活用事例

教育改革に備え、自学自習の仕組みと教員の負担軽減を検討。デジタル+紙で理解も浸透

小倉南高等学校(福岡県)
2019.12.05
左から)進路部・英語科/江下先生、進路部長・地歴公民科/大神先生、研修部長 指導教諭・数学科/小出先生
左から)進路部・英語科/江下先生、進路部長・地歴公民科/大神先生、研修部長 指導教諭・数学科/小出先生
課題
  • 今後の教育改革を見据えて、デジタル版のポートフォリオ作成や、生徒が自ら取り組み活用できる仕組みを今のうちに構築しておきたい。
  • 教育改革への対応による教員の負担をなるべく軽減したい。
 活用ポイント
  • 数学では、模試の結果に連動した宿題配信を実施。理解度を深めるために、出力した確認テストをノート上で実際に解いてもらい、そのプロセスを教員がチェックする。
  • 英語のセミナーの補助ツールとしてスタディサプリENGLISHを使った家庭学習を展開。また、ポートフォリオへの活動記録記入で、新入試対策を開始。
 活用効果
  • 英語のセミナーで用いた「アンケート機能」に効果を実感。授業に対する生徒の生の声を集計・分析できるので、セミナーの設計、ブラッシュアップに役立っている。
  • ポートフォリオ作成はもちろん、各教科でもプリントやシートなど紙に「書く」ことを重視。デジタルと紙での学習を併用することで、生徒の理解の浸透、振り返りのよい機会となっている。

近い将来に備えてできる限りの準備を デジタル学習補助ツールの導入という挑戦

本校が大切にしていることは主に2点あります。ひとつ目は「自学」。生徒が自ら考え、自己を育てる力を養うということ。学校としても、生徒が社会で通用する人間に成長できるよう、自ら学ぶ機会を積極的に提供しています。例えば、日々の学習についてはもちろんのこと、修学旅行や文化祭などの学校行事に関しても、生徒が中心になってアイデアを出し、運営できるようサポートしています。ふたつ目は、「エラーを恐れずに新しいことにトライする姿勢」です。ひとつ目の自学にも通じますが、現状維持を良しとするのではなく、自分の殻を破って、自らの可能性を広げていくこと、これには大きな意味があると思っています。

本校の課題は、今後の教育改革に向けて、デジタル版ポートフォリオの作成や、生徒が自ら取り組み活用できる仕組みを今のうちに構築しておくことにありました。特にポートフォリオは、大学入試の出願時や生徒のPDCAサイクルを習慣づけるために、できるだけ早く利用したい。入試の変化に対応するためにも、新たな学習教材の導入にも迫られていました。「これらのニーズを満たすツールは果たしてあるのか」、そんなときに頭に浮かんだのが、スタディサプリでした。以前スタディサプリを個人で契約し、活用していたため、スタディサプリがどういうもので、どのようなメリットがあるかはすでに理解していました。

パソコンやスマートフォンを使っての学習補助ツールということで、当初は教員や保護者からの反対意見もありました。きちんと運用でき、効果も見込めるツールであるということを示す必要があったので、説明会を実施して学年主任に丁寧にメリットを伝えました。機械が苦手な教員も少なくなかったため、パソコン類の扱いに強い進路指導部のスタッフにもサポートをお願いしました。

スタディサプリ導入の決め手になったのは、他社と比較してもコンテンツが充実していること。当初希望していたポートフォリオや予習・復習ツールとしてだけではなく、マンパワー的にカバーできない英語の資格試験の、リスニングやスピーキングの指導もできる。さらに講師陣のレベルが高く、コンテンツの分類もわかりやすい。学習メリットが大きく、さらに生徒にとっても扱いやすく、教科間での連携も取りやすそうだと感じました。とはいえ、実際に運用できるのか学校として検証する必要がありましたので、まずはトライアルでログインできるようにし、サービスを体感したうえで導入を決定しました。

授業やセミナー、資格取得の補助ツール ポートフォリオ作成など幅広く活用

現在の活用目的は主に4点。生徒の学力補充、週末課題における活用、模試の結果をベースにした生徒の弱点のカバー、そしてポートフォリオです。

具体的な活用の流れとして、数学科の場合は、模試の結果をもとに、全国平均と比較して正解率が低かった問題をピックアップし、週末の宿題として動画を配信。生徒には自分自身の力で問題に取り組み、きちんと理解してもらいたいので、動画内の「確認テスト」をコピーしたプリントも配布し、ノートに貼らせてから紙上で解かせています。「見る(視聴)」と「書く」ことには異なる学習作用があるので、手間はかかりますが双方を大事にしています。その後、提出されたノートから生徒が解いたプロセスをチェックし、続けてスタディサプリの「確認テスト」に取り組ませ、その時点でわからない問題があれば、動画で学習し、再度問題に取り組むよう指示しています。

最終的に得点率が100%になるまで、この過程をくり返し行ってもらい、その間for TEACHERSで生徒の取り組み状況を確認。取り組んでいない生徒がいれば注意し、それでも終わらなければ、放課後にパソコン室で指導しています。教員自身で動画を視聴する機会も多く、講師陣から指導法などを学び、指導に活かしています。その意味では、生徒だけでなく教師の勉強にもなっていますね。
生徒の学習ノート
英語科では、検定試験前や模試前などに『Intensive English Week』という英語集中週間を設定しています。この期間は、英語の動画を1日1本以上視聴し、そこで学んだフレーズなどを紙に書き出さなければなりません。その中でも、『イングリッシュスキルアップセミナー(ESUS)』という補講授業の補助教材として、スタディサプリENGLISHを使用しています。セミナーでは4技能のうち、「スピーキング」を指導し、リスニングやリーディングなど他の技能をスタディサプリENGLISHで学習してもらっています。また、for TEACHERSではクラス単位だけでなくグループ単位でのメンバー構成もできるので、検定試験の受検者を「準2級グループ」「2級グループ」といった枠でまとめ、そこに検定試験関連の講座を配信しています。

スタディサプリを活用する上で、教員として気をつけているのは生徒のモチベーションが落ちないようにすること。適度な課題の分量に配慮し、今週は数学を配信したから次週は英語というように、国語・数学・英語の担当者で話し合ってから、配信するよう心がけています。今では、他教科でどのような課題を配信中なのかがわかるようになり、教科間での調整をより密に行えるようになりました。for TEACHERSの機能では、特に生徒の宿題取り組み状況がひと目でわかるのがありがたいですね。宿題の状況が「提出」「取組中」「未着手」で分類されるので、完了している生徒以外に声をかけ、状況の確認を行っています。

また、これまで体育大会や校外活動で記入させていた「事前学習シート」「振り返りシート」のポートフォリオへの入力もスタディサプリの「アンケート機能」を利用することで、新入試への対応を進めています。「書く力」を養うために、前半はそのイベントに対して振り返らせるいくつかの小問で構成し、最後に600字程度のまとめを記述させ、その実際に書かせたものを残したままスタディサプリの「アンケート機能」に入力させることで、双方でポートフォリオを作成させています。生徒にとっては、自己の活動を2度振り返ることで、本質的な気づきを得ることが可能です。この機会を生徒なりにうまく活用してほしいですね。

目的に合わせて「アンケート機能」を日常でも活用し 授業内容の改善とブラッシュアップをはかる

今後、スタディサプリの活用において本格的に取り入れたいのが、アンケート機能を使った「授業評価」です。これまで年に2回授業評価アンケートを行っていましたが、スタディサプリのアンケート機能を活用することで、高い頻度で調査できることに加え、その評価をもとに授業改善を重ねることができます。さらに、教科の特性や指導スタイルに合わせて質問項目を設定し、より詳細なフィードバックを生徒から得られるという計り知れないメリットがあります。

すでに『イングリッシュスキルアップセミナー(ESUS)』ではアンケート機能を活用しておりますが、アンケート結果から生徒のニーズと満足度を把握し、次のセミナーの設計に活かしています。調査では、伸ばしたい技能や苦手意識のある技能、ESUSへの期待などを調べることで、「生徒が今何を求めているか」を教員の感覚ではなく「ファクト」に基づいて分析することが可能です。厳しいコメントも寄せられますが、生徒の生の声を受け止め、分析結果に合わせた指導改善を行っています。生徒の要望を受け、必要に応じて資料配布や希望者向け補講などに展開できる柔軟さもあって使いやすいです。回を重ねるごとにデータが蓄積されるので、ESUSの授業内容とともに学習環境も確実にブラッシュアップされ、生徒にも教員にも大きな利益となっています。このような建築的な試みを、今後も積極的に試していけたら良いですね。

先生にとって「教員=教える+○○(新しい役割)」の○○にあてはまるこれからの教員のありかたとは―

教員=教える+ファシリテーター

「生徒が自ら考える力を育てること」。本校が教育の軸に据えるポリシーは、将来もきっと変わらないでしょう。学習面はもちろん人格形成の面でも、激変する社会の変化に対応するためには自主性が必要不可欠です。生徒には新しいことにどんどん挑戦してほしい。そして、「トライ&エラー」のエラーの部分を恐れないでほしい。エラー&エラーでも良いのです。たとえエラーでもトライし続けているうちに、エラーでなくなるのですから。自らの道を切り拓いていく生徒たちを、本校ではこれからも応援したいと思っています。その意味では、教員はただ「教える」だけでなく、生徒自らが考え、動けるように導くファシリテーターであることが必要だと思います。
小倉南高等学校(福岡県)
学 科:普通科
生徒数:1学年199名 2学年193名 3学年233名
小倉南高等学校
ページ内容は2019年12月時点の情報です。
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