活用事例

生徒が自ら学ぶ「自走」をテーマに掲げた活用で
自学を定着化したことにより授業内容がより深化

九州国際大学付属高校(福岡県)
2024.2.6
ICT教育改革プロジェクトリーダー 三好先生、副校長 藤田先生、英語科 桑野先生、英語科 上原先生
 
課題
  • 教員がリードして半ば強制的に学習を進める方法では一定の成果は見られたものの、それ以上の学力の向上が見られなかった。
  • 「自走」をテーマに、生徒の個別最適化学習や教員による「伴走」を可能にするツールが求められていた。
 活用ポイント
  • 全学年に高校講座を導入し、スタディサプリENGLISHは1・2年生が中高生英会話コース、3年生が英語技能4コースを導入
  • 学習面での「自走」を促すため、生徒のICTリテラシーの習得段階に応じて取り組みを工夫。1年生では授業内で学習した単元の講座と問題を週末までに取り組むよう指示。2・3年生では対応する講座やスタディサプリ以外に参考になるウェブサイトなどを紹介し、生徒自身に選択する余地を与え、「自走」できるようにした。

 活用効果
  • 自己マネジメント能力が向上した生徒が増えた。高3の夏までに理数科目の全範囲を学習する講座視聴計画を立て、達成した、理想的な「自走」を行う生徒も出てきた。

  • 学習に対する意識が変化し、自主学習の必要性を理解して学習に取り組む生徒が増えた。授業が単なる知識の伝達の機会ではなく、生徒が主体的に授業に参加し深い学びを得られる機会になった。


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さらなる学力向上を目指すため、生徒の「自走」をテーマに
生徒の個別最適化学習や教員による「伴走」を可能にするツールを探していた

本校は北九州の西半分を遠望する高台にあり、落ち着いた雰囲気の中、生徒たちは学習しています。「清く、明るく、逞しく」を校訓に掲げ、平和で民主的な社会の形成者としての必要な資質を備えた、知・徳・体のバランスが取れた生徒を育成しています。また、「学力を本当に伸ばすためには人間的な成長が必要である」という考えに基づき、従来の進学校としての実績に軸足を置きつつも、決して受験勉強一辺倒ではない全人教育を目指し、個性ある教員集団による手厚い指導を行っています。

学力面に関しては、これまでは教員が生徒をリードしていましたが、半ば強制的な働きかけで学習を進める方法では、ある程度の実績は出せたものの、それ以上の学力の伸びが見られませんでした。そこで、学校全体で生徒たちの「自走」を促すというテーマを掲げ、生徒たちの自学自習をサポートできるツールを探していました。

現場には、生徒間の学力に個人差があることや、「自走」はこれまでほとんどの教員が実践してこなかった学習形態であることなど、様々な課題がありました。それらの課題に対して、スタディサプリが最適なツールになるのではと考えました。スタディサプリを使うことで、例えば、生徒は先取り学習をしたり、中学の既習範囲に戻って学習したりと、個別最適化された学習を行うことができます。教員も、生徒の自主学習の進捗状況を確認しつつ、適切な声掛けを行うことで、良き「伴走者」になることができます。良質で幅広いコンテンツがそろっているだけでなく、安価でありタブレットやスマートフォンさえあればどこでも利用できるため、塾に通うコストや時間を抑えることができ、部活動に励む生徒にも活用してもらいやすい点も高い評価につながりました。

導入にあたって苦労したのはハード面の整備です。従来の校内Wi-Fiは脆弱で、教室全体で利用するとフリーズしてしまうなどの課題がありました。校内各所を調査し、ハード面の見直しを行うなど、本格的な導入までに3年ほどかかりました。当初は希望者のみでスタディサプリを活用していましたが、1人1台端末環境が整ってからは学年全員で利用できるようになりました。

ICT教育環境の整備と同時に、教育への利活用に取り組むため、ICT教育改革プロジェクト(ICTEIP)を創設しました。スタディサプリの活用だけでなく、ICT教育グランドデザインを策定し、教員研修の実施や広報部長と連携して保護者や中学生向けの公開授業を実施するなど、多岐にわたり活動し、「生徒中心の学びをICTで支える(Student-Centered Learning)」次世代型教育を推進しています。

ICTEIPリーダー 三好先生             副校長 藤田先生

生徒の「自己マネジメント能力」を伸ばすため
授業の形を再考し、生徒の多様な選択肢の中から最適なものを選ぶ力を育む

全学年に高校講座を導入し、スタディサプリENGLISHは1・2年生は中高生英会話コースを、3年生は英語技能4コースを導入しました。活用にあたっては、グランドデザインを参照し、目的を「生徒の『自走』を促すこと」、育てたい生徒像を「自己マネジメント能力があり、自ら取り組むことができる生徒」として設定し、教員間で共通認識を持つことを重要視しました。

知識のインプットやその定着のための練習はスタディサプリを用いて授業外で取り組むよう生徒に促し、授業中はその知識を応用する機会を増やすようにしました。例えば英語科では、授業で言語活動をスムーズに行うため、文法の説明をスタディサプリの該当講座を課題配信するなどしています。生徒はそれぞれのペースで繰り返し授業動画を視聴し、問題に取り組むことができるため、理解度が高まっています。

段階的にICTを活用する力や「自走」する力を育むため、学年ごとに活用方法を変えています。例えば、1年生には授業で扱った単元に関する講座と練習問題を課題配信し、生徒は週末までに取り組みます。2・3年生には授業で学んだ内容とリンクして、関連する講座や学習に適した他のウェブサイトを紹介し、生徒は自分に適したものを選択し学習を進めます。1年時から様々なサービスや情報の活用方法を知り、ICTリテラシーを身につけつつ、多様な選択肢の中から自分に最適なものを選ぶ力を段階的に卒業時までに身につけてもらう狙いがあります。

フォローアップ配信機能は、「自走」できる生徒にとっては、学習意欲が刺激される点が魅力的です。一方で勉強へのモチベーションが低い生徒は、正答率が低くてもフォローアップに取り組まない傾向があるため、学習方法について全体に伝えたり、個別に声かけをしたりして、モチベーションを高めるようにしています。
英語科 上原先生、英語科 桑野先生

スタディサプリが促す生徒の自己マネジメントと学習意識の変化
理想的な「自走」を体現する生徒も現れた

-実際にスタディサプリを活用する生徒を見た感想-

桑野先生:活用の効果として、自己マネジメント能力が身についた生徒が増えたように感じます。例えば、面談の中で自ら理数科目を先取りで学習する必要を感じていた生徒が、受験までの日数を逆算し、期限までに取り組む講座を決め、自発的に授業動画を視聴していました。その生徒は高校3年生の夏までに理数科目の教科書の全範囲を学習し終え、授業を復習の機会として利用するスタイルを確立していました。経済的な制約があり塾へ行くことが難しい生徒でも、スタディサプリを用いて予習や復習を行うことができ、学習機会の公平性を担保することにもつながっています。

上原先生:学習に対する意識の変化を感じます。「先生から与えられる学習だけが絶対的なものである」という認識を持った生徒が減り、授業の中で自主学習の必要性やその方法などを伝えることによって、足りない学習を自分で補うことができる生徒が増えたのではないでしょうか。講義形式の授業であっても、ただ聞くだけでなく、「わかること」「明示されていること」「暗示されていること」「授業後に自分で理解を深める必要があること」などに分類しながら客観的に授業内容を認識できる生徒が増えてきました。また、質問の内容もwhat(知識)ではなくhow(考え方や方法)を問える生徒が増え、学力の向上に寄与していると思います。このように、スタディサプリの利用が、単なる知識の獲得を越えた生徒の深い学びにつながったのはとても良い点だと思います。

一人ひとりの生徒が「自走」するためには、その自走を支える「伴走」が必要です。それは、教員の姿勢や眼差しであり、スタディサプリのようなツールです。今後も、生徒が「自走」し、教員が「伴走」できるよう、スタディサプリのさらなる活用方法を模索していきます。
九州国際大学付属高校(福岡県)
●生徒数:1学年:552名/2学年:513名/3学年:536名 

ページ内容は2024年2月時点の情報です。
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