当校では約8割以上の生徒が部活動に参加し、選抜にてベスト4を果たした硬式野球部や、全国大会に出場したサッカー部、インターハイで優勝者を出したテニス部をはじめ、部活動が盛んです。学生寮も完備し、全国各地から「この部活に入りたい」と当校を志願する中学生も少なくありません。その一方で近年は、少子化の影響を避けることができず、志願者数が減少傾向にありました。また、2020年には私たち教員が体験したことのない大学入試改革も控えており、志願者減少に歯止めをかけるため、そして、来たるべき大学入試改革に備えるために、今こそ、学校として新たな価値を創造しなければならない。挑戦と変革の必要性を感じていました。
「他の高校には真似できない羽黒高校の特徴とは何か」というテーマに徹底的に向き合い、私たちが目指したのは「部活だけでなく勉強もできる」という生徒を育てること。高校3年間を通して、部活動だけでなく、勉強にもとことん打ち込める環境や仕組みを生徒に提供することを重視しました。そのためには、生徒の基礎学力向上が欠かせません。そこで私たちの頭を悩ませたのが、学科・コース内(間)の学力の幅でした。
当校は、大学や専門学校、就職と多様な進路を目指す生徒が混在しています。これまでは上位層の生徒を集めて受験対策を行ったり、下位層を集めて学び直しを行ったりしていましたが、学科・コース間のカリキュラムが異なるため、一律の指導ができず教員へ大きな負担がかかっていました。そこで、新たに教育改革の3本柱として打ち出したのが「進路別・習熟度別授業」です。生徒を希望進路や習熟度に合わせて「ひとくくり」にし、学科やコースの垣根を超えて授業を行うことができるのです。教員にとっても指導の負担が減り、生徒にとっても学力に合った指導を受けられるのです。当校が掲げた教育改革に向けて準備は整い、あとは改革を推進する上で軸となる教材を探すことでした。