活用事例

進路多様校のため、1年生から将来像を描くことが必要。適性診断などで職業意識を育成

遠軽高等学校(北海道)
2018.12.07
1学年進路担当・国語/島田先生
1学年進路担当・国語/島田先生
課題
  • 2年次から進路別のゼミがスタート。早期に進路を定める必要があるが、意識している1年生は少ない
  • 生徒たちは、興味がある分野以外に目を向けない傾向があり、視野の狭さにも気づいていない
 活用ポイント
  • 1年次の早い段階から「職業意識」を芽生えさせ、自分の可能性や未知の領域を知ってもらう
  • 適性診断の結果をもとに、生徒の「考え、伝える」能力を磨く機会を設ける

まずは2年次の“ゼミ分け”を見据えて 将来を意識することから

本校は進路多様校で、生徒の卒業後の進路は大学進学から就職までさまざまです。加えて、2年次より進路別のゼミに分かれるため、たとえ1年生でも、早いうちに自分なりの将来像が見えている必要があります。ゼミの確定は後期3月までではありますが、科目分けなどの動きは早い段階から始まっており、生徒が想像する以上に時間がありません。教員も選択科目のミスマッチが起こらないよう、常に細心の注意を払っています。ただ、生徒の心情的には、「入学したばかりで将来のことなど考えられない」というのが正直なところでしょう。
未来事典DREAM
そんな生徒たちをサポートするためのツールが「スタディサプリ進路」です。本校では『未来事典DREAM』を長年活用していますが、今年度から『適性診断』も導入。ちなみに、前任校では『未来事典DREAM』の前身である『じぶん未来BOOK』を朝読書で利用し、生徒に1日1記事ずつ読ませていました。『未来事典DREAM』は、目的次第でいろいろな使い方ができるおもしろいツールです。1回の授業時間内で完結もできますし、テーマを設けて長期間用の題材としても対応可能。教材としてのポテンシャルを感じます。また、貸し出されるDVDは、さまざまな職種の社会人が、仕事のやりがいや高校時代にやっておくといいことを語るという内容で、これがまたよかったです。現職の方の生の声はリアリティがあり、伝わり方が違います。1本につき5分程度というのもテンポが良く、生徒を飽きさせない工夫に感心しました。

以前まで自己採点式で評価を出すという、他社の診断ツールを使っていたのですが、本校の目的はあくまでも、1年生のうちに職業意識を「芽生え」させること。その視点で考えた時、親しみやすいテイストのスタディサプリ『適性診断』の方が魅力的でした。冊子はカラーで見やすく、構成も一目瞭然。高校生目線の読みやすい文章も、生徒にとって受け入れやすいのではと思い、採用に至りました。実際、生徒たちは休み時間に『適性診断』の結果を見せ合って盛り上がるなど、生徒間のコミュニケーションツールとしても一役買っているようです。

入学直後から始まる未来への一歩。 自分理解と他者理解を深める

入学式から約2週間後に、1年生の宿泊研修を行いました。研修では進路ガイダンスから始まり、『未来事典DVD』の視聴、『適性診断』などを実施しましたが、この研修の大きな目的は、生徒に「職業意識」を芽生えさせること。よって、ガイダンスの内容は、就職先や進学先の選び方、大卒と高卒の生涯賃金の違いなど、少々リアルな話が中心です。DVDは職業別に3〜4本ほどピックアップしました。入学したばかりで、急に突きつけられる自分の将来や現実に、とまどう生徒も少なくありませんでしたが、早すぎるとは思っていません。この直後に控えている2年次の“ゼミ分け”へのステップは、職業や将来に対する意識なしには、決められないからです。精度が低い目標のまま動いて、生徒に後悔してほしくありません。とはいえ、この日の目的はあくまで最初の意識づけ。「自分なりに何か行動しなければ」と感じてもらえれば、それで良しとしました。

未来事典DVD
5月上旬には、『未来事典DREAM』を用いたグループワークを実施。4人1組になり、各自興味がある職業と、興味がない職業を一つずつ選ばせ、それぞれのやりがいをワークシートにまとめ、発表してもらいました。この教材のいいところは、多岐にわたる職種をカバーしていること。調理師を希望する生徒が、レーシングドライバーについて調べるなど、ユニークな組み合わせが散見されました。グループワークは他者理解をしながら、自分の視野を広げるきっかけにもなります。このような機会がないと、生徒はなかなか興味があること以外調べようとしません。でも世の中には、自分の関心の有無にかかわらず、実際にその仕事に就いている人がいて、社会はさまざまな人たちの働きで成り立っているのです。まず、それに気づくことが、はじめの一歩です。宿泊研修とグループワークを経て、生徒は職業と社会を自分ごととして受けとめるようになり、情報への向き合い方が変わり始めました。

『適性診断』が示すのは初めての「道」と「壁」。 等身大の自分を見つめ、次なるステップを

「スタディサプリ進路」は生徒たちに明るい道を示してくれます。ただし、『適性診断』においては、自分の希望と適性が必ずしも一致するとは限りません。当人にとってはショックでしょう。落ち込む生徒もいれば、他の職種を探し始める生徒もいます。反応はさまざまですが、本人が苦手なことを、先取りして教えてくれるのですから、ある意味ありがたい存在です。新しい可能性を見出すきっかけにもなり得ます。教員からも診断結果をふまえて、生徒の得意を伸ばし、不足を補うための適切な指導を面談中に行うこともできます。また、『適性診断』は、やりたいことがわからない生徒の大きな助けにもなっています。自分の中でぼやけていたビジョンが明確になるんですから。また、『適性診断』に取り組んだときには頭の中で整理がつかなかったことが、グループワークの中で、ポンとかたちになることだってあります。このような体験の積み重ねが、2年次から加速する探究学習などにも役に立つと信じています。『適性診断』も『未来事典DREAM』も、ただ使っただけではもったいない。その後の学校側の仕掛けと、教員のサポートがあってこそ、その真価がさらに発揮されると信じています。
遠軽高等学校(北海道)
学 科:普通科
生徒数:1年次180名 2年次180名 3年次179名
遠軽高等学校
ページ内容は2018年12月時点の情報です。
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