活用事例

「言われなくても取り組む」 生徒を育てる成功体験の作り方

神田女学園中学校高等学校(東京都)
2018.09.06
中学教務部長・国語/小堀美和先生(左) 高校教務部長・数学/坂ノ下祐子先生
中学教務部長・国語/小堀美和先生(左) 高校教務部長・数学/坂ノ下祐子先生
課題
  • まじめに勉強していても、既習事項の内容が定着しておらず、学力向上につながらない
  • 言われたら取り組むという受け身型の学習から、言われなくても取り組む主体的な学習の姿勢を育てたい
 活用ポイント
  • 25分間のDEタイムにスタディサプリを活用。一人ひとりに合った「学び直し」に取り組む
  • 生徒の頑張りを認める具体的な声かけで、生徒のモチベーションを上げる

必要だったのは「学び直し」と 言われなくても取り組める「自学自習の習慣」

本校は、女子中高一貫校ならではの女子教育を大切にしながらも、グローバル化する社会で活躍できる女性を育成するための教育プランを展開しています。中学においては、すべてのクラスをグローバルコースとし「使える語学力」「コミュニケーション能力」「主体性」「課題解決能力」「行動力」をバランスよく育むカリキュラムを組んでいます。高校においては、2017年度より、語学と留学を中心とした文系カリキュラムのグローバルコース、難関大学進学を目指すアドバンストコース、個性や夢を大切にした多様な進路を応援するフューチャーコースを設定し、「KANDA INNOVATION」として、新たな改革に取り組んでいます。
DEタイム
25分間のDEタイム。スタディサプリを利用して個々の課題に取り組む
本校の生徒をひと言で表現すると、いたって「まじめ」。言われたことにはきちんと取り組めるのですが、そのまじめさが学力などの成果につながっていませんでした。原因を突き詰めたところ、前の学年や入学前の学習内容が身についていない生徒が多かったのです。つまり、目の前の学習に熱心に取り組んでも、学力の土台である既習事項に課題があるため、学力としての積み上げが難しかったのです。中学生、高校生ともに学び直しが急務でした。そこで、月曜日から金曜日までの昼休み後の25分間を、DE(Developmental Education)タイムとして設定し、入学前の積み残しや弱点克服といった課題克服に取り組む自習にあてることにしました。

DEタイムを設定したものの、生徒はすぐに取り組めたわけではありません。ましてや、前の学年の学習内容や苦手な単元まで戻って学び直しをするというのは、生徒にとって心理的に大きな負担となります。まずは、自分から学習に取り組む習慣を、いかに定着させるか模索しました。そこで利用したのがスタディサプリです。講義動画を視聴すること以上に、多様な講座の中から自分に合った講義を生徒自身で選ぶというステップが、主体的に学ぶきっかけになるのではないかという期待がありました。最終的に、理解度に応じた講座内容や主要教科を網羅した講座ラインナップ、一人ひとりのペースに合わせて自由に視聴できるスタイルが決め手となり、DEタイムに使用する正式教材として導入を決めました。

生徒の頑張りを具体的に認める声かけで 「次も頑張ろう」を引き出す

DEタイムでは、国語・英語・数学などの教科を指定し、生徒が各自、課題に取り組みます。到達度テストで明らかになった課題や検定対策、日々の授業に関連する単元を主体的に活用しています。特に中学生は、定期考査対策に効果があらわれています。DEタイムで視聴し切れなかったチャプターを自宅で視聴するなど、一人ひとり工夫しながら取り組む様子が見受けられます。

生徒には、DEタイムで何をどれくらい取り組んだのか毎日記録を取らせているので、一人ひとりの取り組みの様子を具体的に把握しています。それをもとに、教員から生徒に向けて「この間、数学がよくできたよね。スタディサプリがここまで進んでいるから、さらに頑張ろうね」とか「英検の対策をしているんだね」などの声かけをしています。生徒の頑張りを「具体的に」認める・ほめるという声かけは、「次も頑張ろう」という励みになっているようです。

現在は、生徒間の学力差から、自分からどんどん取り組む生徒と、そうでない生徒がいますが、取り組める生徒には学年を超えて先の単元をやっていいと促し、反対に取り組めない生徒には、教員がサポートしながら学習習慣の定着を支援しています。導入した1年目は、定着をはかるための工夫として、生徒の視聴時間や取り組みの様子をグラフにして廊下に掲示。生徒の頑張りを目に見えるようにしたことで、「自分も頑張らなくては」と思う生徒も多かったように思います。こうした取り組みが実り、DEタイムの前にはパソコンを開いて準備している生徒も増えています。また、入学したばかりの中学1年生にとっても、先輩たちの頑張りが刺激になり、先輩と同じように取り組む様子が見られます。

与えたいのは「やればできる」という 生徒自身の成功体験

スタディサプリの導入は、学習習慣の定着に加え、学力向上にもつながっています。例えば、数学を苦手とする中学1年生が、小学5年生の算数から学び直しをした結果、テストの点数が20点アップ。さらに、夏まで学び直しを継続していったところ、中学1年生の終わりには偏差値が15も上がったのです。わからないから勉強しない、という悪循環から、わかるから勉強が楽しいという好循環に変わったのだと考えています。何よりも「やればできる」という成功体験を生徒自身で得られたことが大きかったのでしょう。

こうした生徒たちの変化は、別の形でも現われました。これまで、自習をしていてわからないところがあると、すぐに質問にきていた生徒が、わからないことがあったらまず自分で調べるようになったのです。質問にくる生徒が減ったことは、教員にとって寂しい反面、たくましさを感じています。
スタディアプリの活用
スタディアプリの活用が習慣化。主体的に学べる生徒が増えてきた
スタディサプリの導入を通して実感したのは、「道具(ツール)と材料(取り組む課題)があれば、生徒は自立できる」ということ。そういう意味では、学校の役割は問題の解き方を教えること以上に、道具と材料の使い方を生徒に教え、学習習慣を身につけさせることなのかもしれません。

DEタイムは、苦手や得意を知り、そして自分自身と向き合い対話するための時間。これからは、「わかる」で終わらず、「できる」を体験してほしい。「できる」という体験こそが生徒の自信を育てるのだと思います。今後は、教員から「これを勉強しなさい」というのではなく、生徒が自分から興味や関心を持って、学んだり調べたり、自分の力で何かができるように生徒をサポートしていきたいです。
神田女学園中学校高等学校(東京都)
学 科:中学(グローバルコース)、高等学校(グローバルコース/アドバンストコース/フューチャーコース)
生徒数:327名
神田女学園中学校高等学校(東京都)外観
ページ内容は2018年9月時点の情報です。
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