学校向けスタディサプリ

2018年12月18日(火)

生徒の志を地域産業の課題解決につなげるプロジェクト学習

士幌高等学校(北海道)

士幌高等学校校長/近江先生士幌高等学校校長/近江先生

  • 地域産業が抱える課題を解決するために
    農業高校はどんな人材を輩出すべきか

    本校は、昭和25年北海道川西農業高校士幌分校として設置認可され、昭和50年に現在の地に移転し、平成14年に現在のアグリビジネス科、フードシステム科に学科転換しました。創立68年を超える歴史と伝統を有した農業単置高校として、これまでに2,800名以上の卒業生を道内外問わず輩出しています。本校が位置する十勝平野は、日本有数の穀倉地帯で畑作、畜産、酪農が盛んです。恵まれた教育環境で農業の教育力を最大限生かし、地域産業の担い手育成など、地域の信頼に応える教育実践を経営方針として学校経営を展開しています。

    育てたい生徒像は、校訓にも掲げているように「人に対しても 物に対しても 謙虚な社会人となろう」です。自分たちがどのようにして毎日を生きられているのか、動物・植物・食物・人に対して感謝する心を持ってほしいと考えています。カリキュラムはアグリビジネス科とフードシステム科で異なりますが、生産から加工・販売、食品開発などを一貫して学べる体系的農業教育を推進しています。自分たちが作った農産物や食品を地域の人たちに販売する「販売実習」も定期的に開催しており、地域の人たちに喜んでいただくことが、生徒たちの成長につながっています。

    少子高齢化によって人口が減少する中、どのように高校経営を維持・発展させていくかが全国の高校で課題になっていますが、農業高校も同様の課題を抱えています。北海道(十勝)の農業を発展させ、人々の生活を守り、命を支えることに具体的に貢献できる次世代の担い手を育てるために、本校をどのように位置づけるか、それが本校の抱える課題でした。

  • 地域農業の担い手を育成する
    実践型のプロジェクト学習をスタート

    本校は道立ではなく町立のため、「町に開かれた高校」でなければなりません。つまり、地域社会との連携・協力体制を築き、授業での実験・研究成果が地域農業に活かされることが教育活動の大前提。現在、十勝の農業は高齢化と後継者不足という問題に直面しています。こうしたさまざまな課題に直面するここ十勝で、地域社会との連携・協力体制を築き、実践型のプロジェクト学習を取り入れています。

    農業経営ならびに農業の多面的な機能を学ぶアグリビジネス科では、農産物の国際基準「グローバルG.A.P」に取り組み、ニンニク、ニンジンの審査に臨み認証を取得することができました。今年度はさらに、コムギ、ジャガイモの認証取得を目指します。また、フードシステム科でも認証取得に向けて取り組んでいます。第三者機関による国際水準の審査を受けたことで、幅広く地域の方に知ってもらうことができ、本校にとってブランディングにつながり、生徒にとっても成長の機会につながったと考えています。

    本校の教育活動を紹介する上で欠かせないのが、「志プロジェクト」です。本校に通う生徒は、豊かな自然の中で自分の夢や想いをかなえるために日々学んでいます。生徒の姿をより多くの人に知ってほしいという願いからこのプロジェクトが始まりました。プロジェクトでは、生徒一人ひとりの夢や想いをブランド認証して、士幌高校の魅力として発信していくものです。数は限られていますが、これまでにサイダーやヨーグルトなどを全国のお客様に届けています。ほかにも士幌町と一緒に人材育成事業「Cheers(チアーズ)」を立ち上げ、地域づくりや農、食に関心の高い人たちに、働きながら学ぶ場を提供しています。こうした地域、行政、高校が一丸となって、地域農業の担い手を育成する新しい取り組みも始めています。

    • 生徒たちが取り組んでいるプロジェクト学習の一部。自分たちの取り組みを外部に発信しながら、自分たちのがんばった証を冊子としてまとめることで、生徒の自信につながっています。生徒たちが取り組んでいるプロジェクト学習の一部。自分たちの取り組みを外部に発信しながら、自分たちのがんばった証を冊子としてまとめることで、生徒の自信につながっています。

  • プロジェクト学習に期待する
    入学希望者が増加

    本校に赴任して1年以上が経ちますが、すでに本校を卒業した生徒が地元の農業に関わる事例も増えています。高校で農業を学んで社会に出る。社会に出てからも生産者や農業、食品に関わる技術者として高校の生徒に指導する。こうした循環が、地域の農業が抱える課題を解決する手がかりになると信じています。

    こうした町や地域と連携したプロジェクト学習を行ってきたことで、生徒の進路選択にも変化が現れるようになりました。これまでは就職するにしても進学するにしても、自分の偏差値や学力で、就職先や進学先の選択肢を狭めてしまう生徒が多かったのですが、3年間を見据えて自分の力を伸ばそうと考える生徒が増えました。公務員になったり国立大学に進学する生徒も増えたことで、1、2年生にとっても大きな刺激になっているようです。

    その結果、入学者も前年から20名増えており、これまで取り組んできたことが、中学生や保護者に認知してもらえていると実感しています。これからも農業高校として、地域社会との連携・協力体制を築き、生徒が主役となって、夢の実現に向けて学ぶことのできる学校を目指し、さまざまな視点から社会で活躍できる実践力を持った人材を育てていきたいです。

士幌高等学校(北海道)

北海道 士幌高等学校
学科:アグリビジネス科、フードシステム科
生徒数:1学年68名 2学年42名 3学年35名

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