SEMINARセミナーレポート

MANABI MIRAI MEETING 2017 【トッププレゼンテーション】アミークス国際学園 安居 長敏 学園長 〜「いい子ちゃん」卒業! 失敗しても、何もしないより100倍まし〜

アミークス国際学園
安居 長敏 学園長

2017.10.31その他

2017年9月23日に、リクルート本社ビルにて開催されたMANABI MIRAI MEETING 2017。半歩先の教育のカタチをみんなで考える場として、多くの教員の方々にご参加いただきました。本レポートは、プログラムの中のトッププレゼンテーション講演を、書き起こし形式でお届けします。

滋賀県の滋賀学園の校長から、アミークス国際学園長に就任した安居長敏先生。それぞれの学校での経験を交えながら、先生に「いい子ちゃん」を卒業するように、とおっしゃいます。「何をするか」よりも、「やる」ことの方が大事。失敗を恐れずやってみよう、という言葉に励まされます。また、自分たちだけではなく、周りの企業やメディアとコラボレーションしながら、ともに学校運営をしていく形はこれからの時代のヒントになりそうです。

学校の先生を辞めてコミュニティFMのDJに

皆さん、こんにちは。6校目ということで、もうだいぶお疲れかと思いますけれど、テンションを上げていきたいと思います。

沖縄からと今ご紹介いただきましたけれど、今年の3月まで滋賀県で学校の校長をやっていました。沖縄にはこの4月からいきなり行きましたので、今日は滋賀県の学校に勤めていたときの話半分、それから沖縄の話半分という感じになります。

私も教育現場だけじゃなくて、民間の仕事もやっていた経験もありますし、自分で起業をしたということもありました。

そういう中から見えてきたのが、先生って、自分の職業意識から、常に「いい子ちゃん」であらねばと、自分で枠を決めてしまいがちだということです。今日は、その枠を外す40分間にしたいと思います

まず、私の人生の略歴なんですが。10月6日で58歳になります。大学を卒業して、女子高の先生になりました。当時1200人女子がいた女子高に、大学を卒業した若いイケメン…じゃないですけど、男の人が行くと、どういう状態になるかわかりますよね(笑)。

そこで20年間教員を勤めて、学校改革とかもいろいろやってきたんですけれど、ある日突然友達から、「ちょっとコミュニティのFMつくれへん?」と誘われます。ちょうど阪神淡路大震災があって、地元の連絡ツールとして、コミュニティFMが脚光を浴びたときです。

面白いやん、やってみようと。なんかかっこいいじゃないですか、DJやるの。普段は学校の先生をやって、土日だけFMをやる、と。そういう形で、いっちょかみで乗ったんです。

そうしてFMを開局するんですけれど、後で詳しく説明をしますが、どうも収入がない状態になるんです。

これは困ったということで、個人の家を回ってパソコンのサポートをするという仕事を引き受けます。Yahoo!BBさんとかジャパネットたかたさんで製品を買った方に、無料で製品をセットアップする仕事です。そういう仕事をしながら食いつなぎます。

コミュニティのFMを開局したときに、産経新聞に記事が載りました。それで前任校である滋賀学園にご縁をいただくということにまでつながったんです。

面白いものですね、メディアというのは。こんなかっこいいことは何もやってないんだけれど、新聞とかの字面に載ると、なんとなく、そういう(かっこいい)自分になった感があるんです。

FMつくったやん、これ頑張れるぜ、と思ったんです。でもなんと、実際は食えません。収入がないんです。

FMってそんなに儲かる業態ではないし、企業が出資をしてくれるコマーシャルもたかが知れています。コミュニティのFMは全国で百数局ありますけれど、どれも自治体がお金を出さないと無理なんです。

そんなこと最初は何もわかってないし、女子高の退職金780万のうち、3分の2をつぎ込んでいるけれども、収入がありません。

当時42歳で、嫁もいましたし、子どもも3人いて、そんな中で収入がなかったら、出張サポートをするしかないやんということで、それで食いつないでいました。

FMの仕事がきっかけで滋賀学園の教師に

滋賀県でそういうふうにFMの業界でやっていこうと思って頑張っていたわけですが、たまたま自分の土曜日の番組に、当時滋賀学園の中学校の副校長をやっていらっしゃった方が、CMのために来られたわけです。

普通のDJっぽく、学校の宣伝どうぞ、とやっているときに、たまたま「お前、前仕事は何してたん」という話になって、「学校の教員やってました、女子高でした」というやりとりがありました。

でもなんとそれがきっかけになって、滋賀学園がちょうど中高一貫の中学校を立ち上げて、特進のコースをつくるという時に声がかかります。

数学と理科の免許を両方、中高の免許も持っていましたので、「使えるやん、来い来い」と言われて、「じゃあ行きますわ」と言って。収入がなかったので二つ返事で行くと言いました。滋賀学園で仕事をすることになり、4年間のFMとサポートの時代は終わるわけですけど。

でも滋賀学園に行って実際に中を見ると、やっぱり改善すべき点があるんです。ここではあまりリアルには申し上げられないんですけど、いろんなことを言ってきました。

否定形の「あかん3D」を口にしない

滋賀学園という学校をご存じの方はどれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

ありがとうございます。有名にはなって、メディアへの露出もたくさんあったんですけれど。

滋賀学園の校長になったときに考えたことが、やっぱり今の日本の国の様子をしっかりとみんな知らなあかんということです。

これから劇的に人口減が始まるわけですが、これを本当にリアルに知ってますかと。

減少する世代はここなんです。要するに、子ども世代と、それからお金を生み出してくれる世代が減っていく。そういう中で、2030年には、3人に1人が65歳以上になりますよ、と。こういった中で、もう21世紀になっているけど、今のままの教育をやっていていいんですか

先生方ってたぶんこういう人が多いんです。何かをしましょうと言ったときに、「ちょっと無理です、それはできまへん」って言う人。

あかん3Dというのを、つい3日ほど前に聞きました。絶対に自分が思ってはいけない3つのDってなんだと思います?否定形のDです。「駄目」「だって」「どうせ」。これがあかん3Dだそうです

その否定から入る人間は、もう旧世紀の人間だと思ったほうがいいので、まずそれを変えることを考えないと駄目です

北海道の植松電機の植松努さんがよく、「どうせ無理って言うな」とおっしゃいますけど、そういうことです。しかも学校となると、教育の場ですよね。子どもを教育する場です。こういう言葉、よく使っていませんか?「~しちゃいけません。」

とにかく先生って、否定したがるんです。なんででしょうね。事なかれということなのか、自分の保身か知りませんけれど、これ、すべきことは逆なんじゃないかと思います。「しちゃいけない」じゃなくて、「どんどんやりなはれ」と言わなくてはいけない

今の学校の前提になっているのは、右肩上がりだった高度経済成長時の学校モデルです。それが学校の一番いい形だとされています。でも、その時代は、今もう完全に終わっています。自分たちが学んだ時の学校の姿は、もう消さないと駄目なんです

一定水準のいいものをつくって頑張れる時代はもう終わりました。画一的な、均一なものをつくったって勝負にはなりません。いくら良いものをつくってもダメだ、というふうに考えないといけないんじゃないかと思います

取り組むべきものは正解のない問いである

これは、今の学校の中でどういうふうにして育てるものだと思いますか。「教科書の中身を一生懸命覚えなさい。」「これテストに出るからやっときや。大学入試あんで。」それで教えられるのかどうか、よく考えたほうがいいと思います。

我々が取り組むべきものは正解のない問いである」と、もういろんな人が言っています。21世紀型のスキルというのは、まさにこういうことだし、これを2020年には大学入試で問うと言っているわけです。

なので、我々が子どもたちに与えるべきものは、正解とか、覚えなくちゃならないこととか、学び方のノウハウではありません。子どもたちが自主的に課題に向かって学び続けるための、きっかけ、火をつけるのが役目だと思います。

そういう我々の意識をまず変える必要があるだろうということで、滋賀学園では象徴的な6つの単語(global, ICT, Project, Real Life, Street Smart, Lifelong)を使って、先生方に問いかけてきました。

世の中はグローバルな展開になっています。日本だけで完結しません。そのためにICTのツールは絶対に必要だということで、空気のようにICTを使おうぜと言ってきました。

そして、すべてのものはプロジェクトなので、自分の思いとか考えたものを相手に伝えて、そのリターンをもらって、そうしていろんなことを進めていく。

このように、この3つ(global, ICT, Project)を柱にして、学びを再構築しましょう。そしてそのためには、生活に密着した学び(Real Life)が大切です。

また、ストリートスマート(Street Smart)というのは、ブックスマートとかアカデミックスマートの対極にある言葉で、要するに「街中を歩きながら、いろんな経験をして学ぶのが本当だよ、賢くなりましょう」ということです。Lifelongは、「勉強は一生のものです」ということです。

これらを、滋賀学園では盛んに説いてきました。

地域や企業をどんどん巻き込んでいく

ただそれをやるためには、学校のリソースだけでは無理です。お金もありません。ということで、地域とか企業を学校にどんどん呼んできて、何か世の中に発信できることないかなと、うまいことご縁がつながったのがHPのコマーシャルです。
> 【HPビジネスPC導入事例】 日本全国に、HP。- 学校法人 滋賀学園 滋賀学園高等学校(動画)

制服も変えて、HPさんと共同で新しい授業をつくりましょう、ということになりました。立教大学経営学部さんがやっていたBLP(ビジネスリーダーシッププログラム)の授業がそのベースになっているんですけど、たまたまご縁があってHPとこういうことができたので、動画の中で持っていたタブレットを、1クラス分揃えることができました。

このCMは、首都圏も関西圏も九州なんかでも全国で放映されて、見る人が見れば、経済効果はばかにならんと思うよ、と。

ただそういうことを、学校現場ってわりと知らないので、「コマーシャルに出たってそんなもん何もなりませんやん」とよく言われるんですが、実際には数千万単位どころか、億ぐらいの先行投資があるよ、ということを聞かされました。

とはいえコマーシャルを打ったからといって、学校が実際にそういうことをやらないと駄目なので、それを象徴的に生徒に伝えるべく、2年前の入学式にこういうことをやったんです。

入学式は普通、式典が1時間ちょっとありますよね。それをきゅっと縮めて、後半45分は授業をやったわけです。子どもたちと保護者のいる前で、3年間でこういう課題に向かうんだよということを説明しました。

これはすごくいいのでぜひやってみてください。入学式にしょうもないお偉いさんの話はいりません。現場のトップなり、いろんな人が、リアルに生徒に語り掛ける、これはすごく効果がありました。保護者も含めて、アンケートの回答もすごく良かったです。45分バージョンがYouTubeに上がっていますので、ぜひご覧ください。
> 2016年度入学式「ワク熱! 安居教室」(動画)

生徒一人ひとりがタブレットを持って使いこなす

最初1年目は、タブレットをHPから全部実証実験ということで提供してもらいましたけど、2年目からは生徒一人ひとりに購入いただいています。

キーボードがあった方がちゃんとスキルを身に付けられるということで、試行錯誤をして、外したらタブレットになる2-in-1型のWindowsノートPCを、新入生に買ってもらってます。

入学式の時には、あらかじめ保護者に手紙をタブレットに入れてもらい、生徒が教室に帰ったら、机の上に新しいタブレットがあって、それを開けたら、保護者からの頑張ってねという温かいメッセージが入っている、ということをやりました。

タブレットの使い方の一つとして、高校野球にも役立てています。おかげさまで選抜に出られましたので、選抜も教材にしようということになりました。

プロが使っているデータ解析のソフトがあるのですが、それを使って、子どもたちにビデオを見せ、「相手投手の配球がどうだ」「こういう場合は次にこういう戦略を練るべきだ」というデータ分析・解析をして、甲子園に行きました。

それも新聞に取り上げてもらいました。メディアもうまいこと情報発信すると、こんなふうにできるんだなと。

野球部の甲子園勝利のために、野球部以外の生徒が授業の中でデータ分析をして、野球部に貢献するという、そういう学校を挙げての取り組みができたらいいなと思っていました。

学校ができないことは、他のプロにやってもらう

こういうことをやっていると、面白いもんで、業者も滋賀学園に頼んだらなんかやってくれそうやと、あるCMもできあがりました。

ロジカルエアーといって、軽いノートをつくったというCMです。学校の校舎を使って、制服を着て、撮っています。

部員とか生徒を使いながら、「エアー」というわけで、ボールのないスポーツとか、物のない何かというようなことを、全部「エアー」でやるというCMです。

もちろん依頼されたものですから、学校側に制作費はかかっていません。しかもこの映像をオープンスクールなどで見せると、タダで宣伝ができます。プロがつくっているので、クオリティは半端ないです。まあ、自分も出てるんですけど。

(会場笑)

また、CMの主題歌を担当した3人組の音楽グループが、このビデオを見て、自分たちのミュージックPVをこれのパロディで作りたいといって、制服を着て、これのパロディのミュージックPVを作ったりもしています。これもYouTubeなどに上がっていますので、検索をしたらいっぱい出てきます。

自分のふんどしで相撲を取っていないというと、言い方がおかしいんですけど、学校ができないことは他のプロにやってもらいます

それは別にお願いに行くとか、頭を下げて何かをしましょうということじゃなくても、企業だって自分の表現したいことをやってくれる場があったら乗っかってくれるわけです。

HPはその象徴的な企業で、将来自分の会社に入ってくれるような子を育ててほしい。でも、そういう学校が今ない。そういう教育をしていないじゃないか、と思っている。それを試験的にやってくれる学校があったらどんどん協力するよ、ということです。

さっきの入学式のビデオの編集だって、これもプロがやっています。舞台装置もそうです。すごいお金がかかっているわけですけれど、学校側としては全部タダです。やりようによってはこういうこともできるということです。

何かご縁があってとか、特別なつながりがあってできたことではなくて、「やりたい」ということを発信し続けたらできたことです。

僕はFacebookとかいろんなところで、学校のこともガンガン書くんですけれど、それも発信の一つの例かなと思います。「やりたい」モードを満載で出したら、誰かたぶん食い付いてくれます。間違いないです。

滋賀学園から沖縄アミークスへ

滋賀学園の話はこれで終わって、次は今お世話になっている沖縄への異動の話をします。

去年の9月ぐらい、まだ滋賀学園の校長任期が4年目の時です。1期3年なので、2期目をつないで、よっしゃ、2期目頑張るぜと言っていたときに、「ちょっと会いたいんですけど」と、沖縄から連絡がきます。

ぐんま国際アカデミーという英語のイマージョンをやっている学校があるのをご存じかと思うんですけど、旺文社がそこで教材を開発して提供をしていました。そのイマージョンとか旺文社の教材が好きで、そういえばぐんま国際アカデミーに7年前くらい前から何回も行ったことがあったんです。

よくよく考えてみると、電話をくれたのは、その時に珈琲館かなんかで5時間ぐらいしこたま話した女性やったんです。それが、今いる沖縄アミークスの方でした。会ってみると、「テレビで見たんやけど、今、校長してるんやね」と言われまして。

そこで、「アミークスという学校を知っていますか」と聞かれました。「そういえば群馬のときにつくるって言ってましたね」と。

ここまで言われると、なんとなく興味が湧きますよね。「1回来いひん?」と言われて、「旅費持ってくれるなら行きます」と言って、沖縄の学校に行ったんです。あとで見せますけれど、ここは非常にいい学校です。当然、ワクワクして帰ってきました。

そのあと東京でアミークスの理事長にも会ったら、向こうは私に来てほしいと思っているから上手に言うんです。

こっちもなんとなくそういう気になってきて、滋賀学園の理事長に、「すいません、ちょっと沖縄からこういうふうな話があるんですけど、沖縄に勉強しに行っていいですか」と言いました。

「あほ言うて」と言われましたけど。そりゃ「あほ言うて」ですわな。「何言うてんねん、お前は。校長の職をあと2年ちゃんとしなさい」と言われて、「はい、やりますわ」って言ったんですけれど、ここからはあんまり言えない話なんですけど、実際にはこの4月からアミークスに行くことになります。

15か国の先生が集まるアミークス国際学園

こんな学校です。うるま市というところの、レクリエーションセンターの跡地を利用した、小高い丘の上にある学校です。

これはこの4月の職員の集合写真です。これは雨が降って上手に撮れなかったので、5時過ぎてから撮った写真なんですけど、本来、このへんにおったはずの先生が全部帰ってしまっています。職員の勤務時間が5時までだからです

日本人だったら、普通こういう時は残りますよね。外国の先生は、帰るんです。勤務時間が5時までだから。「知らんがな、こんな写真」とか言って。確かにそらそうやなと思います。そういう文化の学校です。

日本をはじめ、いろんな国籍の、15か国の先生が集まって、42パーセントが外国人の先生の学校です。

そういう中に、いきなり日本の高校、中学校の校長をやっていた者が行ってどうなるかということなんですが。

アミークスの理念は、「自分で考え、学び、行動し、自分の将来を自分で切り開く自立した子どもを育てる」というものです。今年から、幼稚園の年中さんから2年、小学校6年間、中学校3年間、計11年の一貫教育を、英語のイマージョンでやります。

もともと沖縄にOIST(沖縄科学技術大学院大学)という、国がすごいお金をかけてつくった、学部生のいない大学院大学があるんです。そこの研究者の子弟を預かるためにということで、7年前に作られた、英語のイマージョンとインターナショナルの2つのコースがあるという学校です。

アミークスではもともと、この4つのC(communication, collaboration, creativity, critical thinking)を大事にしています。

そして学校の理念、育てたい生徒像が、この3つ(Creative Thinker、Independent Learner、Risk Taker)なんです。

Creative Thinker、創造的な思考者。それからIndependent Learner、自主的な学習者。一番言っているのが、Risk Takerということで、失敗を恐れずに、リスクをどんどん取っていきましょうということをやっています。

英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ

いろんなことを説明したいんですが、英語に関してだけ、こういうふうなことをやると、もしかしたらうまくいくんじゃないかという一例で、小学校の例をお示ししたいと思います。

アミークスでは、授業の中で英語を学ぶ「英語」の時間はもちろんありますが、それ以外の授業も、国語以外はすべて英語でやっています。英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学ぶ。英語で生活することで、英語も自動的に身に付きます。

それを、学校のすべてのプログラムの中でやっています。それが英語のイマージョンということなんですけれど。

小学校の授業は、国語だけが日本語でやっている授業で、あとは全部英語です。

教科書はどうしているのかというと、算数の教科書は、国が出している日本の検定教科書の英訳版を使っています。それ以外はなかなかそういた教科書がないので、独自に作ったものを使っています。

15か国から教員が来ていますので、例えば算数なんかではシンガポールマスがいいよということになったら、シンガポールの教材を使ったりしています。入り組んだような形で進めていて、まだこれは発展途上なんですけど、アミークス流をつくろうとしています。

ただ、うちは中学校までしかないので、中学校になると、高校入試を突破するための授業を保護者が要求します。サプリの数学、サプリの理科ということで、日本語の理科と数学の授業も併用しながらやっているということです。

英語で教科を教えるってかなり大変なことではあるんですけれど、英語のコミュニケーション力を子どもたちに身に付けようとか、運用能力を高めようと思ったときに、英語の授業だけでやるのはもう絶対無理やと思うんです

英語の授業の進め方を変えれば別ですけど。こういうふうに生活の中ですべてを英語でやることのメリットを考えて、フルイングリッシュじゃなくてもいいので、いろんな授業の中で取り入れていけばいいかなと思って、今それをシステム化、教材化している段階です。

受験のための英語を学ぶのではなく「英語を使う必要性」を作る

これは小学校の授業です。iPadは普通にありますし、アクティブボードも普通にあるし、Wi-Fiも通っていますので、全部普段使いです。

小学校5年生の理科の授業では、先生がiPadに1時間分の教材をつくり込んでおいて、アクティブボードに映しながら、生徒に語り掛けて進めていきます。

調べたことをグループごとに自分でまとめて、ロイロノートを使って、それで発表をする。

中学校になったら、MacBook Airを1人1台持っています。これは社会の時間で、雨温図のレポートを生徒がまとめている様子です。こういうふうに、授業は進むんです。

さっき言った、生活の中を全部英語にするというときの一つの例です。職員室の入口に貼ってある子どもたち向けのメッセージ。

職員室に入るときに、「入ってもいいですか」だけではあかんでと。「May I come in?」 No、No これを言ってもいいのは小1まで。

小2からは、「なんで入るんだ」ということも言いなさいということで、子どもたちには貼ってあるメッセージを見て、簡単なセンテンスですけど生活の中で言ってもらって、英語の運用能力を高めているということです。

こうして英語をたくさん使うことで、必要性さえつくれば英語は自然と身に付きます。受験に出るから覚えなさいと言うよりも、そういう必要性をつくることのほうがいいかなと思います。

ここに英語の先生いらっしゃったらごめんなさい。僕、教科としての英語は大反対なんです。英語というのは、教科で学ぶより先に、子どもが言葉を習得するように、使う場面をつくっていけば自然にコミュニケーションのツールとして習得していけます

その後、言語学の教科でいろんな押さえをすればいいなと思うので、コミュニケーションのスキルとしての英語を学ぶことにフォーカスをしたほうがいいと思います。

英語は、入試で点数を取る目的のものではないので、勉強する手段、コミュニケーションをする手段として使うものとしてシフトをしたほうがいいと思います。

そういうやり方をしていると、実際にどうなるかというと、英検の中3から小2の結果です。一応小6で、英検準2級を目指そう。中3で1級か準1級を目指そうということになっています。大学入試がフリーパスできるようなレベルに、普通になります。英語は授業で教えてないです。英語を使っているだけでこうなる。

TOEFL Juniorでも、GOLDに値するような子が中3、中2、中1、小6でこれぐらい出る。クラスのというか、学年のアベレージがこれくらいなので、一生懸命英語を覚えなさいと教科でやるよりも、やり方を変えたほうがいいかなと思います。

英検の中3から小2の結果
TOEFL Junior

今の子どもたちが大人になった時、どんな社会になっているか

ここからはまとめに入るんですけど、前任校の滋賀学園と、今のアミークスで、いろんな方と協働するコラボ授業をいくつかつくってきて思うことは、やっぱり文科省が言っているような2020年の大学入試制度改革より、もっと我々が考えるべきなのは、子どもたちに対してどういう力を身に付けなければならないのか

一部の超エリート、日本を引っ張っていくようなエリートもしかり、普通の一般的な仕事をするという立場の者しかり、すべてにおいて共通することは、正解はないし、ロールモデルもない時代なので、いろんな課題を「自分が」解決しようとまず思うこと

でも、それは自分ひとりではできないので、人と協働してそれを解決する道筋をつくることが必要になる。

そしてそのためには、相手に自分の思いを伝えないといけないので、ちゃんと表現できる力をつけることも必要です。

さらに、そういうことをするためには既存のアイデアだけでは駄目なので、みんなで知恵を出し合っていろんなことを考えましょう、ということになります。

こういう場面があると、いつもオーディエンスに問いかける質問です。保護者が集まったときとかにしているんです。

お父さん、お母さん。自分のお子さんが大人になったとき、どういう社会、どんな時代になっていると思います?」と聞くんです。

時間があったら何人かに言ってもらうんですけど、恐ろしいほど、どんな時代かというのが言えないんです。自分の子どもが生きていく時代すら、親は見通せていない。ちょっと待ってと。そんな中に自分の子どもを放り出すんですか。

いい大学に入れたらそれでいいですか、いい会社に入れたらそれでいいですか。大学を出て企業に入った人の離職率、3年でどれだけでしたっけ。すごい数になっていますよね。

ということで、我々大人が、もう少し、子どもたちが大人になるときにどういう時代になっているんだろうということを、よくよく考えた方がいいです。自分が育ったときには10年後20年後あんまり変わりませんと断言できましたが、今はそんな時代じゃないです

「何をするか」よりも「やる」ことが大事

子どもたちに、「どんな大人がかっこいいと思う?どんな大人だったらなりたい?」と聞いて、いろんな意見が出てきて集約したのがこの4つです。

自分の意見をしっかり言える大人ってかっこいいよね。自分の趣味、夢を持ち続けられる大人ってかっこいいよね。自分で決めたことをちゃんと実行できる大人ってかっこいいよね。自分でルールを決められる大人ってかっこいいよね。

子どもたちって、大人を見て、やっぱりこれができてないと思ってると、僕は思っています。「この人はダサいよね、ロールモデルでかっこいい大人だったらこういう人かな。自分もこうなりたいな」ってたぶん子どもたちはちゃんと見ていると思うので、率先して大人はこれをやるべきだと思います。

「自分の意見をしっかり言える」、どんな意見でもいいんです。「自分の趣味を持ち続けられる」、どんな趣味でもいいんです。「自分の決めたこと」、なんでもいいんです。「自分でルールを決める」、どんなルールでもいいんです。

ここで一番のポイントは、「決める」「実行する」「持ち続ける」「言える」これが全部動詞だということです。

「やる」ということを前提にして、やる中身は最初は問うていないわけです。我々大人はまず、「やる」よりも「何をする」か、そっちに気持ちを移しがちですが、「やる」ことのほうが大事

何をするかなんて二の次。もしそれが失敗だったら修正すればいいということが、これを見て大きく教えてもらえることなんじゃないかなと思っています。なので、我々が持っている大人の常識の枠に子どもを閉じ込めることは絶対にやめるべきだと思います。

それに、先生は教える人ではないんです。子どもから学ぶ人です。大人はどんどん子どもから学ぶべきだと思うし、大人が学ぶ姿勢を持てば、一緒に成長できる。

これは間違いないと思います。57年間生きてきて、こういう思いになって初めて、「教え込む」という使命感から出ている教員の呪縛じゃなくて、子どもたちと一緒になって、ああ生きてて良かったよねと、一緒に素直に楽しめるようになったなと思っています。

自分が思ったことはとりあえずやってみる

最後に、こんな質問をされたら、どういうふうに皆さんお考えになりますか? ある動画がYouTubeに上がっています。アメリカのニューヨークだったかな。
> What’s Your Biggest Regret? (Nobody Wants To Admit The Worst One Of All)(動画)

どこかの片隅に「あなたが後悔している一番の後悔はなんですか、書いてくれ」と書いた黒板を置いたときの映像です。いろんな年代、いろんな人種の人がそれを見て、自分が一番後悔していることを書きはじめます。

いろんな人が自分の今まで生きてきた中で果たせなかった夢とか、いろんなことを考えながら、後悔を書くんです。いろんな具体的なことを書くんですけど。

そこに出てくる言葉の中でnot、これが必ずついている。not何々。「したかったんだけれども、できなかった。

never。毎日新しい日が、次の日はやってくるのに、いつまでもそのできなかったことを引きずる。集約をすると、チャンスがあったんだけどつかまなかった。だから後悔しているんです。

言いたいことがありました。でも言わなかった。それが大きな後悔です。夢があったんだけど追いかけられなかった。それが大きな後悔です。チャンスをつかまなかった。not。言わなかった。追いかけなかった。

でもこれ、頭にある「not」を取るだけで、言えるわけですし、行動できるわけなんです

ぜひ先生方に、今日この時間から、自分が思ったことはとりあえずやってみてほしいと思います。やっても絶対大丈夫。失敗したらやり直せばいいんです

日本人の子どもたちの多くがこんなことあんまり思ってないんですけど、途上国の子どもたちほど、「I can change the world」、世界を変えられると思っている

日本の子どもたちは成長すればするほど、こんなことは忘れていきます。幼稚園児のほうがこういうことを思っている。

今、預かっている幼稚園児、こういうことをよく言います。「僕、世界変えたんねん」って。大人、言いますか? 世界変えたんねんって。

変えられへんと誰が思うんでしょう。誰が決めたんでしょう。誰が教えたんでしょう。もっとこういうことを、素直になってとりあえずやってみる、ということを、我々は考え直す必要があるかなと思います。ご清聴ありがとうございました。

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