本校は北九州の西半分を遠望する高台にあり、落ち着いた雰囲気の中、生徒たちは学習しています。「清く、明るく、逞しく」を校訓に掲げ、平和で民主的な社会の形成者としての必要な資質を備えた、知・徳・体のバランスが取れた生徒を育成しています。また、「学力を本当に伸ばすためには人間的な成長が必要である」という考えに基づき、従来の進学校としての実績に軸足を置きつつも、決して受験勉強一辺倒ではない全人教育を目指し、個性ある教員集団による手厚い指導を行っています。
学力面に関しては、これまでは教員が生徒をリードしていましたが、半ば強制的な働きかけで学習を進める方法では、ある程度の実績は出せたものの、それ以上の学力の伸びが見られませんでした。そこで、学校全体で生徒たちの「自走」を促すというテーマを掲げ、生徒たちの自学自習をサポートできるツールを探していました。
現場には、生徒間の学力に個人差があることや、「自走」はこれまでほとんどの教員が実践してこなかった学習形態であることなど、様々な課題がありました。それらの課題に対して、スタディサプリが最適なツールになるのではと考えました。スタディサプリを使うことで、例えば、生徒は先取り学習をしたり、中学の既習範囲に戻って学習したりと、個別最適化された学習を行うことができます。教員も、生徒の自主学習の進捗状況を確認しつつ、適切な声掛けを行うことで、良き「伴走者」になることができます。良質で幅広いコンテンツがそろっているだけでなく、安価でありタブレットやスマートフォンさえあればどこでも利用できるため、塾に通うコストや時間を抑えることができ、部活動に励む生徒にも活用してもらいやすい点も高い評価につながりました。
導入にあたって苦労したのはハード面の整備です。従来の校内Wi-Fiは脆弱で、教室全体で利用するとフリーズしてしまうなどの課題がありました。校内各所を調査し、ハード面の見直しを行うなど、本格的な導入までに3年ほどかかりました。当初は希望者のみでスタディサプリを活用していましたが、1人1台端末環境が整ってからは学年全員で利用できるようになりました。
ICT教育環境の整備と同時に、教育への利活用に取り組むため、ICT教育改革プロジェクト(ICTEIP)を創設しました。スタディサプリの活用だけでなく、ICT教育グランドデザインを策定し、教員研修の実施や広報部長と連携して保護者や中学生向けの公開授業を実施するなど、多岐にわたり活動し、「生徒中心の学びをICTで支える(Student-Centered Learning)」次世代型教育を推進しています。
ICTEIPリーダー 三好先生 副校長 藤田先生