学びの現場からトップインタビュー

トップインタビューINTERVIEW

トップが描くビジョンと戦略で現場を動かし 学校経営のイノベーションを創造する

小城高等学校(佐賀)校長 永田 彰浩先生
2018.09.18
(左から)校長/永田先生、ICTリーダー/園田先生 ※ 掲載内容は2018年9月現在のものです。

いま、教育現場に求められるのは 「チーム学校」としての組織イノベーション

当校は平成30年度に創立120周年を迎える県立高校です。平成29年度入試では、国公立大学への合格者を96名輩出するなど、伝統と実績のもとに質の高い教育を貫いてきました。また、「これだけは根気強く取り組める・自分を誇りに思える」という自分を探究する「オンリーワン活動」などの特色ある取り組みも評価され、佐賀県教育委員会の「新学習指導要領研究指定校」として、さらなる探究的な学びの推進に取り組んでいます。

その一方で、現場においては教員の多忙化が進み、長時間労働や多忙感に悩む教員も少なくありません。さらには、教育改革の潮流はますます勢いを増し、学習指導要領の改定、大学入試制度改革、ALの視点に立った授業改善…。どれを取っても簡単に対処できるものではありません。今日の学校現場において、指導者として期待されていること、求められること、やらなくてはならないことは後を絶たず、教員の健康管理や人材育成も含めたマネジメント力が求められています。

中央教育審議会では、これからの学校組織のあり方を次のように定めています。

これからの学校が教育課程の改善等を実現し、複雑化・多様化した課題を解決していくためには、学校の組織としての在り方や学校の組織文化に基づく業務の在り方などを見直し、『チームとしての学校』を作り上げていくことが大切である

つまり、これからの学校現場は教員のマンパワーに頼るのではなく、チームとしての「チーム学校」の組織づくりが必要とされています。激動する社会は、学校に対しても容赦なくイノベーション(変化)を求めています。本校においても、教科指導や教員組織のあり方、学校の教育活動のすべてにおいて「チーム学校」への舵取りを行う時がきています。

学校経営ビジョンを掲げて 勇気を持った戦略で学校の舵を取る

学校現場においては、目標達成に向け、「弱み」を克服するという「ギャップアプローチ」を優先しがちです。しかし、目的が明確で環境についての情報が十分にある場合は効果的ですが、現代のように多様な価値が混在し、先行きが見えない状況においては、その効果についての限界も指摘されています。近年、産業界では、むしろ「強み」に焦点を当て、さらに高めていくという「ポジティブアプローチ」の方が効果的と考える企業が増えています。本校が抱える課題を解決する糸口として、学校の「強み」やこれまでの学校の歩みを振り返り、本校における「不易」と「流行」を明らかにした上で、4通りのアドミッションポリシーを明確に定め、学校という組織が目指すべき学校経営ビジョンを打ち立てました。学校・教員・生徒が迷うことなく、一丸となって進むべき道すじを示すこと、そこに校長としての役割があると考えています。

ビジョンを掲げることと同時に行ったのが、教員と生徒の意識改革です。本校は創立120年の歴史があり、何かを変えようとしても簡単ではありません。社会の変化に敏感な教育業界においては、その傾向はなおさらです。本校が今後も成長していくためにも、イノベーションは必要不可欠です。教員が集まる会議の場面においては、「従来通り」という提案はさせない、教員には「これまで」よりも「これから」に目を向けた発言を一貫して求めています。

多忙化・多忙感の解消に悩む教員の健康管理や予期せぬ課題に果敢に立ち向かう人材育成に関しては、企業研修等で取り入れられている「MCWの輪」を学校現場にも取り入れ、教職員のキャリアプランニング力の育成にも努めています。

「MCW」とは、Must(やらなくてはならないこと・求められること)、Can(できること)、Will(やりたいこと、なりたい姿)のそれぞれの頭文字のこと。仕事としてMustばかりにとらわれ過ぎると、心身ともに疲労感が蓄積してしまいます。いい仕事をしてもらうためには、Mustを意識し過ぎず、CanやWillの輪を広げていくこと。それらを実践していくことで、達成感や満足感につながり、キャリアアップにつながっていくのだと思います。あれもこれもと欲張っても、かえって教育効果は低下してしまいます。イノベーションを起こすには、これまでに取り組んできた何かを思い切り捨て去ることも必要でした。本校では教育にも「断捨離」の考え方も導入しながら、「まずはこれから」とやることを焦点化し、無理のない教育実践を目指しています。

職業を理解する「キャリア教育」から 自分らしい生き方を実現するための「オンリーワン教育」へ

本校の教育イノベーションは、生徒への教育実践にも反映されています。例えばキャリア教育の一環として行ってきた「職業別講演会」を廃止し、代わりに「キャリア教育特別講演会」を実施しています。従来の「職業別講演会」は、「将来、どのような職業に就きたいか」を生徒に考えさせることをねらいとして、アンケート上位職種従事者による業種別講演会を実施していました。一方、「キャリア教育特別講演会」は、「将来、どのようなことをやりたいか」「将来、何ができるか」を考えさせるために、県内のベンチャー企業・世界戦略・市場開拓・新商品開発など、今、県内外で注目を集めている地元企業を招いて、各社の抱える課題や経営戦略を話してもらうものです。これは、これまで行ってきた職業理解を深く掘り下げ、職業に関する意識改革を図り、生徒自らの可能性を広げるために、直接、社会の最前線で活躍する企業と触れ合う機会を生徒に提供するものです。人は働くことを通して人や社会と関わり、新たな価値を創造し、自分らしい生き方を見出して行きます。学校教育においても、産学官との連携を強化し、外部の教育力を積極的に導入して、生徒たちが社会の中で自分の役割や生き方を実現していくための教育にシフトチェンジしています。

他にも、「障害者差別解消法」の施行に伴う「合理的配慮」として、生徒一人ひとりの配慮すべき個人情報を集約した「シェアシート」を作成し、生徒の特性や困り感、欠席状況、診断名、支援チームなどをシートによって見える化し、教員同士で情報を共有しています。チームで生徒を支え、問題の早期発見・早期対応に心掛けています。このように、教育のノウハウを、学校として、クラスとして、教科として、ナレッジに変えていくことが、これからの学校に求められる教育のあり方だと考えています。

永田 彰浩先生

小城高等学校(佐賀)

生徒数:1学年240名 2学年240名 3学年240名

導入に関するお問い合わせ・ご質問

学校向けスタディサプリの
導入に関するご質問・ご確認は、
お気軽にお問い合わせください。