本校は三重県津市にある公立中学校であり、近年では地域清掃や祭りの運営など、地域の次世代の担い手となれるよう有志のボランティア活動などに注力してきました。そうした取り組みを通し、困っている人を放っておけない優しさが全体で育まれているのは、本校の生徒の素晴らしい点です。ただ、学習面では中学入学前から家庭学習の定着率が低く、それが学力向上を阻んできました。内気で、自分に自信が持てない生徒も少なくありません。「頑張ってもどうせ南郊中だし」という言葉が生徒から聞かれることもあります。そのため私たち教員としては、勉強を諦めさせることなく、自信のなさを克服し、生徒の自己肯定感を高めることに力を注いできました。
さらに、外国にルーツを持つ生徒が全校で数十人おり、日本語レベルは様々なほか、兄弟が多くて家事の手伝いが求められる生徒もいるなど、個々の事情を考慮していく必要がありました。特に、小学校の学習内容が十分に身についていない生徒では、学力への自信のなさが学習意欲の低下を招き、さらなる学力低下につながるという悪循環に陥っています。その結果、テストを無回答で提出する生徒も見られました。
『スタディサプリ』の導入にあたっては、生徒が自分のペースで家庭学習に取り組み、学年を遡って復習できるという点に期待しました。小学校の範囲を復習する必要がある生徒も少なくありませんが、教室でそれを行うのは生徒の自尊心を傷つけかねません。家庭学習で自分に合ったところから取り組み、苦手分野を動画教材で補いながら、一つずつ理解を深めて成功体験を重ねていく――そうした学習環境を提供できる点が、導入を決めた大きな理由となりました。