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「グローカル・イノベーション・リーダー」を育成する教育改革を推進

広島修道大学ひろしま協創中学校・高等学校(広島)中学高等学校校長/白岩 博明先生
2019.07.08
※ 掲載内容は2019年7月現在のものです。

正解のない課題が増え続ける時代に 自ら答えを導き出せる人材づくり

本校は、1941年の創設以来、80年近い歴史の中で3万4千名余の卒業生を世に送り出してきました。2015年の修道学園との合併を経て、現在私たちは21世紀のグローバル社会にふさわしい教育改革に取り組む最中にあります。広島修道大学の附属校として、両校のキャンパスでの交流を深めた「SHUDAI CROSS CAMPUS PROJECT(修大クロスキャンパスプロジェクト)」を改革のコアに、中高大連携での多彩なプログラムを展開しています。

2019年4月には、本校は学校名を「広島修道大学ひろしま協創中学校・高等学校」へと改称し、男女共学校となります。今、私たちが教育目標として掲げるのが「グローカル・イノベーション・リーダーの育成」です。これは、地球的な規模の視野で考え、地域社会と協創する人材づくりを目指すもの。正解のない課題が増え続けるこの時代に、自分なりに考え、答えを導き出していく人材こそが、多様性に富んだ社会で希求されるグローカル・イノベーション・リーダーであると考えます。

そのプログラム確立に向けて準備を進める中、重視するのが探究型学力を身につけるための「エミット学習」です。「エミット」は、「描く」「観る」「問う」の頭文字をとった造語です。「描く」は想像力につながるもので、例えば国語では、文章を読んだとき、その情景をまざまざと思い浮かべられることを意味します。そのためには語彙力や時代背景の理解など十分な知識も前提になります。「観る」は細部まで注意深く観察すること。「こちらの立場から見ればこのように考えられるのでは」など広い視野や価値観で物事を捉えられるようになることです。そして「問う」は、「描く」「観る」を踏まえて問いを立てる探究力です。良いか悪いか、正しいか誤りなど短絡的な思考を超えて、正解が複数あるオープンエンドの問いに対応できる学力を育ててほしいと思います。

異文化に触れられる環境整備により 生徒の視野を広げる機会を生み出す

グローカル・イノベーション・リーダーの育成に向け、もうひとつ重視するのが異文化に触れられる環境づくりです。異なる文化を学び、今まで自分が常識と考えていたものが通じない世界を体験することは、視野を広げ、新たな価値観に気づく極めて貴重な機会となってくれます。

2018年度、本校の中学3年生は修学旅行でマレーシア・ジョホールバルを訪れました。現地の食文化などに触れる中、生徒たちは一生懸命に英語で現地の人々とコミュニケーションをとり、「これはどうするのですか?」など積極的に質問を投げかけていました。帰国後に迎えた文化祭では、滞在中の体験をもとに、世界の大きな動きや生活・宗教の違いなど、自らが心を動かされたことを積極的に表現しようとする生徒の姿がありました。特に印象的だったのは、ある生徒の「マレーシアに行き、自分を見つめ直すことができよかった」という言葉です。海外で見たこと、感じたことを自分事として捉え直し、自分たちのこれからの生活を考える姿勢を、生徒たちは築きつつあります。当初は海外への修学旅行に懐疑的だった保護者も、子どもたちのそんな輝く姿を見て、私たち教員に感謝の言葉をかけてくれました。

本校では、昨年度、海外協定校・姉妹校の締結の準備を進め、3月末、3つの学校と協定を結びました。海外協定校として、米国オレゴン州ポートランド市のPIA(パシフィック・インターナショナル・アカデミー)、フィリピン・セブ市のサンホセ・レコレトス大学附属中高の2つの学校と締結しました。また、海外姉妹校として、韓国・大邱広域市の啓聖中学校と締結しました。

いよいよ異文化体験や学びの機会が本格化します。具体的には、来年3月からそれぞれ交流行事が始まっていきますが、少人数単位の相互ホームステイや学校交流などが企画されるはずです。世界を体感し、視野を広げることができる場づくりが整いつつあります。迎えた留学生と会話をし、相手の文化を知ろうとすれば、語学力だけではなく今までの知識を総動員しなければなりません。肌の色も髪の色も異なる多様な国籍の生徒が、同じキャンパスで日々を共有できるような教育の場づくりを目指していきます。

互いに高め合う「同僚性」を重視し 教員の意識改革に取り組む

教育改革の推進にあたっては、生徒を指導する側の教員の意識改革も欠かせません。そのための施策として、本校では私が定期的に教員へのヒアリングを行っており、各教員の自己評価を確認しながら、「今後に向けて取り組むべき課題は何か」「課題をどのようにクリアしているか」などを話し合い、現状整理を行っています。

改革はまだまだ途上にありますが、「教員としてのプロ意識を持っているか」「叱ること、褒めることを大切に考えているか」、また「改革の方針や、学校の現状を意識しているか」を問いかけていきたいと考えます。私立学校であるだけに、学校全体が大きな家族という雰囲気があり、それは長所である一方、単純に「教員と生徒が仲がよい」ということで終わってしまってはなりません。生徒は教員を見抜くものであり、厳しく指導することで生徒に嫌われたくないと教員が考えれば、そこに甘えが生まれます。きちんと生徒に向き合い、必要な場合は叱ることが不可欠です。同様に、常に生徒一人ひとりに目を向け、良さを見つけて褒めることも極めて重要です。

ただがむしゃらに働けばよいということではなく、必要なのは方向性を見極め、自己研鑽に務めることです。「この先生の授業は身につく」と考えれば、生徒は必ず付いてきます。どうすれば生徒が主役となる授業や学校行事を実現できるか、私たち教員が真剣に考え、教育を変えていかなければなりません。

意識改革は決して簡単なものではありませんが、諦めるわけにはいきません。学校経営を任される以上、各生徒と担任教員の関係に近いものが、各教員と校長の間にもあると考え、私自身も気持ちを引き締めるところです。それぞれの教員に向き合い一人ひとりの個性や良さを見出し、指摘すべきことは指摘し、活躍できるよう支援を続けます。

最後に、チームに重要なのは相互に支え、高め合う「同僚性」に他なりません。声を掛け合う、助け合う、認め合うなど、基本的な営みが同僚性を高めます。同じ目標に向かって高め合える強い教員集団をつくり、教育改革を完遂させたいと考えています。

広島修道大学ひろしま協創中学校・高等学校(広島)

※旧広島修道大学附属鈴峯女子中学校・高等学校
学科:中学(普通科)、高校(普通科)
生徒数:中学(1学年53名 2学年14名 3学年12名) 高校(1学年272名 2学年112名 3学年91名)

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