活用事例

全生徒が取り組む仕組みと、メッセージでやる気を喚起。多様な進路による学力幅を解消

茅ケ崎西浜高等学校(神奈川県)
2018.10.05
3学年代表 国語/平山康弘先生
3学年代表 国語/平山康弘先生
課題
  • 生徒の学力幅が大きく、授業をどのレベルに合わせるのか難しい。勉強のやり方がわからない生徒が多い
  • 学習を疎かにする生徒がいると、まじめな生徒も学習をしない雰囲気に流されてしまう傾向にある
 活用ポイント
  • 目標が達成できない生徒に対して、補習やプリントを課すことで視聴を徹底すること
  • for Teachersのメッセージ機能を活用したり、視聴時間ランキングをもとに表彰したり、生徒のやる気を喚起すること

クラス内の学力幅が大きな課題 それでも「学年全員での導入」にこだわった理由

インタビュアー:
スタディサプリ導入前の学校の状況について教えてください。

平山先生:
茅ケ崎西浜高校は1学年400人程と生徒数が多く、しかも大学や専門学校、就職と、多様な進路を目指す生徒がクラス内に混在しています。そのため、私が赴任した当時は、生徒の学力の幅が大きく、どの生徒の学力に合わせた授業を行うのかが大きな課題でした。スタディサプリを導入すれば、本校の生徒にも効果的に活用することができるのではないかと思ったのです。高校までの学習でつまずいている生徒には、小学校・中学校の単元の学び直しができます。逆に学力の高い生徒には大学受験対策に使えます。生徒全員の学力の底上げツールと考え導入を決めました。

インタビュアー:
スタディサプリ導入にあたって、当初は希望者を対象に取り組ませる予定だったとお聞きしました。
3学年の先生方
到達度テスト後の課題の出し方について話し合う3学年の先生方
平山先生:
最初はそのつもりでした。スタディサプリの活用について、ある学年職員から「導入するなら学年全員で取り組まないと意味がない」という発言がありました。2割の生徒が取り組んでも8割の生徒が取り組まなかったら、まじめな生徒も取り組まない生徒に流されてしまうと言うのです。まわりの環境で生徒は変わってしまいます。やる気のある生徒だけではなく全員に学習習慣をつけたい…。真に生徒のことを思っての発言だったと思います。

インタビュアー:
全員で取り組ませる上でどんな点を工夫されましたか?

平山先生:
「いかにすべての生徒に取り組ませるのか。」その仕組みを作ることが不可欠でした。まず取り組んだのが、毎週1つの講義を指定し生徒に視聴を促し、翌週確認テストを実施したことです。そして、生徒の視聴時間をカウントし、取り組んでいない生徒を明らかにしました。さらに、合格点を設定し、目標を達成できなかった生徒には、補習プリントを用意し取り組ませました。このプリントを取り組まない場合は「修行プリント」という英単語を書き取る追加の補習があるため、多くの生徒はスタディサプリを視聴することを選びます。なかば強制的なやり方ですが、全生徒に学習習慣を身につけさせるには、必要なステップだったと実感しています。

ログイン率全国1位を達成できた理由は 教員から生徒への熱いフォローメッセージ・試行錯誤の中からのさまざまな熱い指導

インタビュアー:
学習習慣がなかった生徒が多かったにもかかわらず、ログイン率が全国1位になりました。その要因はなんだと考えていますか?

平山先生:
導入から今まで、本校の生徒に合うような活用方法を、試行錯誤しながら決めてきました。長時間に渡り何度も学年会議で話し合い、「こういう使い方をしたらどうだろうか」と仮説を立て、生徒に合わなかったら修正をくり返し、進化させていきました。

for Teachersのメッセージ機能も大いに活用しました。例えば、真面目に取り組んでいる生徒たちの視聴時間をメッセージの中で伝えたり、進路に絡めた話や学習方法に言及したり、時には気合いを込めたメッセージを生徒の状況やタイミングをはかり発信しました。また、視聴時間をもとにランキングを作り、本校独自の表彰状を作成し学年集会で表彰をしたこともあります。生徒のやる気をアップさせるため、さまざまな工夫を凝らしてきました。導入当初は抵抗感のあった生徒も、次第に学年職員の熱意に圧倒され、スタディサプリを活用することが当たり前になっていきました。その結果、夏休みを挟んだ頃から視聴時間が飛躍的に伸び、秋にはスタディサプリ導入校の中で、ログイン率が全国1位(学年別集計)となりました。

「わかる」「がんばる」という経験が 生徒の未来を変える

インタビュアー:
スタディサプリを導入して、生徒さんの様子に変化は見られましたか?

平山先生:
生徒の態度にも、入学時と比べて落ち着きが感じられます。これまでは「どうせわからない」と授業をあきらめていた生徒たちが、少し真剣に授業に耳を傾けるようになりました。また、定期試験10日ほど前から職員室前のホールは、活気に満ちるようになりました。多くの生徒が、早朝や放課後遅くまで試験勉強に励んでいるのです。さらに、導入前に比べ生徒の進路に対する意識は確実に変わりました。以前は考えもしなかった難関大学に挑戦しようという生徒が出て来たのです。その一方で、いまだ勉強に対する意識が低い生徒もいます。そのような生徒にどのように取り組ませるかが今後の課題です。現在は確認テストや長期休業課題などを学力に応じて課しています。大切なのは生徒がしっかり取り組んでいるかを教員が細やかに把握し、生徒に声をかけ続けることだと考えています。

インタビュアー:
生徒さんにもお聞きしてみましょう。先生からのメッセージを受け取ってどう感じましたか?
生徒A(3年女子):
自分ひとりだとモチベーションが下がってしまう時も、先生のメッセージや声がけで「やらなければいけない」と思うことができました。最初は嫌々取り組んでいる時もありましたが、先生たちの熱意を感じて「私達も本気で取り組まないと」と思うようになりました。
生徒A(3年女子)
生徒B(3年女子):
先生たちは私達のことをよく見てくれていると感じています。Aさんの言うように、先生のメッセージを見て、「私達も頑張らないとね」と話すこともよくあります。
生徒B(3年女子)
インタビュアー:
自分自身の成長を実感できる瞬間はありますか?

生徒A:
1年生のときから少しずつ、授業を理解できるようになったり、解ける問題が増えたりしている実感があります。その結果、今まで嫌だった勉強の楽しさがわかって、もっと頑張ろうと思えるようになってきました。頑張ればできるようになるんだ、と自信もつきました。

生徒B:
進路に対する意識も向上し、高いレベルの大学に入りたいと思うようになりました。勉強の楽しさがわかってきたことだけでなく、先生との面談や日々の会話の中でアドバイスをもらえることが一番の理由だと思います。入学当初は今目指している大学を受験しようとはまったく思っていませんでした。

インタビュアー:
最後に、スタディサプリの活用について重要だと考えていることを教えてください。

平山先生:
スタディサプリは優れた教材ですがあくまでツールです。生徒に効果的に取り組ませるには教員の「思い」が重要です。基本的には、生徒に任せっきりにするのではなく、生徒が少し頑張れば取り組めるように、教師のさまざまな工夫が必要です。「強制的に勉強をやらせるのはかわいそうだ。」といった声も聞きます。しかし、高校での3年間は、ただの3年間ではありません。生徒が社会に飛び立つための土台を築く重要な3年間です。大学に進学をするだけでは何の意味もありません。現に、高校までの基礎学力がないばかりに大学の授業についていけず退学してしまう学生が多く存在します。また、高校をなんとか卒業しても、学力不足のため就職できない生徒もいます。このことの方が大きな問題です。

教師にとって、一人ひとり異なる学力の生徒に対応することは、非常に難しい課題です。しかし、スタディサプリを上手く活用することにより、この課題をクリアすることができるかもしれません。また、スタディサプリは多様な方向性を秘めていると感じています。使い方次第では私たちの教え方や生徒の学び方、学校のあり方までも変革する可能性があります。しかし、それはあくまで私たち教師の熱い思いとアイデアがあればこそ達成できる領域です。教師の人間力なしに進化はありません。生活指導がベースになければ、学習指導は効果を発揮しません。1学年からの地道な学習指導があってこそ、3年後の進路指導につながるのです。この学習から進路の流れにスタディサプリは大きく関わることができるはずです。今後も多くの先生方のさまざまなアイデアの集積と、さらなる試行錯誤の中から新しい活用法を見いだして行きたいと思います。茅ケ崎西浜高校には茅ケ崎西浜高校の、A高校にはA高校のより良い活用法があるはずです。「常に考え続けること」、これがアイデアの源泉です。そして、私たち教師が互いにアイデアの芽を摘むことなく、常に新しい方法を模索する姿勢が重要だと感じています。生徒を伸ばすことに、終わりはありません。
茅ケ崎西浜高等学校(神奈川県)
学 科:普通科
生徒数:1129名(3学年合計)
ページ内容は2018年10月時点の情報です。
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