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高大接続ポータルサイト「JAPAN e-Portfolio」の概要・活用の意義<前編>

2018.02.05 進路

極めて早いスピード感で進む「高大接続改革」。平成33年度の大学入学者選抜実施要項では、「主体性等」を評価するために、調査書、推薦書、提出書類等の充実が図られ、大学・高校それぞれでの対応が必要となってきます。そこで活用できるのが、高大接続ポータルサイト「JAPAN e-Portfolio」。文部科学省で構築・運営する、高校eポートフォリオ、大学出願ポータルサイトです。こちらの活用法や、「主体性等」を含む多面的総合的評価について、関西学院大学の尾木義久先生にご講演いただいた内容を全2回に分けてお届けします。前編では、「JAPAN e-Portfolio」の概要や、具体的な活用のポイントについてお話いただきます。

高大接続改革はかなりのスピード感で進んでいる

関西学院大学の尾木でございます。先ほどご紹介いただきましたが、正式には高大接続センターという部局に所属しております。

今日は、文部科学省の「大学入学者選抜改革推進委託事業 主体性等分野」の、学長特命担当という立場でこの場に立たせていただいております。学長の特命でこの委託事業を進めるということで、コンソーソアムの方々と一緒に仕事をさせていただいています。その委託事業の話をまずはさせていただきたいと思います。

高大接続改革がスタートし、一昨年は「高大接続システム改革会議」も行われ、高大接続改革の実施に関しての具体的な動きが進んで行っています。高大接続改革については、計画自体が極めて早いスピード感で出されているわけですが、やはりこの委託事業に関してもかなりのスピード感で物事が進んで行っているということになります。

高大接続改革は、「大学教育改革」「高校教育改革」「大学入学者選抜改革」の三位一体

もうご理解の通りだと思いますけれども、高大接続改革は、「大学教育改革」と「高校教育改革」、そしてそれを結ぶ「大学入学者選抜改革」の三位一体の改革です。要は、高校で教育改革を行ったとしても、大学入試の改革をしなければ、相変わらず知識を詰め込むだけの入試となり、高校の教育内容がまったく変わらないじゃないかと。そうならないために、その選抜の改革もするのだと、そういう強い意思で進められているものです。

具体的にこの4つ(国語、地歴公民、理数、情報分野)については、高校のお力など借りながら、いろんなところで、実際に作ったテストの問題を回答していただくなどの取り組みをしているということになります

ただし、主体性等分野ですね、こちらは「作問」ということではありません。いわゆる学力三要素の三つ目にある、「主体性を持って多様な人々と学ぶ態度」。「主体性等」と言っていますが、これについての評価手法を確立するという、非常に難題が与えられています。ちょっと色合いが違うわけですね。

学びに対しての態度や行動に対して、評価尺度・基準を開発する

この主体性等分野ですが、中身はこういう形になっています。成果が二つですね。まず、「主体性等」の評価尺度・基準の開発。主体性を持ってさまざまな人と協働して学ぶ態度。これをどう評価するんだということで、教育評価の専門家が集まって、評価基準尺度の開発をしているということです。

これについては、大阪大学を始め、こういったコンソーシアムの大学の中から集まっていただいたりとか、新たなメンバーもここに加わっています。関西大学、京都大学の先生方、あるいはいろんな地域の先生方のお力もいただきながら、この開発をやっています。

もう骨子は押さえていただいていると思いますが、新たな学習指導要領では、いわゆる「ディープアクティブラーニング」、まあこういう表現はせず、「主体的、対話的、かつ深い学び」という表現になりましたが、最終的にはこういった手法を使いながら、「学びに向かう力、人間性」といったものを育む。

特に、新たな課題として「探求」というのが入ってきてます。総合的学習の時間が、総合的探求の時間に変わります。日本史探求、世界史探求、数理探求、こういったものが入ってくるんですね。ここが学習指導要領の改訂部分ではかなり大きなポイントです。

取り組みとしては、SGH甲子園というのを毎年3月に実施していまして、そこに集まった生徒たちのパフォーマンス、例えばグループディスカッション、ポスター発表、プレゼンテーション、こういったものの中から、どういった評価をすればいいのかを臨床的にやっています。またその過程の中で、論文の作成やさまざまな取り組みをやっています。

例えば大学の研究室訪問や、フィールドワークなんかもやったりします。SSHでは当然実験も入っています。そういった中から、評価できる項目を見出していこうということを、この成果①のところでやっているということですね。

成果自体が出てくるのは来年の3月までの間になりますので、今すぐこれを評価します、というものは出てこないんですが、そういう新たな高校教育改革部分に関して、何が評価の対象となるのかというのを開発している。

ICTを活用して主体性等を評価する

一方、ICT活用による入試モデルの構築について。こちらは、評価すべきものが定まったところで、ICTを活用して入試モデルを構築するということなんですが、主体性を評価するとなった時に、面接や、グループディスカッション、プレゼンテーション、こういったもので主体性というのは、ある程度見て取れると思うんですね。提出された調査書の書類をじっくり読み解いていくということでも多分できると思うんですけど、問題は、一般入試ですね。

この、短い期間で大量の人数を対象にした入試で、果たしてそれができるのかという話に、高大接続システム改革会議でもなったんです。やっぱりそれは難しいよな、というところで、なんとかこのICTを活用して、主体性等を評価できないか、というのが今回の仮説です。

つまり、主体性に関する情報をデジタル化して、こういった行動、こういった成果に対しては何点だっていうのをあらかじめ定めておいて、それで評価ができないかということです。これが仮説のモデルですね。ここのポートフォリオ、これをデジタル化して作りましょうと。

調査書もデジタル化しましょう。それをネットの出願システムなどを通じて、各大学に送りましょう。各大学はそれを受け取り、デジタル化された情報を得点化し、学力の検査の得点と合わせて評価をして、合否判定をしようと、こういう仮説に立ってるんです。

しかも、それを大学のe-Portfolioに連動させようということですね。初年時教育や、導入教育のところで、生徒の情報をしっかり把握しながら、大学でもしっかりと、一人ひとりオーダーメイドの、中身の濃い教育ができないかというところを含めて、構想をしています。これは入試モデルの部分になります。

JAPAN e-Portfolioの概要

このような形で進めているわけですが、そのような中で、JAPAN e-Portfolioというポータルサイトを構築しました。2017年10月2日からオープンしています。

これを全国の各大学、各教育委員会にご案内させていただいております。今日はこのポータルサイトをご覧になっていただこうと思います。こちらがそのポータルサイトトップ画面です。生徒のログインの内容についてご覧になっていただけます。

先ほどありましたIDにつきましては、現段階においては予算の関係がありまして、委託事業費、初年度で8,000万、2年目で6,000万という額でやっていまして、費用があまりにもないという中で、ベネッセさんのハイスクールオンラインというプラットフォームを間借りさせていただいております。

よく誤解があるのは、「これベネッセさんのシステムですか」という、そういった誤解があるんですが、ベネッセさんのシステムではなく、あくまでも委託事業のシステムでありますので、ここはご理解をお願いしたいと思います。ハイスクールオンラインを間借りして、委託事業部はオリジナルのものに塗り直していくという形になります。

また、各高等学校ごとにIDを発番しています。つまり、誰が見られるかということですが、これは高等学校しかまず見られない。

高等学校の生徒さんは、高等学校の先生からIDを発番していただく形になります。一つだけIDをお送りしていますので、そのIDに基づいて、各高校の先生方がメールでID発番をご依頼になられて、それに対してはがきでIDが付与される形になります。その付与されたものを使って、生徒たちにIDをどんどん発行していただくという形になりますから、あくまでも、この地球上の誰が言っているのかという、アイデンティファイされた形でIDを発番されるという形になるわけです。

要はわけのわからないダミーの形とか、成りすましの形では情報は入れられないという形を取っています。セキュリティの観点で、そこは非常に重視して進めているところです。

まずはプロフィールのところを入れます。このプロフィールに関しては実は最小限にしております。漢字、姓名、かな姓名、それから性別、これだけに限定しておりまして、入試の段階でもう少し必要な基本情報は入れるという形になっています。

あとは次のポートフォリオに関する、学びのデータの項目なんですが、一応、この八つです。「探求活動」。先ほど言いました、探求についてですね。これは現段階ではやってない高校も当然ありますが、34年以降の新しい学習指導要領を踏まえて、ここではもうメニュー化しています。当分、これは関係ないなっていう高校もあるかもしれません。

「生徒会・委員会」、「学校行事」、「部活動」、「学校以外の活動」、「留学・海外経験」、「表彰・顕彰」、「資格・検定」とあります。お気づきになったかもしれませんが、「学校以外の活動」以外については、ほとんど調査書についての項目と重複する形になります。

調査書とこのポートフォリオとの関係は後ほどまたご説明しますが、一応そのような形のものがここにメニューとしてある。じゃあ、どんなものなのかというのをご覧になっていただきます。

JAPAN e-Portfolioのメニューにはすべて「振り返り」が入る

まず「探求活動」のところから行きたいと思います。探求については、さまざまなところで入ってくるので、ここで時間割を生徒に入れてもらいます。

日本史探求の場合もあるかもしれませんし、数理探求の場合もあるかもしれません。

研究テーマ。研究内容ですね。それと開始日、終了日。そして「研究のふりかえり」、これが必ず入っています。実は他のメニューでも、どの項目にもすべて、この振り返りを入れています。これから非常にここを重視する入試が増えてくる。そういう観点で入れているんですね。後ほどこれについてもお話をさせていただきます。この振り返りが入っているということだけ、この場では知っておいてください。

その他、「生徒会・委員会」ですね。これも、どのような組織で、何人の生徒がいて、役職は何なのか、というようなことについても入れていただく。これについても、振り返りの項目が入っています。このような形でメニューが構成されています。

探求のところに少し戻りたいと思います。この探求の基礎項目を入れるわけですけれども、これだけで使うわけではないんですね、学びに対する情報をどんどん生徒たちが追加していく形になります。

まず「探求活動」のところから行きたいと思います。探求については、さまざまなところで入ってくるので、ここで時間割を生徒に入れてもらいます。

日本史探求の場合もあるかもしれませんし、数理探求の場合もあるかもしれません。

研究テーマ。研究内容ですね。それと開始日、終了日。そして「研究のふりかえり」、これが必ず入っています。実は他のメニューでも、どの項目にもすべて、この振り返りを入れています。これから非常にここを重視する入試が増えてくる。そういう観点で入れているんですね。後ほどこれについてもお話をさせていただきます。この振り返りが入っているということだけ、この場では知っておいてください。

その他、「生徒会・委員会」ですね。これも、どのような組織で、何人の生徒がいて、役職は何なのか、というようなことについても入れていただく。これについても、振り返りの項目が入っています。このような形でメニューが構成されています。

探求のところに少し戻りたいと思います。この探求の基礎項目を入れるわけですけれども、これだけで使うわけではないんですね、学びに対する情報をどんどん生徒たちが追加していく形になります。

どんなものを追加するのか。例えば探求に関しては、参考文献、実験の内容、研究室の訪問の履歴、フィールドスタディや調査、論文、発表の記録、コンクール・コンテスト発表の結果と、現段階ではここまでにしています。

どんな内容かを少し見ていただきましょう。例えば、研究室訪問。研究室の訪問目的であったりとか、場所とか機関名、どの大学で、どういった先生で、開始日時や参加趣旨、こういったものをまとめていただきます。

振り返りの項目から「学びに向かう力」を読む

そしてやっぱり、今後の展望みたいなものを入れていただくわけです。例えば、水に関しての研究をしていた。で、ある大学の社会科学系の先生のところへ伺ったと。水のことだけやってたんですけど、実は水のことをやるには、法律のことも知らなきゃいけないんだな、とか、国際的な水の供給状況、飲める水がどれだけの国、水蔵で供給されているのか、そういったことも知らなきゃいけないんだなとか、さまざまな広がりを見せていきますね。

そのリフレクションとか、気づきですね、これをある意味、入試で使っていくべきじゃないかと。これ、実は九州大学の丸野副学長とお会いした時に、こういうご提言を明確に言われました。

我々としては、振り返りの項目は入るだろうな、と。では、それをどうやって使うのかという中で、丸野副学長が言われたのは、「我々が見たいのはね、そのリフレクションなんだよ。失敗をした経験も見たいんだよ。子どもたちが失敗をして、あ、失敗したけども、その失敗から実は見出して、じゃあ次はこういうふうにしてみようとして実験の中身を変えていった。それってなんだと思う。それが、『学びに向かう力』でしょ。そうじゃないか。」そういうお話だったんです。

そういったところで「振り返り」を入れていますが、そのように使われると、資料も添付できます。どんな実験の内容だったのか。実験内容のメモであったり、ラボボードみたいなものをここにコピーして、ファイルで添付していただく。ほとんどの項目で、ファイル添付ができるようになっているわけです。いくつか具体的に入れた事例もあるんですけれども、今日は時間の都合がありませんので、この程度にしたいと思います。

データをすべてデジタル化し、効率化する

あとは「資格・検定」ですね。英語も4技能の活用が求められています。大学の方は、英語の4技能を活用しなさいということになっていますから、これから生徒が入れているデータは非常に重要になってきます。

このデータがデジタルで来るっていうのは、非常に重要なんです。今、大学側がそれをどう処理しているか。私どもでも、センター利用入試で、英語検定試験を活用する入試をやっていますが、全部エビデンスチェックをかけているんです。このエビデンスチェックに非常な労力をかけてます。

1,000名来たら、1,000名分の(エビデンス)を取り寄せなきゃいけないんだけれど、ある生徒は、実はつけていない。これを取り寄せるために、非常な時間をかけるという、そういう事情があるわけです。

これが、JAPAN e-Portfolioに全部集約されるという形になってくると、もはやこのデータをそのまま使えばいいよね、という話になります。4技能となると、4項目も得点が必要になりますから、非常に項目数が多くなって、チェックする項目も多くなってくる。そういう中でこういったものもデジタル化していこうということですね。

生徒の側のポイントとしては、例えば「資格・検定」のところに、英検と入れたとします。そうすると、プルダウンで候補がいくつか出てきます。英検だけでも、例えば、国連英検、実用英語技能検定、ケンブリッジ英検と、この3つあるんです。

先生方が調査書で描かれているのって、「英検何級」って書かれてるんです。これ、大学は特定できないです。まあ英検といえば実用英語技能検定だろうなって、想像しながらやってるだけなんです。デジタルじゃないですね、調査書自体は。使いようがないところが実はあったわけです。

部活動でいくと、インターハイもそうですね。総体何位、これは正式名称じゃありません。「総体何位」でデジタル化しても使えないわけです。「全国高等学校総合体育大会」となって初めてデータとして使えるわけです。こういったものをすべて、正式名称でここに入れていただいています。資格の種類はおよそ600種類。

いわゆる実業校と言いますか、そういうところでも使える中身に作らせていただいています。そもそもこれは高大接続改革なので、予算としては大学入試というところが視野に入っているんですが、全国の高等学校の中では、就職する子が半分いるところや、多くが就職だという高校もあります。そういったところにも使っていただけるような形で作り込んでいるということです。

こうして生徒たちは内容を入れて、最終的にはこのマイストーリーというところで学びのデータを振り返って見られるようにしてあります。項目ごと、時系列ごとにどんなものを入れたのかというのを、生徒たちは自分で見て振り返りができる、そういう中身になっています。

先生方は、生徒が何日に入れたものはこうだというのがズラーッと出てくるのが見られる。イメージ的にはそうですね、高校では導入されていないかもしれないですけれども、例えば我々の企業なんかだと、出退勤管理なんかやられてますよね。生徒が入れた項目がズラーッと出てきて、それを逐次見ていくことができる、検証できる、ということです。これがざくっとしたところではありますが、JAPAN e-Portfolioの中身になります。

JAPAN e-Portfolioは高校側も使いやすい形に

(JAPAN e-Portfolioを)使っていただく目的がございます。高等学校の生徒側にとって、何の意味があるねん、というと、学びの記録の振り返りですね。ここは後ほど説明しますが、いわゆるメタ認知というやつなんです。メタ認知が非常に重要だということで書かれています。

これは、いわゆる新たな学習指導要領の中の、「学びに向かう力」で出てくる中身です。要は、自分のやった学びをちゃんと振り返って、次の学びに向けて自分でプランニングしていくということですね。

高等学校側はどう使うのか。これは、生徒が記録したデータを、参照・活用していただくということになります。指導要領や調査書への活用ですね。おそらく今、指導要領作りに際して、年に1回、生徒たちに「今年一年、何をやった?どんな資格取った?」ということを提出させてると思うんですね。これ、紙でやっていると思うんです。それを先生方が、おそらく生徒のデータを見ながら手で打たれている。それを、こちらのデータを活用していただこうというところが、一つ大きくあります。

つまり、JAPAN e-Portfolioを作るにあたって意識したのは、大学が使いやすいように作るだけではダメだ、というのが根本にありました。

33年度からの調査書の大幅な改訂にも対応する

6月に、高等学校の先生方とのセッションをさせていただいています。前半には関西の高等学校、半ばには関東圏の高等学校の先生方にお集まりいただきまして、ご意見をいただきました。それが、平成33年度の大学入学者選抜実施要項における見直し予告、これが出た時期でした。

要は、調査書の内容が今度、大幅に改訂になるんですね。各大学が、何をどう評価するのかということを要項に示していくんですが、一方で各大学は、調査書に「こういった項目を記載してほしい」ということを要望できる形になっているんです。

調査書を、非常に、綿密な形で書かなきゃいけなくなった。そのための情報は、今まで紙でとっていたものもあるんですけども、おそらくそれだけでは足りなくなるんです。要はそういったものが、ここ(JAPAN e-Portfolio)に集約されてくる。できればこのデータを年度末一回、必ず各大学、高校にお渡しする形を取ろうと思っています。

そのデータをどうするかなんですね。高校のシステムそのものが、文部科学省のセキュリティガイドラインでクローズになっているので、そのままインポートはできないはずです。そうなるとやっぱり、紙で出力してそれを手打ちするっていう話になるのかもしれませんが、ある教育委員会に言われましたのは、中間のサーバーをそこでおいて、中間のサーバーにいったんダウンロードしたところで、下界との縁を切って、そこのシステムとつなげる形をとれないかなということを研究されていると。それであれば、データをそのまま使えるよねという話をされています。

そのままといっても、当然ながらチェックしてやるわけですけれども、さっき申し上げたような(生徒が取得した資格名や、出場した大会名が)正式名称でデータが全部入っているわけですね。これだけでも、非常に大きい話になると思うんです。コピーアンドペーストできるだけでも大きいかもしれません。そういう形で高等学校で使っていただく。

JAPAN e-Portfolioで仕事量は必ず軽減される

あともう一つ使っていただける中身としては、今まで高等学校で、いろんな教育に関する情報をどんな形で持たれていたかなんですね。おそらくデータベースとしては作ってはおられなかったと思うんです。つまりデータベースにするっていうのは、すべて感知しなきゃいけないんです。非常な手間がかかります。これが、(JAPAN e-Portfolioでは)生徒が入れた情報を使ってデータベースとして残るわけです。

例えば、これからいろんな教育改革の取り組みを各高校でやられると思うんです。教育改革した成果ってどうなんだろう。例えば、英語4技能の検定も、情報は全部データベース化されます。うちは2級が何割いて、3級は何割いて、そのうちスピーキング・ライティングの得点はどういう分布になってるのか、全部ここに蓄積されます。

それから、生徒が新たなプログラムをやった時に、取り組み状況についてどう思っているのかもここに把握されます。今までは、おそらく紙を配ってアンケートをとって、それをデータベースにするためにいちいち打ち込んで、みたいなことをやってたものが、いらなくなるわけなんです。

「ポートフォリオができると仕事が増えるじゃないですか」って言われるんですけども、こういった、ある意味前向きな取り組みをしている場合については、仕事は必ず減ります。

ネットが入って、新たなものが入る。今年53になる私もそうですけれど、新たな取り組みをするのって、本当はもう、ちょっと嫌なんですよね。でも、その新たな取り組みをしていかないと、ある意味、業務の改革もできない。

この業務改革につなげるという視点は、高校の先生方とのお話の中で出てきたことなんです。こういったところでも、教育の評価に関する情報も蓄積されるということは、非常に有意義なことだと思うんです。

生徒自身もそうですよね。今まで紙で書いていて、おそらく、高3になった時に「あー先生、なんでしたっけ、1年の時に書いたけど…」とか言って、「いやお前が書いたんだろ、知らないよそんなもの」みたいな会話が、たぶんされていると思うんですけれども。

それが全部ここ(JAPAN e-Portfolio)に蓄積されるので、彼らは大学を志願する時に、それを参照しながら志望理由を作ったり、出願したりということができるようになるということですよね。そういった形でお使いいただくということです。

ポートフォリオでICT環境を改善する機会に

先ほど言いました通り、生徒は学びに関する情報を、JAPAN e-Portfolioにどんどん蓄積します。スマートフォン、タブレット、それから高等学校のパソコン、おうちのパソコン。こういったものを通じて入れていただく形ですね。

いろんなところでご意見もいただきました。「そもそもうちは、高校の中でスマホなんか禁止しとんねん。そんなもん使えないわ」って言われたんですね。でも、あるSGH校の高校で言われたのは、「実はそんなことばかり言ってられない。タブレット導入なんて予算的につかないし、高校にあるパソコンだって台数は限られている。校内スマホ禁止にしていたけど、『はい今から使っていいから出しなさい。今からやる時間の中で使いなさい』終わったら、『はい、しまいなさい』ということで実は運用を始めたんだよね」と。やはりそういった運用のところを考えていかないと、すぐには、ICT予算つかないですよね。

生徒が入れて使っていく。そして、振り返りをしていくということです。先生方は、入力内容の閲覧をしていただくとともに、実は一部の項目を限定します。その内容について、承認をしていただきたいと思っているんです。

ここで出てくるのは承認かよと、また仕事が増えるじゃないかということになるんですけども、例えば、今まで、入試の時に「私、生徒会長やってたんです。先生証明してください」って、どうされてたんですかね。

おそらくA4の用紙に証明書というのを作って、年・学期入れて、「以下の者はこの期間、生徒会長を務めたことを証明する。」と書いて、先生方の名前をサインされて、ハンコを押されてたと思うんです。それを、承認というボタン1個に変えるという話なんです。

承認してくださいというと、どうも仕事が増えるという話になるんですけど、そういうことじゃなくて、今までそうやって作られてた紙がいらなくなるという話なんです。そこのところをご理解いただかないと、新しいことの中で、(古いものと)両方並行していろんなことを進めていくと、当然ながら仕事は増えたままです。

一方で、必要ない仕事をどんどん削っていくということをしていただければ、必ずポートフォリオで業務量は削減できていくと思います。これを学習指導要領、調査書作りに使っていただくということですね。そのように想定しています。

JAPAN e-Portfolioの大学側の使い方ーデータに基づく検証

生徒たちが入れたデータについて、大学がどういう使い方があるかということなんですが、生徒の方は、大学ごとに出願利用情報というものを作って入れています。例えば関西学院大学の入試を受けますよ、と。関西学院大学の入試要項が「リーダーシップを評価する」ということであれば、リーダーシップ部分について、ポートフォリオに入れた情報を切り取って、出願利用情報に入れると。

なおかつ、大学ごとに、志望理由書や、学びの計画書など、必要な書類がありますね。そういったものも、大学のホームページからダウンロードして、ワードとかエクセルのデータを入れてアップロードするという形になります。

そうすると大学側はどうなるのかというと、実は出願に関する情報がすべてネットで受け取れるようになるんです。今、ネットで受け取れないのは調査書だけです。デジタル調査書になれば、これも全部受け取れる形になるわけです。

ネットを活用して、すべてデジタル上で出願情報を受け取ろうと。これ、他の国では普通のことになりつつあるわけなんですけれども、日本についてはやっぱり相変わらずこの調査書が残っているわけです。でもこれからはこういう形を取ろうと。大学がそれを、一般入試のところ、あるいはAOや推薦のところで使います。

そうして一番大きいのはここですね。ここの三つのポリシーはご存知でいらっしゃいますね、「学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)」「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)」「入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)」。これに基づいて、大学運営しなきゃいけなくなってるんですね。

多分、高校の現場では実感してないかと思うんですけれども、これに基いて、自己点検評価とか、第三者評価とかがなされます。文部科学省の補助金に関しても、できているか全部チェック項目になってるんですよ。すごいですこれ。

できていると、補助金が出るわけです。それができてなければ、当然ながら第三者評価でも評価されないです。補助金も出ないわけですね。これらは今まで、特にアドミッション・ポリシーについては、エビデンスがなかったんです。

ところがこのデータが集まることによって、アドミッション・ポリシーに従って入試ができているかというチェックが、すべてできるようになるわけです。これを見直ししたら、入試をどんどんより良いものにしていくということが一つあります。文部科学省としてもこれを非常に重要視されています。

ちなみに各大学、データ化が進んでいます。こういった情報が入ってくる部分についても、各高等学校からの入学者に紐付いたデータというのは、実は私どもの大学でもすべてデータ化しています。

この高等学校は評定いくらで送ってこられるけれども、どうも入試の成績が芳しくない、とかも全部見えちゃってます。この高等学校は評定はそうでもないけどやっぱ素晴らしい、とか全部データが出てます。

そういった形で、データに基づいた改革ですね。IRがすごく進んでるんです。このポートフォリオの情報っていうのはまさにそこで使われる。
さっきも高等学校の教育改革で使ってくださいというお話をしたんですけれども、まさに高等学校の中にもIR入ってきてますから。そういった中で大学や高校がこの情報を使いながら、IRにも使って行きましょうというところが、今回の改革の中でも非常に大きな点であります。

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