リアルドラゴン桜プロジェクト

学校法人誠恵学院 誠恵高等学校

Vol 10
2019.10.11、11.28
校長先生と生徒の距離が近い、その理由と意義を探る

11月下旬のある日、誠恵高校の飯島校長先生と西岡コーチによる対談がおこなわれました。『学校を変えます』と言い続けてきた校長先生に対し、西岡コーチはどうしても聞きたかったことがあったそうです。はたしてどのような対談になったのでしょう?

校長室の秘密

西岡コーチ:以前から感じていたのですが、誠恵高校の生徒は校長先生との距離がとても近いですよね。たとえばオープンキャンパスで校長先生と生徒が対談する時も、生徒がものすごくリラックスして校長先生に話をしています。多くの学校を見てきましたが、ここまで校長先生と生徒の距離が近い高校はほとんどありません。その秘密を、今日はじっくりお聞きしたいと思います。

飯島校長:秘密などないですよ(笑)。 しかし、心がけていることはいくつかあります。はじめにあげるとすれば、私が今年の春に校長になってすぐに宣言した『校長室の開放』でしようか。いつも話をしていますが、改めて説明をさせてください。私は大学や中学訪問のため、日中は不在がちとなります。ただでさえ校長先生という存在は生徒から距離があるのに、不在がちだとさらに遠い存在となってしまう。そこで、せめて学校にいる時は生徒と触れ合える時間を増やしたかったのです。多い日だと校長室に、20人くらいの生徒が来ます。今朝も7時台から生徒が来ました。昼休みに、校長室が生徒でいっぱいになることもありますよ。

西岡コーチ:そんなに多くの生徒が集まってくるのですか。すごい事ですね。生徒は個人的な悩みを話に来るのですか?それとも普通の会話をしに来るのですか?

飯島校長:人によります。もちろん個人的な悩みを持つ生徒の場合は、1対1でじっくり話をします。昼休みなど大勢の生徒がいる時は、楽しい会話が大半ですね。先日は家でとれたみかんを持ってきてくれた生徒もいました。ありがたく皆でいただいています(笑)。また、自分が好きな飲料を自動販売機に入れて欲しいと言ってきた生徒もいました。こうしたささいな事でも、ちゃんと話を聞いて対応を検討します。そして仮に実現しなくても、こういう理由でだめだったと話すのです。そうすれば、校長先生が正面から向き合ってくれたということだけは感じてくれると思っています。

西岡コーチ:校長先生のお話を聞いていて、今春の出来事を思い出しました。誠恵高校でリアルドラゴン桜プロジェクトに参加している生徒は、自分で手を上げた人たちです。第一回は全生徒に向けた僕の講演でしたが、終了後に先生から「参加したい生徒はこのあと校長室へ行くように」とアナウンスがありましたよね。こういう場合に校長室へ行く事はあまりないと思います。その時は気がつかなかったのですが、最初から校長室は開かれていたのですね。

生徒との接し方

西岡コーチ:とはいえ、どの学校でも校長室を開放すれば生徒が集まるというわけではないと思います。その他に心がけていることはありますか?

飯島校長:もともと誠恵高校の先生は、とても生徒の面倒見が良いのです。生徒が悩みや問題を抱えていれば、先生はすぐに家庭を訪問します。なぜそうした動きになるかというと、素直でおとなしい生徒が多いからです。自分が一人で悩みを抱えてしまった時に、先生がすぐに家を訪ねて話を聞いてくれたら気持ちが楽になりますよね?こうした先生の熱意や努力もあり、生徒から先生が信頼されているという背景があるのではないでしょうか?私も、校長になった今でも家庭訪問に行くことはよくあります。ちょうど昨晩も、家庭訪問をしてきました。校長は偉い人ではないのです。生徒の力になれる、身近な存在でありたいと思っています。

西岡コーチ:先生の熱い想いは、リアルドラゴン桜プロジェクトで接している中でもすごく感じています。そうした努力もあって、生徒と先生の間に強い信頼関係が築かれているのかもしれませんね。ところで校長先生は、生徒に対してほめて伸ばすか厳しくするか、どちらの方針をお持ちなのでしょう?

飯島校長:生徒が本当にやってはいけない事をした場合は厳しく叱ります。しかし、基本は褒めて伸ばす方針です。校長先生に褒められたら、誰でも嬉しいでしょう?おとなしい生徒が、家に帰って「校長先生に今日褒められたよ」と話すと、保護者も喜びます。その様子を見て、本人は自信を持つのです。こうして生徒自らが変わっていく姿を、私は今まで数多く見てきました。

西岡コーチ:確かに、校長先生に褒められたら誰だって嬉しいですよね。仮に怒られるとしても、一回認められて、褒められたあとで怒られるのであれば受け入れることができると思います。

飯島校長:そうですね。だからできる限り、褒める場を作っています。たとえば今年、スタディサプリの平均視聴時間で誠恵高校が全国で1位になりました。これは生徒全員が頑張った結果です。その代表として、仕掛けを作った先生や視聴時間がトップだった生徒を、オープンキャンパスの際に表彰したのです。リクルートさんからいただいた表彰状を、私が手渡しました。多くの来場者が集まるホールの壇上で表彰されることでさらに自信がつき、もっと頑張ろうと思ってくれたら嬉しく思います。

西岡コーチ:それは嬉しいでしょうね。僕は高校時代、自分に自信がなかったのでよくわかりますし、羨ましい環境だなと率直に感じます。

校長先生と仲良しだと言える学校

西岡コーチ:お話を聞いていると、校長先生と生徒の距離が近いどころか、仲良しというレベルだと感じました。生徒も、校長先生と仲が良いと感じたら友達に自慢したくなるかもしれません。こうした関係は、中・長期的に考えると学校全体にも良い影響があるのではないでしょうか?

飯島校長:実際に、そのようなことを学校外で話している生徒もいるようです。今日、ある中学校を訪問しました。その際、中学校の先生が『先生と生徒の距離が近い』という話を聞いているとおっしゃったのです。徐々に生徒の言葉を通じて、誠恵高校の良さが認知され始めていると感じます。

西岡コーチ:ネットで不正確な情報もあふれる中、実際に通っている生徒の言葉ほど信頼性の高い情報はありません。誠恵高校の良さが正しく伝わるのは、嬉しいですね。

飯島校長:はい、ありがたい事だと思っています。実は、誠恵高校に兄弟で通う生徒はとても多いのです。一人が入学すると、弟や妹も入学を希望するというケースはよくあります。話を聞くと、誠恵高校の学校生活が楽しいと生徒が話すのを聞いて、兄弟も希望するそうです。リアルドラゴン桜プロジェクトで頑張っているAさんも、お姉さんが誠恵高校の卒業生です。お姉さんもとても優秀な成績でした。

西岡コーチ: Aさんのお姉さんも卒業生なのですか。Aさんは難関国立大学をめざしていて、成績も伸びています。とても頑張っていますが、お姉さんも優秀だったのですね。

飯島校長:はい。さらに誠恵高校には難関大学を目指す生徒の他に、就職する生徒もいます。ですからすべての生徒の満足度や居心地の良さ、そして勉強などの実績を上げていきたいと思っています。今年、すべての先生が参加した研修がありました。そこで決まった誠恵高校の目標は、『世界で一番笑顔あふれる学校』です。これを伝えていくのが校長の役目だと思っています。冒頭に生徒と距離が近いと言っていただきましたが、それはこうしたすべての活動や想いの結果なのかもしれませんね。

こうして飯島校長先生と西岡コーチの対談が終了しました。最後に西岡コーチの感想を聞いてみましょう。

西岡コーチ:飯島校長先生が、信念を持って行動しているのがよくわかりました。この動きは、実は最先端のアプローチかもしれないと思っています。昨年、東京都内のある中学校が『固定担任制の廃止』を実施して注目を集めました。確かにメリットはたくさんあります。複数の教師の目で生徒を見ることや、生徒が自分で相談したい先生を選べることはその最たる例です。しかし、実施するにあたっては多くの課題があることも事実です。そのため徐々に広まりつつあるものの、一気に『固定担任制の廃止』が広がる流れにはなっていません。飯島校長先生の動きは、現在の状況を変えずにこのメリットを今すぐに活かせるという点で新しいのではないかと感じました。『世界で一番笑顔あふれる学校』が実現できるように、僕もさらに頑張りたいと思います。

西岡コーチは校長先生と生徒の距離の近さを、単なる校風ではなく学校改革の視点でとらえていました。誠恵高校のこれからが、ますます期待されます。