その傾向が顕著。一度授業が理解できなくなってしまうと、その応用である次の授業も、そのまた次の授業も理解できなくなり、気がついた時には多くの脱落者が出ているのです。学校として、この悪循環を何とか食い止める必要がありました。

クラス内の学力の幅は幅広いため、同じやり方で教えて、同じように理解してもらうのには無理があります。通常の授業を行いながら授業内容をきちんと定着させることはもちろん、学び直しが必要なレベルの生徒のサポートをしつつ、成績上位者にはもっと進んだ学習の機会を与え、個々の生徒をベストな体制でサポートしたい。そんな「学びの個別最適化」に悩んでいた時に知ったのが、スタディサプリでした。
スタディサプリには目的別の講義動画が豊富にあって、宿題の配信もできるうえ、その情報管理もしやすい。本校の色々な悩みを一度に解決してくれそうなサービスに、魅力を感じました。授業の補助ツールとして機能させれば、生徒のレベルに合わせた細やかな学習指導の実現と同時に、教員の業務負担も軽減できそうだと感じ、同学年の教員に導入を働きかけてみました。
進路指導部部長・数学/片山先生、数学/小島先生
とはいえ本校は中高一貫校でクラスも多く、学校全体として導入の意思決定をするのは難しい状況でした。そこで、まずはトライアルとして中学2学年に導入したところ、予習教材としてうまく作用しました。その翌年には、入試改革対策におけるポートフォリオの必要性から、高校1学年にも追加導入し、中学3学年に進級した当初の中学2学年も、引き続き活用を続行。そして今年度はついに、中学1学年から高校2学年まで拡大しての導入に至りました。スモールスタートから始め、段階を踏み、活用目的も調整しながら、学校や教員に効果を認めてもらったうえでの、嬉しい展開となりました。

予習中心の活用で、効率的で濃密な授業を実現 使い込むほど学力の底上げにも貢献

スタディサプリの活用方法や利用頻度は、学年や教科によってさまざまですが、もっとも多いのは数学と英語の「予習ツール」としての活用。生徒には、授業前に基礎的な部分を講義動画で予習してもらい、授業は応用的な時間にあてるという、反転授業のサポートツールとして役立てています。例えば、中学から持ち上がりの5クラスの数学では、夏休みやゴールデンウィークといった中長期の休み前に、休み明けに扱う未習範囲の単元を、動画と確認テストのセットで宿題配信。さらに、休み明けに教員が作成した該当範囲のテストを実施するという流れを構築しました。そして、このテスト結果をもとに生徒の理解度を把握し、授業では生徒が理解できていなかった箇所、教員として深掘りして伝えたい箇所を丁寧に説明するようにしています。そのほかにも、テストの結果が悪かった生徒は放課後の補講で動画を視聴したり、授業の内容を深く理解したい生徒は動画を「復習用」として活用したりと、個々の学力や状況に合わせた活用を行う生徒も見受けられるようになりました。
スタディサプリ確認テスト
春・夏・冬の長期休暇やGWなどの中長期休暇を活かし、予習中心の学習を続けることによって、授業内容の定着率・密度も上がってきました。本来であれば授業で初めて学ぶ内容も、生徒にとっては2回目になるのですから、当然吸収率も違います。基本的に、予習で済ませておく基礎的な部分はあくまでもサッと触れる程度で、メインは応用にあてています。生徒自身も万全な体制で授業に臨んでいるため、以前よりもスピーディでありながら、内容自体はぐっと濃厚な授業になりました。例えば、教科書に載っていない解法を、生徒自身でいろいろ考えてもらい、授業内で共有してもらうなど、生徒が発想力や想像力を駆使して、多角的な視点から問題に取り組み、発表するような時間として使うことも可能になったのです。これは今後の大学入試を鑑みたうえでも、大きな意味があることだと思っています。

本校ではスタディサプリの定量的なデータは細かく集計していません。ただ、感覚として生徒のモチベーションは上向き、成績にも良い影響を与えていると言えます。スタディサプリの導入以降、外部の学力調査においてもスタディサプリで学んだ学年だけ、偏差値が目立って高いという結果が出ています。以前のクラス偏差値より確実に上がり、成績下位者も激減しました。特に初年度の中学2学年から取り組んでいた学年の結果は顕著に出ています。彼らは現在高校1学年ですが、模擬試験でも良い成績を納めています。さまざまな要因はあると思いますが、スタディサプリはこれらの結果に大きな役割を果たしていると思っています。

また、スタディサプリの導入は、学力と違った視点でも成果に現れました。生徒が冬場にインフルエンザなどで長期欠席すると、一定期間の授業内容が丸々抜けてしまうことがあると思います。通常であれば、登校してから友人のノートを借り、急いで追いつかなければいけません。でも、スタディサプリを利用すれば、病気後半の回復期であれば自宅でも動画を視聴できるので、授業を欠席したとしても追いつくことができるのです。自宅で動画を視聴していてわからなければ、登校して教師に質問すればいいのです。このプロセスなら、フォローする教師の負担も、生徒の心理的ストレスも大きく軽減できます。スタディサプリは、このような場合の学習インフラとしても心強い存在です。

自ら学ぶ生徒を育成するために ベストな環境で可能性を引き出すサポートを

今後はスタディサプリを、いわゆる教科の学習的な部分だけでなく、さまざまな面で活用できたらと思っています。例えば「先生メモ」が進化したら、生徒面談などでももっと利用してみたいですし、その他にもできることはもっとあるはず。でも、まずは今までの活用に磨きをかけ、効果を出し続けることで、学年はもちろん、学校全体での活用率を少しでも上げていきたいと思っています。すべての生徒がベストな環境で、ベストな結果を出せるように、これからもしっかりサポートしていくつもりです。

先生にとって「教員=教える+○○(新しい役割)」の○○にあてはまるこれからの教員のありかたとは―

進路指導部部長・数学/片山先生、数学/小島先生

【小島先生】「教員=教える+楽しませる」

「船を造りたいのなら、男たちに木材を集めさせたり、仕事を割り振り、命令したりする必要はない。代わりに、彼らに広大で無限な海への憧れを説けばいい」という『星の王子さま』の作者として有名なサン・テグジュペリの言葉が好きです。生徒たちにも、ただ教えるだけではなく、学びを楽しいと思ってもらい、自発的に行動を起こしてもらえるような、きっかけを与えられたら嬉しいですね。

【片山先生】「教員=教える+自由」

「自由」は本校が何よりも大事にしているもの。教員は教える立場ではありますが、生徒の自由を尊重し、彼らが自ら成長しようとするプロセスを、温かく見守っていきたいと思っています。
山手学院中学・高等学校(神奈川県)
学 科:普通科
生徒数:【中学校】1学年242名 2学年205名 3学年209名【高校】1学年605名 2学年489名 
山手学院中学・高等学校
ページ内容は2020年1月時点の情報です。
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