活用事例

小学校範囲を含めた動画教材を活用し、基礎力を向上。
生徒が自己肯定感を高められるよう支援

津市立南郊中学校(三重県)
2025.3.4
(写真左から)校長/大杉先生 国語科/世古先生
 
課題
  • 小学校時代から家庭学習習慣が定着していない生徒が多く、また多様な家庭の事情を持つ生徒が一定数おり、一律での対応は難しい。
  • 学力に課題があることから自分に自信が持てず、「頑張ってもどうせ南郊中だから」と諦めてしまう生徒も見られる。
 活用ポイント
  • 必要に応じて小学校の学習範囲に遡って学ぶよう呼びかけ、基礎固めを重視。特に2年生の夏休み期間中には、小学校6年生から中学校1年生までの範囲の内容を、動画教材を活用して復習を実施。
  •  国語科では、対話的な学びを中心とした授業と住み分けを図り、『スタディサプリ』を活用して読解問題や文法問題に取り組むことで、定期テストや高校受験の対策を充実させた。
 活用効果
  • 中下位層を中心に学力の底上げが見られ、定期テストの平均点が上がってきている。生徒からも「テストが少し簡単に感じる」などの声が聞かれるようになった。

  • 夏休み期間中、動画視聴を必須とした課題に徹底して取り組ませたことで、普段から『スタディサプリ』を使って学ぶ習慣が根づき、テストの問題にしっかり向き合う生徒が増えた。

学力への自信のなさが学習意欲を低下させるという悪循環をなくす

本校は三重県津市にある公立中学校であり、近年では地域清掃や祭りの運営など、地域の次世代の担い手となれるよう有志のボランティア活動などに注力してきました。そうした取り組みを通し、困っている人を放っておけない優しさが全体で育まれているのは、本校の生徒の素晴らしい点です。ただ、学習面では中学入学前から家庭学習の定着率が低く、それが学力向上を阻んできました。内気で、自分に自信が持てない生徒も少なくありません。「頑張ってもどうせ南郊中だし」という言葉が生徒から聞かれることもあります。そのため私たち教員としては、勉強を諦めさせることなく、自信のなさを克服し、生徒の自己肯定感を高めることに力を注いできました。

さらに、外国にルーツを持つ生徒が全校で数十人おり、日本語レベルは様々なほか、兄弟が多くて家事の手伝いが求められる生徒もいるなど、個々の事情を考慮していく必要がありました。特に、小学校の学習内容が十分に身についていない生徒では、学力への自信のなさが学習意欲の低下を招き、さらなる学力低下につながるという悪循環に陥っています。その結果、テストを無回答で提出する生徒も見られました。

『スタディサプリ』の導入にあたっては、生徒が自分のペースで家庭学習に取り組み、学年を遡って復習できるという点に期待しました。小学校の範囲を復習する必要がある生徒も少なくありませんが、教室でそれを行うのは生徒の自尊心を傷つけかねません。家庭学習で自分に合ったところから取り組み、苦手分野を動画教材で補いながら、一つずつ理解を深めて成功体験を重ねていく――そうした学習環境を提供できる点が、導入を決めた大きな理由となりました。

夏休み期間中に「動画視聴によって学ぶ」というスタイルを徹底して習慣づけ

導入初年度となる2024年度は、平時においては、単元終了ごとに教科書対応講座から授業で扱う内容を配信しており、生徒はそれを予習・復習として自由に活用できます。その上で、定期考査前には一度配信した内容をテスト対策として再配信します。生徒には「一度取り組んだ内容だから間違えないよね?」と声かけすることで、真剣に向き合う姿勢を促しています。

授業では、登場人物の心情や「もしこの人物が◯◯していたら」など仮定に基づいた考察を深めるグループワークを重視する一方、『スタディサプリ』では読解問題や文法問題に取り組むことをメインとしています。これまで授業内ではこうした演習時間が確保しにくく課題となっていましたが、授業と『スタディサプリ』の役割分担により、生徒は問題演習の機会が増え、定期テストや高校受験への対策が充実しました。定期テストは『スタディサプリ』に似た出題形式とし、真面目に取り組んだ生徒が力を発揮できるようにしました。

夏休み期間中には、1日の学習量が40分以上(国語のみ)となるよう、課題量を調整して配信しました。局所的に取り組むのではなく、学習のペースを守れるよう、夏休み開始2週間前と8月上旬の2回にわけて予約配信を行っています。基礎固めの目的から、2年生に対して「小6国語」から「中1国語」講座を中心に配信するというのはこだわった点です。

「スタディサプリ=動画学習」という意識づけのため、生徒には「動画を見なければ問題を解けないよ」と声掛けをし、動画視聴を先行させました。また、「隙間時間や移動時間を上手に使って、毎日取り組まないと終わらないよ」と伝えており、時間のかかる大変な課題だったと思いますが、意図的にそれを経験させました。夏休みの7、8月は、本校が2カ月連続で『スタディサプリ』の学校別講義動画視聴時間が全国1位だったと聞いています。

2学期以降の定期テスト対策では、まず問題を解かせ、間違えた部分についてのみ動画視聴を求めるよう方針を変更しました。生徒は夏休みの経験を通して動画視聴の大変さを実感しているため、それを避けようと日頃から『スタディサプリ』を活用し、問題に真剣に向き合うようになりました。これにより、生徒の動画視聴の負担を軽減しつつ、必要な部分を効率的に学習できる体制を整えることができたと思っています。

生徒が国語を「受験の武器」として捉えられることを目指して

2学期の定期テストでは、中下位層の底上げが見られ、私たちが通常の平均点として設定している60点を超える生徒が7~8割まで増加しました。生徒からも「テストが少し簡単に感じた」「分かりやすいテストだった」という声が聞かれるようになっています。設問のレベルを下げているわけではないため、『スタディサプリ』を活用した基礎力の養成やテスト対策が功を奏しているということだと思います。

教員としても、『スタディサプリ』が小学校から高校までの幅広い範囲の教材を網羅していることには価値を感じています。私たちが小学校の学習範囲の教材を自作するのは現実的ではないため、講座を選ぶだけで復習教材を提供できるメリットは大きいです。

高校入試では記述式の問題が出題されるため、筆記中心の紙のワークが引き続き必要なことには変わりありません。紙のワークと『スタディサプリ』の両方を用いることで、生徒は学習の選択肢を広げられます。従来の紙のワークでは「答えを見ずに自力で取り組み、間違えた箇所を解説で振り返る」ことができる生徒は多くなかったのですが、『スタディサプリ』では解答を先に見ることができないため、とにかく自分で解くしかありません。さらに、動画教材が問題と連動しており、間違えた問題を効果的に学び直せる点が大きな特長です。

今後も『スタディサプリ』の長所を活かしながら、他の教材や授業での指導を組み合わせ、生徒にとってより良い学習方法を模索していきます。生徒が国語を受験科目の武器として捉えられるようにしたいと考えています。学力と自己肯定感の向上を両立させ、「南郊中でよかった」と胸を張って卒業できるようにすることが私たちの大きな目標です。
津市立南郊中学校(三重県)
●生徒数:1学年130名 2学年139名 3学年100名
ページ内容は2025年3月時点の情報です。
この事例で取り上げられたサービス
スタディサプリ
|CONTACT|

お問い合わせ

スタディサプリ学校向けサービスの導入に関する
ご質問・ご確認は、お気軽にお問い合わせください。
ページトップ