活用事例

「総合的な探究の時間」が、「探究講座」によって「本校らしさ&自分らしさを深掘りする面白い時間」に!

千葉英和高等学校(千葉県)
2025.4.18
「総合的な探究の時間」のあり方について、様々に議論を重ねた探究科の先生方
 
課題
  • 新課程で「総合的な探究の時間」が設置され、本校では「自分の興味関心を深掘りし、建学の精神や進路につなげる」時間とすることに。そのため、自己理解に役立つツールを検討していた。
  • 現場でも初めての取り組みであるため、どんなツールを使うかを周知し、それに対する先生方の不安を取り除く必要があった。
 活用ポイント
  • 「総合的な探究の時間」の授業内で、『スタディサプリ』の「探究講座」を活用。「課題発見力」「課題解決力」「自己表現力」の3つを養うことを目的としている。
  • 1年生では課題発見型のテキスト、2年生では興味探究型のテキストを使用。いずれもグループワークやポスターセッションを取り入れ、1年生ではPBLプログラム、2年生ではディベートも実施。3年生では自分の興味関心を深掘りし、卒業探究レポートにまとめた。
  •  取り組みの中で「生徒との対話」を大切にし、それによって自分の内にある願いを探り、視点が日常生活から世の中・世界へと広がるように工夫した。
 活用効果
  • 様々なメニューがパッケージ化された「探究講座」によって、教員の少ない負担で質の高い授業を展開できた。アレンジも柔軟にできるので本校らしさも追求できる。

  • 生徒へのアンケートでもポジティブな感想が9割超え。自分の興味関心を深めることができ、課題発見力や課題解決力も向上したと大半の生徒が実感している。

自己理解に役立ち、他社ツールよりも本校らしさを加えやすいと考えて導入

本校は、千葉県北西部の八千代市にある私立高校です。千葉県内で唯一のプロテスタント系キリスト教主義に基づく高校であり、「真に平和な世界の形成者の育成」を建学の精神としています。

2022年4月から、高等学校では新しい学習指導要領による教育が始まり、「総合的な探究の時間」が設置されました。本校でも、この時間をどのように活かし、何を目指すのかという議論が起こり、様々に意見を戦わせました。最終的には「建学の精神の実現に向け、自分が持つ願いとは何か?その願いを実現するためにどんな課題があるのか?実現に向けてどんな取り組みができるとよいのか?といったことを深めていける時間にしよう。」ということになりました。

キリスト教主義の学校なので、本校には「聖書」、「礼拝」の時間があり、そこで学んでいるのは建学の精神に基づいた人生観です。これに対して探究の時間は、自分が興味関心のあることを深掘りし、建学の精神や進路につなげていくきっかけにしたいと考え、自己理解に役立つツールを検討しはじめました。

「総合的な探究の時間」主任/木村 康雄先生


『スタディサプリ』が魅力的だったのは、まず個々の興味関心の棚卸しがしやすい点です。特に「なりきりメガネ」という思考アイテムは、身の周りの誰か、何かになりきった時に自分の感情がどう動くかがわかり、他者目線に立つことで逆説的に自身の深掘りにつながるところに面白さを感じました。また、問いの立て方のサポートが手厚いことや、教員側に適度な裁量があることも決め手となりました。正直、探究の時間向けの他社ツールも検討しましたが、それらは動画を流すだけであったり、生徒への声かけの一字一句まで指定されていたりというものでした。

検討から導入にあたって注力したのは、現場への『スタディサプリ』の周知や管理職へのプレゼンです。初めての取り組みに対する先生方の不安を取り除けるよう、年度初めの研修や体制設計を重要視しつつ、丁寧にコミュニケーションすることを心がけました。管理職からは「時間がかかっても本校ならではの取り組みへと育てていってほしい」と期待の言葉をかけられ、導入の運びとなりました。

学年に応じて実践的なメニューを使い分け、教員との対話からも視点が広がるように工夫

現在、『スタディサプリ』の「探究講座」を「総合的な探究の時間」の授業内で活用しています。その目的は、「課題発見力」「課題解決力」「自己表現力」という3つの力を養うことです。具体的な活用方法は高1〜高3で違いますので、学年別にまとめてみます。

【高1】
・前半(15コマ)…課題発見型のテキストを使用しながらグループワークを行い、中間報告やフィードバックを挟みつつ、最後に発表の場としてポスターセッション型の発表を実施。


・後半(15コマ)…企業から出された課題に取り組むプログラムであるトゥワイス・プランの教材である企業インターンを実施。中には、全国大会に出場して自分たちの取り組み内容を発表したチームもありました。

【高2】
・前半(15コマ)…興味研究型のテキストを使用しながらグループワークを行い、中間報告やフィードバックを挟みつつ、最後に発表の場としてポスターセッション型の発表を実施。取り組み例としては、学年の全生徒・先生にアンケートを実施したチームや、実験、観察から考察を得たチーム、企業に問い合わせて夏休みに見学を依頼したチームなどがありました。
・後半(14コマ)…自分の興味あることとSDGs17項目の関係性について調べ、グループワークへと展開し、最終的なアウトプットの形としてディベートを実施。自分の意見を主張するトレーニングは、進路決定の際の志望理由書作成や面接対策にもつながります。

【高3】
・年間で14コマ。進路決定の年でもあるため、個人ワークとしてあらためて自分の興味関心の棚卸しと深掘りを行い、卒業探究としてレポートにまとめました。1人ずつ個人でプレゼンも行い、意見や感想を述べ合いました。

実際に取り組んでみての全体的な所感として、「生徒との対話」が活用効果を高めるポイントと感じました。対話がなければ、生徒たちの思考や行動は日常生活の域を出ることなく、座ったままインターネットでの調べ物だけで終わってしまいがちです。そうならないよう、教員は「どんな?」「どうして?」といった問いかけの言葉をなるべく使い、世の中や世界へと視点を広げる手助けをすることを心がけました。それによって、たとえば1年生では、ただ電車について調べようとしていたチームが実際に駅に行き、ホームのスペースを調査したケースなどもありました。

教員の能動的な取り組みで質の高い授業を展開でき、生徒の感想も大半が肯定的

「総合的な探究の時間」は初めての取り組みでしたが、『スタディサプリ』の「探究講座」は様々なメニューがパッケージ化されており、動画やファシリテーションブックもあるので、教員の不安を減らし、能動的な取り組みにつなげられ質の高い授業を展開することができたと思います。決まりきったテーマや流れがあるわけではなく、柔軟にアレンジもできるため、私たち教員は「本校ならではのことを実施できる面白い時間」を目指し取り組んできました。本当に、これまでの一連の取り組みを通して、やってよかったなと感じております。

一方、生徒たちの反応も上々で、「総合的な探究の時間」について聞いたアンケートでは、ポジティブアンサーが9割を超えるという嬉しい結果になりました。


教員から見ても、これらの授業によって生徒のコミュニケーション能力が全体的に向上したと感じています。中には、これまで漠然としていた自分の興味関心を言語化できるようになり、それが大学入試の総合型選抜に活きたという生徒もいます。こうした力は、これから長く続く人生においても、きっと様々な場面で役立つことでしょう。

今後は、さらに本校らしい探究の時間となるよう磨きをかけるとともに、持続可能な運用体制を校内で確立していくことが課題です。また、学校の垣根を超えて探究の成果を発表するような場にも参加していきたいと考えています。

最後に、本校で『スタディサプリ』の「探究講座」を導入するにあたっては、様々な先行事例を拝読し、大いに参考とさせていただきました。いち早く導入された教育現場の方々に深く感謝するとともに、今回の私どものコメントが少しでも恩返しになればと思っております。
千葉英和高等学校(千葉県)
●生徒数:1年生:515人、2学年:396人、3年生:470人
ページ内容は2025年4月時点の情報です。
この事例で取り上げられたサービス
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