活用事例

「させられる」受け身の学習から、「自分で進んでする」自己調整学習へ
計画的に学習する姿勢を育む学校・教師の関わり方

松阪市立第三小学校(三重県)
2023.02.10
3年生担任/杉田先生
課題
  • 「松阪市GIGAスクール構想」のもと、2021年度9月より『スタディサプリ』を中学校及び小学校4年生~6年生に導入。アプリは2022年度より小中学校一斉導入し、小学校1年生~3年生はこの年に導入されたばかり、またタブレット端末が貸与されてまだ2年目ということもあり、まだ使い慣れるまでには至っていないと不安。
  • 児童は講義動画を「視聴する」ことが目的になってしまう可能性もあり、どのようにすれば力がつくのか、本当につけたい力がついたのか等、効果的な活用方法を研修する時間確保が必要となる。

活用ポイント
  • 授業後の復習として課題配信や、授業が早く終わった時の自主学習として『スタディサプリ』を活用。「やりっぱなし」にならないよう、100点を取るまでフォローアップ配信を行う。
  • 溜め込まないように日々チェックを行い、必要に応じて声をかける。その際は、個に応じて「早め」に、そして「まめ」に行うことが重要。児童が計画的に取り組めるよう、意識的に声かけ。
活用効果
  • 児童の大半が「王冠マーク」を目標に学習に励んでいる様子が見受けられる。個別の「努力の証」に着目することで、学習へのモチベーションを高めることに成功。
  • 夏休み中も、管理画面から児童の学習状況を随時チェック。児童の頑張りを見逃さずにしっかりほめることで、子どもたちが学習に対して意欲的になった。
  • 計画的に学習に取り組む姿勢を身につけるために、1〜2週間の期間を設けて『スタディサプリ』に取り組ませる運用を導入。自分のペースでコツコツ取り組む子どもたちが続出。

松阪市GIGAスクール構想のもと
ICTの利活用に取り組む

当校は三重県松阪市にあり、11年前の2011年度から3年間、総務省のフューチャースクール、学びのイノベーション事業を受けて、先進校での1人1台タブレット端末の活用実証研究を行っています。その後、松阪市は2014年から松阪市教育委員会指定により「新たな学びの創造事業」として、タブレット端末整備を進めてきました。

国のGIGA_スクール構想により、2020年度には市内47小中学校のネットワーク環境を整備し1人1台タブレット端末の活用がはじまりました。

2021年度には「松阪市GIGAスクール構想」元年と位置づけてICTの利活用が本格的にはじまりました。
『スタディサプリ』の導入は2021年に決まり、まず『スタディサプリ』の使い方を覚えることからはじめました。

本校では、情報担当から『スタディサプリ』活用の案内があり、まずはアプリを使い慣れるために授業で講義動画の活用から始めました。講義動画の質については申し分ありませんでしたが、児童に動画を視聴させているうちに、徐々に「講義動画を見せただけ」で満足していないか不安に駆られるようになりました。児童が「講義動画を見ただけ」で学習をした気になっているように見られたからです。果たして本当に効果的に使えているのか、それを成果として検証できない活用方法ではいけないのではないかと考えるようになりました。

個に応じて「早め」に、そして
「まめ」に声かけすることを意識

今年度から3年生を担任することになり、新たに始めたのが「単元テスト」の活用です。夏休み前までは単元の終わりに家庭学習として配信していました。
また、授業が早く終わった時の自習教材として『スタディサプリ』も選択肢の一つに入れていました。そこでは講座講義を指定せずに、自由に選ばせて取り組ませています。児童の様子を見ていると、以前に学んだ単元に戻って取り組む子、中には他の教科に取り組んでいる子、今まさに受けた授業の問題に取り組む子の姿もあります。基本的には、自分の意思に添って取り組むことを大切にしています。

さらに、9月からはコンスタントに毎日の家庭学習として配信を行っていました。ただし、この配信も強制的に取り組ませるのではなく、時間に余裕がある子や学力を伸ばしたい子に向けたプラスアルファの学習として運用し、補充学習である「フォローアップ配信」と組み合わせて、くり返し何度も取り組ませていました。「王冠マーク」を取ることが児童のモチベーションになっているようで、多くの児童が熱心に『スタディサプリ』に取り組んでいました。

最近は『スタディサプリ』が児童の間に浸透してきたため、1〜2週間の期間を設けて締め切りを設定し、宿題配信を行い、児童自身が計画的に取り組むようにしています。締め切り直前まで溜め込んでやる児童が多いのではと心配しましたが、みんな意欲的に取り組み、中には「20問だったら1日2-3問やればいい」というように、自分で考えて取り組む児童もいます。溜め込まないように日々チェックを行い、必要に応じて「最近取り組めていないけど大丈夫?」などと声をかけています。
声をかける際は、個に応じて「早め」に、そして「まめ」に行うことが重要。これがあまりにも溜まった状態で「取り組めていないよ」と声をかけても児童の負担になるだけです。児童が計画的に取り組めるよう、意識的に声かけをしています。

その子ならではの、伸びに気づいてほめることで
学習に対する積極的な姿勢を育む

『スタディサプリ』の管理画面は、児童一人ひとりの学習の取り組み状況を可視化することができます。教師が定期的に管理画面を確認し、児童に「今こういう状態だからもう少し頑張ろうね」と励ますことも。長期休業明けの声かけも意識して行い、意図的に頑張っている子はクラスの中でしっかりとその努力をほめています。『スタディサプリ』に熱心に取り組む友だちを見て、自分も頑張ろうと、刺激を受けて取り組むという相乗効果を生み出すことができました。

ただし、児童をほめる際は「講義数」「視聴時間」だけを取り上げるのではなく、管理画面で児童の努力や成長が表れていたら、ほめたり、紹介したりしています。「競争」ではなく、その子ならではの伸びに気づいてほめること。児童に「先生はちゃんと見てくれている」と実感させることが大切だと考えます。『スタディサプリ』の管理画面はこれまで見えにくかった児童一人ひとりの努力や成長を可視化できるので、工夫次第で児童をほめるチャンスを作ることができます。

また、長期休業中に『スタディサプリ』に取り組んだ結果、学びに対する姿勢が大きく変わった児童もいます。この児童は学習に対してなかなか積極的な様子ではありませんでしたが、長期休業前の個別懇談で「力はある。積極的に学習すればきっと伸びるはず」と伝えました。『スタディサプリ』で課題を配信したところ、長期休業中に一生懸命に取り組み、それから学習に積極的に取り組むようになったのです。児童の変化をほめるチャンスと捉え、声をかけるとさらにコツコツ取り組むようになり、学力もついてきています。『スタディサプリ』が学習に取り組む姿勢を大きく変えるきっかけとなりました。

現在3年生の子たちが、今後、高学年や中学生に学年が上がるにつれて、「させられる」学習から、「自分で進んでする」学習に変えていく必要があります。今のうちからそのようなスタイルに慣れていけるように、期間を設定し、各自が計画して『スタディサプリ』を進めていく取り組みを進めています。ゆくゆくは期間を設けずに、自分に必要な学習を選んで取り組んだり、先取り学習をしてから授業に臨んだりと、『スタディサプリ』を通じて主体的な学びの姿勢を育てていきたいです。
松阪市立第三小学校(三重県)
児童数:1学年41名 2学年22名 3学年41名 4学年36名 5学年35名 6学年37名

ページ内容は2023年2月時点の情報です。
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