活用事例

基礎学力と学習習慣が不足。到達度テストを元に自学自習の時間を設け、学習意欲を促進

名古屋産業大学(愛知県)
2019.05.23
写真左から 准教授/楠奥先生、教授・学部長/巣先生、准教授/高濱先生
写真左から 准教授/楠奥先生、教授・学部長/巣先生、准教授/高濱先生
課題
  • サッカーや野球など部活動に励んできた学生が多く、どちらかというと基礎学力や学習に向かう姿勢が不十分 既習範囲の学習に取り組むことと、学習の必要性についての理解不足により学習へのモチベーションが低下気味
 活用ポイント
  • サッカーや野球など部活動に励んできた学生が多く、どちらかというと基礎学力や学習に向かう姿勢が不十分 既習範囲の学習に取り組むことと、学習の必要性についての理解不足により学習へのモチベーションが低下気味

基礎学力が十分でない大学1年生の リメディアル教育としてスタディサプリを導入

本学は、愛知県尾張旭市に本部を置く私立大学で、2000年に設置されました。2018年度からリクルートの協力を得て、小学生から社会人までの多様な学びを総合的にサポートする、オンライン学習サービス「スタディサプリ」を活用した新入生向けのリメディアル教育をスタートしました。現代ビジネス学部に入学する新入生は、入学時に実施された到達度テストの結果を受けて、必修科目である「教養ゼミナール」の時間を利用し、各自、自学自習に取り組んでいます。
准教授/楠奥先生、教授・学部長/巣先生、准教授/高濱先生
サッカーや野球など、部活動の盛んな本学では、高校時代にスポーツで実績を残し、スポーツ推薦などで入学する学生も数多くいます。ただし、学力面では中学・高校の既習事項が十分定着していない学生も少なくありません。卒業後もプロのアスリートとして活躍できる学生はひと握り。別のキャリアを考える場面が訪れてから、基礎学力を補うための補修教育を行うのでは遅すぎます。特に就職活動では筆記試験を課す企業も多く、筆記試験をパスしなければ面接まで進めない場合もあります。ましてや、変化の激しい社会を生き抜き、人生100年時代を実現するためにも基礎学力は必要不可欠です。今後、進路選択を迫られる数々の場面において、慌てることなく進路選択が可能となる実力を身につけ、自身のキャリアを自ら形作ってほしい。そのためには、早期から教科教育の復習と学習習慣の定着が不可欠であると考え、スタディサプリを導入しました。

スタディサプリ導入後、資格や就職活動に 興味を示す学生が増加

導入当時は「ログインできない」「Wi-Fiがつながらない」と言って取り組まなかった学生も、次第にシステムに慣れ、スタディサプリに取り組むことが日常になっていきました。基礎学力が定着している学生に関しては、「『到達度テスト』の連動課題だけをやればいいのですか?」と積極的な姿勢を見せたため、TOEICなどの資格対策講座の視聴を勧めました。簿記などの資格に興味を示す学生も現れ、数学がいかに必要な科目かに気づくきっかけになったようです。与えられた課題だけでなく、伸ばしたい力に合わせて他講座を視聴できるというシステムは、意欲的な学生の学習意欲をさらに高める意味でも、本当に良かったです。
准教授/高濱先生
その一方で、勉強が好きではない、受験勉強を経験してきていな学習習慣のない学生たちに、いかに勉強させる方がポイントでした。おそらく、ようやく受験が終わって大学にも入れたから、今は勉強したくないと思っている学生も多かったのだと思います。到達度テストの結果やSPIの結果などを用いて、「このままだと、筆記試験をパスできないよ」と伝えたりもしましたが、就職活動なんてまだ先だから大丈夫などと、就職試験に対して甘く考えている学生も多く、指導の面では課題を感じています。
教授・学部長/巣先生
指導が難しいところに関しては、学生と世代が近い企業の方を学内に招いて、就職活動の体験談を語っていただきました。その方は、大学2年生の頃からスポーツを仕事にすることが難しいと気づいて、一般企業で働くためにはどうしたら良いのだろうと考え、筆記試験対策を始めたそうです。その話を聞いた学生から「自分たちの境遇と同じような話を聞いて、勉強しないといけないと思った」という声が挙がるなど、少しずつではありますが学生たちの間に変化が見られました。また、意欲的にスタディサプリに取り組んでいる学生たちからは「こんなにたくさん学べるシステムなのに、他の人たちはどうしてやらないんだろう」と不思議がる様子も見られました。周囲から見れば小さな変化だったとしても、その学生にとっては今後のキャリアを考える意味でとても大きな進歩だったと実感しています。

スタディサプリをやり続けることは 基礎学力の定着以上に価値がある

スタディサプリを導入し、具体的な成果として現れるまで時間が必要ですが、「スタディサプリに取り組んだことで学力が上がったような気がする」「数学が苦手で勉強してこなかったけど、スタディサプリの問題に取り組むことで自信がついた」という学生も出てきています。本学には数学を苦手とする学生も多いのですが、問題解決能力のベースにもなるため、学生に声をかけるなどして継続的に取り組ませたいです。

スポーツに打ち込んできた学生は、もともと粘り強さや負けず嫌いなマインドが身についていますが、打ち込む対象が勉強に変わってしまうだけで、ほんのちょっとのつまずきから勉強をあきらめてしまいがちです。やれば必ずできるし、それが就職活動を乗り越える自信につながるということを知ってほしい。そして、スポーツだけでなく、勉強の面でも成功体験を重ねてほしい。スタディサプリに取り組み続けるということは、基礎学力を身につけるということ以上に意味があることだと思います。

准教授/楠奥先生
リメディアル教育に力を入れようとしている大学のほとんどが、大学で完結するのではなく、卒業後の社会を見据えた力を身につけさせたいと考えていると思います。本来、大学は学生に対して基礎学力の定着を「必須」としていません。本学の学生も「なぜ大学生が基礎学習をしなければならないのか」と疑問に思う者もいました。しかし、「すべての学生は宝物」。一人も脱落させたくないからこそ、基礎学力の定着まで踏み込むことに意味があると思います。一人ひとりの夢を実現するために、今どんな準備が必要なのかを計画立てて支援することも大学の社会的使命なのかもしれません。
名古屋産業大学(愛知県)
学 科:現代ビジネス学部(現代ビジネス学科/経営専門職学科 ※2020年4月開設 設置構想中)
生徒数:1年40名 2年00名 3年00名 4年00名
ページ内容は2019年5月時点の情報です。
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