リアルドラゴン桜プロジェクト

学校法人誠恵学院 誠恵高等学校

Vol 13
2020.2.13
大きく変わった、この1年間を振り返る

2019年の春にスタートしたリアルドラゴン桜プロジェクトも、いよいよゴールが近づいてきました。最終回となる今回は、このプロジェクトを通じて誠恵高校に起きた変化をレポートします。先生の声を、当日おこなわれた授業の様子とともにお伝えしましょう。

東大生が全員やっている勉強法

まずは1・2年生を対象とした授業の様子からご紹介します。冒頭、西岡コーチはこう語りました。「いよいよリアルドラゴン桜授業も最終回が近づいてきました。そこで今日は、いままでお伝えしてきた中でもっとも大切で、これからも活用できる勉強法について学んでいきたいと思います。でも心配しないで下さい。これまで僕が違う言葉で話をしたことと、内容は同じです。だから復習だと思ってくれても大丈夫です」。

西岡コーチは続けます。「東大生が全員やっている勉強法があるのですが、わかりますか?実際に3,000人の東大生にアンケートをとってわかったことです。僕はこれを、『説明勉強法』と名付けました。まずは勉強したことを、自分の言葉でノートにまとめます。次に、他人に説明してみます。友達がわからないところがあったら、自分が教えてあげます。そう、これまで何度も話をしてきた『アウトプット』をする勉強法を、東大生は全員やっていたのです。中学生や高校生の時から良い成績だったという東大生の比率は、やはり多いといえます。彼ら・彼女らは友達に教える機会が自然と多くなり、結果として『説明勉強法』をしていたのです」。

「友達に教えるという行為は、自分が正しく理解していないとできません。うまく説明できなかったり、友達の質問にうまく答えられなかったりした場合は、自分はまだ完全にわかっていない事になります。そこが大切なのです。自分の理解が浅い部分を知ることができるので、その部分をちゃんと勉強すればよいのですから。インプットとアウトプットの黄金比は3:7だと言われています。つまり、ただ勉強しているだけでは成績は上がりません。誰かに説明できるようになって、はじめて理解できていると言えるのです」。

生徒たちはアウトプットの重要性について、これまでに何度も聞いています。しかし、なかなか実行するのは難しいようです。「うーん・・・」という、少し困った声があがりました。

アウトプットが苦手な理由を知り、克服しよう

西岡コーチの話は続きます。「みなさんはアウトプットがうまくできないとか、できればしたくないと思っていますよね。でも安心して下さい。その理由は心理学的にわかっています。メンタルブロックという心理です。『自分にはできない』という心理的な壁を作って失敗したときの言い訳を用意し、自分を守ろうとする行為のことなのです。友達にうまく説明できなかったら嫌だとか、テスト前に『勉強していない』と言って良い点ではなかったときの言い訳にしようとするのも同じです」。

「でも、ある心理学のテストでは、言い訳がマイナスの影響をもたらすという結果も出ています。学力が同じで、いつも言い訳を口にする人としない人を比べると、言い訳をする人の方がテストの結果は低かったのです。だからこそ失敗を恐れず、言い訳を考えずに、アウトプットをするようにして下さい。ただ、気合いで頑張るというだけではしんどいと思います。そこでいくつかのアウトプットの方法を教えます」。

こうして西岡コーチは、アウトプットの具体的な方法を紹介しはじめました。たとえば『サンドウィッチ』法では概要→詳細→総括の順で話し、『PREP』法ではポイント→理由→例→総括の順で話すなどの例を解説していきます。具体的な方法を知った生徒からは「パターンがあればできるかもしれない」と、明るい声があがりはじめました。西岡コーチはこう続けます。「説明勉強法を日常でやるためには、まずはアウトプットすることに慣れる必要があります。このあとの時間で、徹底的にアウトプットに慣れてもらいます。お互いにアウトプットをして、アウトプットなんて怖くない状態になりましょう!」。

こうして生徒たちは、お互いにアウトプットをする練習をはじめました。スムーズにアウトプットできるようになったある生徒に、西岡コーチは「アウトプットに慣れるのは目的ではないですからね。勉強してなければアウトプットできないので、勘違いしないように」と話しかけました。

そんなことはわかっているという様子で、爆笑する生徒たち。そのたくましい姿を見ると、この一年間の大きな成長を感じました。きっとこの先も笑顔でお互いにアウトプットを続け、切磋琢磨していくのではないでしょうか。

「勉強が楽しくてしかたがない」と生徒に言われたことが、最大の喜びです

リアルドラゴン桜プロジェクトは、誠恵高校にどのような変化をもたらしたのでしょうか。誠恵高校の広報責任者である服部先生に、お話を聞きました。

---この一年間の活動全体に対する感想を聞かせて下さい

服部先生:大変多くの変化があらわれ、心より感謝しています。わかりやすい例を3つあげます。①生徒から「勉強が楽しくて仕方がない」といわれたこと②受験生に感化され、1・2年生も勉強への姿勢が大きく変わったこと③先生の間に意識改革が起き、成績や講義内容を競い合う風土ができたこと。この3点が成果と言えると思います。

---その中で、まずは生徒の変化について教えて下さい

服部先生:西岡コーチの授業では、勉強に対する姿勢から実践的な勉強法まで教えていただきました。私が担当した生徒の中には、一年間で偏差値が30上がった例もあります。誠恵高校のリアルドラゴン桜プロジェクトは、1年生から3年生まで合同で授業を受けました。3年生は受験を控えていますので、当然やる気が違います。彼らに牽引されて、1年生や2年生も頑張るようになりました。いまでは土曜日や日曜日も、頑張って勉強をしています。生徒から「勉強が楽しくてしかたがない」と言われたのですが、これは本当に嬉しく思っています。

---先生にも大きな変化が起きたということですね

服部先生:はい、その通りです。生徒の主体性を伸ばすために何ができるかを、先生はより深く考えるようになりました。以前の記事で紹介されたように、スタディサプリの視聴時間で誠恵高校が全国1位となったのもその一例です。先生が生徒に対してスタディサプリを視聴しなさいというのは、簡単ですしありがちな行為です。そうではなく、生徒が自主的に視聴したくなる環境を作るために、特に若い先生を中心に本当に考えて努力していました。クラス間で生徒と先生が一丸となり競争する風土が生まれたことは、とても健全で素晴らしい変化だと感じています。

学校が変わり始めたと、断言できます

最後に、飯島校長先生に話を聞きました。校長先生はリアルドラゴン桜プロジェクトがスタートした昨年の春に、「学校を変えます」と宣言しました。この一年間で、誠恵高校は変わったのでしょうか?

---この一年間の活動で、学校に起きた変化を教えて下さい

飯島校長:生徒も先生も大きく変わったと感じています。おとなしくて真面目な生徒に、積極性が出てきました。また、特に若手の先生に大きな変化があったと感じています。

---具体的な生徒の変化を教えて下さい

飯島校長:たとえばある3年生の生徒は、1年生の時にはほとんど話さない、おとなしい性格でした。ところがリアルドラゴン桜プロジェクトに参加して、変わってきました。アウトプットをするようになり、どんどん質問してくるようになったのです。そして偏差値も大きく上がりました。また、2年生は複数名が、最難関の国立大学を目指すようになりました。自分で決めて、宣言したのです。こうした積極性を持つ生徒は、数年前では少数派でした。西岡コーチの経歴や、「大丈夫だから頑張ろう!」というメッセージが、彼ら・彼女らに届いたのだと思います。

---「学校を変えます」と昨春に宣言されましたが、誠恵高校は変わりましたか?

飯島校長:変わり始めたと、断言できます。リアルドラゴン桜プロジェクトの一環で、他校視察や先生向けの研修を実施することができました。創成館高校への視察では学校変革のために大切にすべきことを学びましたし、先生向けの7つの習慣研修では『世界一、笑顔のあふれる学校』にするという意識を持つことができました。こうした貴重な機会で得た教訓を活かし、できることからすぐに着手しています。成果はすぐに現れるものと、少し時間がかかるものがあります。しかしひとつだけ言えるのは、学校が変わり始めたと断言できるということです。

生徒がいつも気軽に遊びに来る校長室で、飯島校長先生は学校の変化を明るく語ってくれました。誠恵高校は、生徒も先生も大きく変わり始めたようです。これからの、さらなる変化が楽しみです。