日々の頑張りを出席や成績反映の形で評価。
学習保障だけでなく、生徒の自己肯定感向上にも繋がる
当初から『スタディサプリ』を使った在宅学習の出席扱い等は考えていたものの、いざ基準を定めるとなると、市内はもちろん、全国的にも前例が少ないところが悩みでした。そこで、検討にあたっては「不登校児童生徒を対象としたICTを用いた在宅学習における出席・学習評価のガイドライン」を参考にしました。
具体的に、まず出席については、毎日配信する課題を提出できたらその配信日を出席扱いとしています。正答率等も確認しますが、子どもたちにとっては毎日端末を開いてログインすること自体が大変なことなので、提出で出席を認めています。
一方で、当初は学習評価まで行える状況になるかどうかわかりませんでした。というのも、前例が無いことに加え、うまくシステムを運用できるかどうか未知数だったからです。しかし、活用を進めていく中で、ICTによる在宅学習ではあるけれども、毎日欠かさず先生から出された課題を解き、前向きに学習に取り組もうとするその意欲は、評価対象に値するのではないかと考えられる状況になりました。そこで、管理職に生徒の状況を定期的に報告し相談しながら、継続的・計画的に学習に取り組むことができるようになったとみなせた段階で「これなら成績反映を行ってもいいだろう」という判断を下しました。
自治体や学校によって出席扱いや学習評価の基準は異なるため、本校の考え方や基準が全てというわけではありません。ただ、本校の事例が学習保障はもちろん、「先生に頑張りを見てもらっている」「学校に頑張りを認めてもらった」という生徒の自己肯定感の向上にも繋がったのではないかと考えています。通知表には、数値だけでなく学習の様子を文章でも記載することで、評定の数字の裏にある頑張りが本人にしっかりと伝わるようにしたいと思います。
生徒の頑張りを出席や成績反映という形で評価できるようになりましたが、ここまで来られたのもひとえに生徒本人の頑張りと保護者の支えがあったからです。高校進学後は、様々な経験を通して少しずつ学校や社会に対してプラスなイメージを持ってもらえると嬉しく思います。そして、5年後、10年後に、「あの時は大変だったけど、頑張って勉強して良かった」と少しでも思ってもらえたら、教師にとってこの上ない喜びです。